キャラクターが持つポジティブなイメージをより豊かに広げていただける企業さんとの共創は大歓迎です。
『週刊少年サンデー』大嶋一範編集長インタビュー

2023/03/17

サンデー・ブランドをより輝かせるために

大嶋一範編集長は2003年に小学館に入社し、『コロコロコミック』編集部に配属。『イナズマイレブン』『パズドラZ』といったゲーム企画や『ウソツキ!ゴクオーくん』などのマンガ連載を担当。2014年に『週刊少年サンデー』に異動してからは人気作品『名探偵コナン』等の連載担当を経て、2021年より21代目編集長に就任。

長く愛される漫画家を育てていることが読者との信頼に繋がっている

『週刊少年サンデー』は1959年の創刊です。その60年以上の長い歴史の中で、読者の要望は常に変わり続けているのでしょうか。また、逆に変わっていないものがあれば教えてください。

「時代によって読者が求めるもの、興味があることなどは変わり続けていると思います。私たちはその時代における読者の嗜好にアンテナを張り、積極的に取り入れながら、作品に反映すべく努力を重ねてきました。そういう意味では、特に若い編集者たちの感性を大切にしていきたいですね。彼らの趣味嗜好は昔とは違いますし、自分たちが素直に面白いと思うものを、担当する漫画家の先生とお互いに刺激し合いながら生み出し、送り出してほしい。そこに制約や足枷を設けず表現できるようにしてあげるのも編集長の仕事だと感じています。

その一方、変わらないものを大切に、大事に育んできたのが『週刊少年サンデー』なんですね。読者のみなさんから長く愛されている先生たちが多く、誌面で輝きを放ち続けている。それが魅力のひとつなのではないでしょうか。実際、あの先生の連載作品が掲載されているからという理由で、変わらずに『少年サンデー』を応援してくれている読者も多いんですよ。その中で自分が好きな先生以外の新人作品が気に入り、毎週読む楽しみが広がっていく。『週刊少年サンデー』の長い歴史は、そういった流れの積み重ねなのでは、と考えることがあります」

長く愛され続けている漫画家が多い。そういった『週刊少年サンデー』の世界観は、読者層にどのように受け入れられてきたと思っていますか。

「見方を変えれば、なぜ長く愛され続けている漫画家が揃っているのか、ということになります。それは『週刊少年サンデー』の歴史を振り返ってみたとき、まずは先生方が描く作画が力強く、上手できれいであること。結果、読者に人気の高い分野であるスポーツもの、青春もの、ラブコメものなどにおいて上質な作品ばかりなこと。それらが読者の安心感に繋がっているんです。つまり、『週刊少年サンデー』には魅力ある作品が揃っているから間違いない。読めば有意義な時間を過ごせる。そういった確固たる実績が読者に受け入れられ、信頼関係を築けている要因なのではないでしょうか。その安心感や信頼関係が〝サンデー・ブランド〟になると思います。そう考えると、これからも他社さんのブランドとサンデー・ブランドとの共創は、よりよい化学反応を起こし、刺激的で興味深いものに発展していく可能性を秘めていますよね。

わかりやすいところでは、スポーツを扱った作品とスポーツブランドとのコラボとか。青春ラブコメ作品と飲料水メーカーさんとのコラボも相性がよさそうです。甘酸っぱい青春のきらめきを描いた作品に、爽やかさを前面に押し出した飲料水はぴったりでしょうし。ブランドとブランドが交わる相乗効果は読者もきっと喜んでくださるはずで、そのようなイメージ戦略にサンデーのキャラクターを積極的に使っていただければ」

これまでに『週刊少年サンデー』が他社との共創でヒットした具体例は?

「『週刊少年サンデー』には多数の人気キャラクターがいます。映像化、商品化などのライセンスアウトに伴うタイアップなどは、その都度とても大きな反響をいただいていて。例えば、配信ゲームアプリの『パズル&ドラゴンズ』(略称パズドラ)。ゲームの進行中にサンデーのキャラクターたちが登場するんですよ。誌面上でのデータプレゼントも功を奏し、たくさんの読者から喜びの声が寄せられ、楽しんでいただけたと思いますね。

また、昨年10月、高橋留美子先生の『うる星やつら』が再アニメ化されたんです。その際、キャラクターイメージとアパレルイメージのコラボとしてオニツカタイガーさんと商品化に取り組ました。まさに鬼とオニということで(笑)。こちらもとてつもない反響があり、あっという間に商品が売り切れたんです。サンデー・ブランドとよりよい化学反応を体現した例といえると思います」

仕事の原点は人を巻き込んで上質な作品を提供すること

今後もさらに他社との共創に取り組んでいこうと考えているわけですね。

「活躍されているタレントさんやアイドル、個性あるミュージシャンのみなさんを自社の商品イメージだったり、ブランドの価値をあげるために起用している企業さんが多いですね。同様に『週刊少年サンデー』のキャラクターたちも、そういった方々に負けない世間に対する影響力やメッセージ性を持っていると自負しています。その点を企業側には選択肢のひとつとして捉えていただけるとうれしいですね。今後もキャラクターが持つポジティブなイメージを、より豊かに広げていただける企業さんとの共創は大事にしていきたいですし、大歓迎です」

サンデー・ブランドが確かな輝きを放っているからこそ、なかなか一歩が踏み出せない、共創へ向けてのハードルが高いのではないかと躊躇している企業も多いのではないでしょうか。

「当然、キャラクターイメージは大事にしなければいけません。それを守ってきたからサンデー・ブランドは光を放てていますし、その歴史を積み重ねてきたから、今の『週刊少年サンデー』があります。でも、決して排他的な考えや雰囲気で物事を進めようとは思っていません。私たちに提案する前に、こんな広告展開やイベントは受け入れてもらえないだろうといった先入観にとらわれず、まずはお話し合いから始めましょうということ。難しい提案であっても、話し合いの過程で新しいアイデアが生まれて、私たちも企業さんも想像つかなかった素晴らしい広告展開やイベントが実現するかもしれませんから」

そのような逆提案は、大嶋編集長が『名探偵コナン』の担当編集者時代に、コナンという人気キャラクターを出発点にして、さまざまな企業とのコラボ、イベントを成功させてきたからなのでしょうね。

「担当編集者として『名探偵コナン』の映画に携わったのは2015年公開の『名探偵コナン 業火の向日葵』でした。途中から引き継ぐという形で参加し、2016年公開の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』は最初から携わりました。ちょうどコナンの映画の興行収入がぐっと伸びていくタイミングで、おかげさまで数多くの企業様からコラボなどのお声をいただき、数多くの施策を経験させて頂きました。

まずは原作を送り出される青山剛昌先生がいて、演者さん、委員会を組成するアニメチーム、編集部、小学館各部署のメンバーで一丸となり、ワクワクできるコナンの映画をみなさんに届けたいというひとつの目的に向かって突き進むのがコナン映画です。その熱量が、お客様にも伝わっていて、映像や漫画を楽しんでいただくだけではなく、企業様との共創部分にも熱い視線を頂けているという実感があります。」

各分野の人たちを巻き込むためにも、常にアンテナは張り続けておかなければいけない?

「個人的にも仕事的にも流行り物は気になります。最近は娘たちの影響でTikTokをよく観ているんです。彼女らはお菓子の動画が大好きで、一緒に観ながら『買って買って』とせがまれるんですけど、例えば私にはそれほど美味しそうに見えないものでも、娘たちには刺さっているという現実を受け止めるべきであると感じます。怖いのは、昔流行っていたものにこだわるあまり、今流行っているものを軽視することだと思っています。そうならないように、最新の流行がよくわからなくてもアンテナを張り続け、ポジティブに受け入れてみることが大切なのではないでしょうか」

週に一度の校了の際、連載作品の最新話を目にするときは緊張するという大嶋編集長。同時に最新話を読める楽しみを純粋に味わいながらページをめくっていくそうです。それはきっと、発売日の読者の視線と同じように思え、その目の輝きが『週刊少年サンデー』の新たな歴史を紡いでいきます。

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