公益財団法人JKA/『ビッグコミック』シリーズ
漫画のパワーとインパクトを活かして競輪の魅力を伝えるコラボレーション
2023/03/10
目次
漫画ならではの力で「スポーツとしての競輪」を印象づけるブランディングに成功
公営競技の競輪とオートレースの振興法人JKAが、『ビッグコミック』シリーズとタイアップした事例を紹介します。
JKAは2022年5月より新たな競輪CM、補助事業CM、12月末より初のガールズケイリンCMを展開。『ビッグコミック』シリーズで活躍する人気漫画家の小林有吾氏、奥浩哉氏、池上遼一氏、高橋しん氏、こざき亜衣氏を起用して、TVCM、WEBCM、『ビッグコミック』シリーズ4誌の表4広告、競輪場内ポスターを制作しました。
選手の実写映像に漫画家各氏の描き下ろしイラストを組み合わせたパワフルでスタイリッシュなビジュアルは、競輪のスポーツとしての魅力訴求や、認知拡大に大いに力を発揮。各方面から高い評価を得ています。
そこで、この企画を担当したJKA広報部 広報宣伝課係長の小池康裕さんに、タイアップの狙いや経緯、反響などについて、お話を伺いました。
人気漫画家とタイアップしたCMは第1弾から第3弾までの計3本。WEBCM、『ビッグコミック』シリーズ4誌の表4広告、競輪場内ポスターも制作
20代〜40代の男性をターゲットに、競輪のCMを制作
競輪は日本発祥の日本を代表するプロスポーツ。2000年シドニーオリンピックでケイリンが正式種目として採用され、2012年ロンドンオリンピックよりケイリン女子も正式種目となっています。そのスポーツとしての競輪の魅力を広くアピールすることが、今回のタイアップ企画の一番の狙いだと、小池さんは語ります。
「現在、競輪は非常に多くのお客様に楽しんでいただいている状況ですが、そうした中でとくに若い方々に、もっと競輪の魅力を感じてもらいたいということがありました。そこで20代〜40代の男性をコアターゲットとして、競輪のスポーツとしての側面を強調するCMを作らせていただいたんです」
コアターゲットである20代〜40代の男性にアピールする最強の手法として、注目したのが漫画でした。
「私自身、そのターゲットにギリギリですが合致していまして(笑)、もし自分が競輪について何も知らないとしたら、どういったもの、どういった角度であれば興味を持つだろうかと考えました。それで今回のCMの公示に対し広告会社さんから応募いただいた中に、『漫画を核にして競輪の魅力を訴求する』という企画がありまして、それを見た瞬間に、これだ! これをやりたいと、担当者として強く思いました。皆様に競輪をスポーツとして見ていただきたいことに加え、競輪にいいイメージを持ってもらいたいということがあったんですが、小学館さんのお力、漫画家さんのお力をお借りすれば、それができるのではと」
小池さん自身、大の漫画好きとのことで、今回の企画にはとりわけ熱が入ったといいます。
「最初に、ご協力いただける漫画家の先生の候補リストをいただいたんですが、それがもう、とんでもなくメジャーな方々で興奮しました。その中からスポーツ漫画の作品を手掛けている方やアクションの絵が得意な方を中心に、ターゲットとの親和性を考えて、今回お願いする先生を選定させていただきました」
「さまざまなバリエーションがありながら、競輪CMとしての統一感が出せたのも漫画ならではだと思っています」と語ったJKA広報部の小池康裕さん
競輪業界が目指す方向性に見事に合致したクリエイティブに
CMの制作にあたっては、いろいろ苦労があったものの、一番印象に残っているのは、漫画が持つ表現力の強さに感動したことだそうです。
「今までタレントさんとコラボさせていただいたことはありますが、我々としては漫画家さんとのタイアップも、実写ではないものを使うのも初めてでしたので、まず全体のイメージを持つのが大変でした。ですが、実写部分のまさに撮影中に、タイミングよく池上遼一先生からCM用のイラストが送られてきまして、その場で制作中の動画に、仮にですがはめ込んでもらったんです。それを見たときに、もう震えるくらいかっこよくて。必死に自転車をこいでいる選手が顔を上げた瞬間に、池上先生の絵がドンと出てくるんですが、その絵の力というのがすごかった。我々が作りたいと思っていたものが、そこにガチっとはまったような気がして、いや、本当にこの企画をやってよかったと思いました」
競輪CMは第1弾から第3弾まで計3本。小林有吾氏を起用したCMでは、折しも小林氏の人気サッカー漫画『アオアシ』のアニメ化のタイミングと重なったことから、アニメの声優にも参加してもらい、より話題性のある内容に。また、いずれのCMも大きな反響がありました。
「まず業界の中から非常にご好評をいただきました。競輪は競輪選手、各競輪場をはじめとする開催施行者など、我々JKA以外にも多くの人が携わり運営しています。それぞれ別の立場ではありますが、業界一団となって競輪のスポーツとしての魅力の訴求や、競輪を広めていきたいと考えていまして、今回のCMは、まさにその方向に合致したクリエイティブになっているということで、高い評価をいただいています」
また、熱烈なファンが多い人気漫画家ならではの影響力も感じたといいます。
「漫画の印象というのはやはり強くて、私がたまたま話を聞いた競輪のお客様に『奥先生のファンで、CMを見て来ました』という方がいらっしゃいました。今回ご協力いただいた先生方の絵というのはやはりパワーがありますし、その絵を見れば先生方の作品だとわかる。漫画のファンの方が、それで競輪に興味を持ったということもあると思いますし、そういったところの連動性は非常にあるなと感じています」
選手の強い思いを表現したガールズケイリンCM
競輪CM3本の流れを受けて、2022年12月末からガールズケイリンCMもスタートしました。
「ガールズケイリンは2022年に10周年を迎えたんですが、この10年苦労しながら、選手をはじめ業界が一丸となって作り上げてきたということがあります。そのガールズケイリンをスポーツとしてさらに皆様に親しんでいただこうと考え、初めてガールズケイリンに特化したCMを制作いたしました。」
ガールズケイリンCMは、元美容師や元会社員、元バレーボール選手、そして自転車競技一筋でやってきた選手など、多様なバックグラウンドを持つアスリートたちが活躍していることを、こざき亜衣氏のイラストを印象的に使って紹介しています。
「先ほどの繰り返しになりますが、ガールズの選手たちはこの10年、かなり苦労してきたんですよね。彼女たちは皆、制度も何も決まっていない手探りの状態のところに飛び込んできて、自分たちの人生を賭けてくれたんです。それだけにガールズケイリンに対する思いが強いんですが、その思いを表現してくれるいいCMクリエイティブで、非常にかっこいいと、選手たちからも好評をいただいております」
ガールズケイリンCMに登場する選手たちのイラストは、人気マンガ『あさひなぐ』などを手掛ける漫画家・こざき亜衣氏が描き下ろし
こうしたCMを制作する上で小池さんが心がけたのは、バリエーションを持たせることだといいます。
「競輪というのはいろんな面があるんですね。選手の出自もいろいろですし、競輪の楽しみ方にしても、スポーツとして見る方もいらっしゃれば、公営競技として楽しんでいただいている方もいらっしゃる。さまざまなバリエーションがあるので、今回の競輪CM3本とガールズケイリンのCMでも色々な面を紹介できればとバリエーションを意識しました。また、ケイリンとオートレースの売上の一部は、機械工業の振興や社会福祉等の活動に補助事業という形で役立てられています。そのイメージを伝えるために補助事業CMでは少しやわらかく、また爽やかにということで、高橋しん先生にイラストを描いていただきました。このようにさまざまなバリエーションがありながら、競輪CMとしての統一感が出せたのも漫画ならではだと思っています」
最後に小池さんに、今回のタイアップ企画を振り返っての感想をお聞きしました。
「競輪のCMではやはり、生身の人間で表現できるところとできないところがあります。そのできない部分を漫画の力で表現していただくということは、我々が今まで考えつかなかったことで、すごくいいCMになったなと。競輪のスポーツとしての魅力をインパクトを持って伝えるにあたって、漫画というのは非常に力があると私は思っています。例えばCMにタレントさんを起用した場合、認知を広めるという点ではいいかもしれませんが、躍動感や迫力、スピード感といった競輪のスポーツとしての魅力の訴求はどうしても難しいところがあります。それが漫画ですと、そういったスポーツとしての魅力をイラストによって表現することができ、しかもよりパワーやインパクトを持って皆様にお伝えすることができる。トライして非常によかった企画だと考えています。現在、第5弾CMの制作の準備をしています。ぜひ次回CMについてもご注目いただきたいですし、私自身も楽しみにしています。」
一枚の絵で迫力やスピード感、力強さなど、スポーツ競技が持つさまざまな魅力を表現し、深みのある世界観を感じさせることができるのは、漫画ならではの力。そのパワーを活かした今回のコラボレーションは、狙い通りのブランディングができた好例です。
「業界一団となって競輪を広めていきたいと考えていまして、今回のCMはまさにその方向に合致したということで高い評価をいただいています」
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