プログラミング教材を体験付録化して、楽しく学べるエデュテインメントへ 株式会社NTTドコモ・株式会社e-Craft/『小学8年生』のコラボ事例をご紹介
2025/06/19
目次
「携帯電話の形をしたプログラミング教材」は公教育関係者も注目
NTTドコモとグループ企業のe-Craftが、全学年向け学習雑誌『小学8年生』とコラボレーションした事例を紹介します。
2025年2月発売の『小学8年生』スペシャル4月号は「はじめてのプログラミング号」として、ケータイ型プログラミング体験付録「NTTドコモF503i(小8付録バージョン)」と4ページの特集記事を展開。20年以上前の携帯電話を再現した本物そっくりな見た目に、学年誌の付録として初めてBluetoothを搭載、タブレットやスマートフォンに接続すると専用アプリで簡単にプログラミング体験ができるとあって、大きな話題に。発売後すぐに完売する人気となり、教育関係者からも高く評価されました。
そこで、この付録の開発者であるe-Craft代表取締役/CEOの額田一利さんに、コラボレーションの経緯や反響、感想、今後の展望などについてお聞きしました。

「子どもたちにどう届けるか」を考えたことが、付録企画の発端
e-Craftはプログラミング教育サービスを企画開発する会社。段ボールを使って気軽にロボット制作に取り組めるプログラミング教材「embot」を(株)タカラトミーと共同で開発・製造・販売しています。今回のコラボは、プログラミング教材をより広く子どもたちに届けたいと考えた額田さんが、小学館に付録企画を持ち込んだことで実現しました。
「もともと僕は『embot』の次世代機の開発をずっと考えていたんです。今あるプログラミング教材は概して高価で、高いものだと10万円、2、3万円はざらで1万円を切るものは滅多にない中、どうすれば安く作れるかを考え、これならできそうだということが見えてきた。そこで、それをどう子どもたちに届けるかに悩んだんですが、そのときに小学館さんのことが頭に浮かんだんです。じつは小学館さんとは長い付き合いで、6年ほど前に『embot』を付録にするのはどうかという話もあったんですが、コスト的に付録にはちょっと難しいとなって。しかし今回は安価にできそうなので、企画を持ち込みました。
携帯電話の形にしたのは、以前に小学館の皆さんから、付録はやはりいかにキャッチーであるかが大事で、プログラミング教材という柱だけだと少し弱いというお話があったので、古い携帯電話をモデルにすれば面白いんじゃないかと。ただ、『携帯電話の形をしたプログラミング教材』と言っても見当がつかないだろうなと思い、早々とプロトタイプを作って持って行きました」
最近の子どもたちからすると、ボタンがついた古い携帯電話の形が新鮮に思えること、また、いまだに電話型のおもちゃに人気があること、さらに額田さん自身がNTTドコモの所属だったので調整が可能なことも、携帯電話の形にした理由だと言います。
「最初からNTTドコモF503iの形でいきたいというのはあったんですが、それをどこまで押し出すかについては悩んでいました。F503iだと言ってしまうべきか、古い携帯電話と言うべきかを迷っていて、『小学8年生』の松元編集長と大泉副編集長に相談したら、『NTTドコモってすごくIPですよ。ドコモのケータイということでみんな惹かれると思うので、F503iって言い切っちゃいましょう』と背中を押していただいて。結果的に、そう言い切ってよかったと思っています。
この付録は僕がNTTドコモの所属だったからこそできた。よその会社さんでもそれっぽいおもちゃは作れると思うんですけど、今回ドコモの名前を前面に押し出すことがすごく良い方向に行ったんじゃないかと思っています」
特集記事とのセットで、子どもへの伝わり方がより深いものに
実際に付録にするにあたっては、そのままですぐに遊べる8つのモードも用意しました。
「当初はアプリと連携してプログラミングで動くものを作っていたのですが、みんながみんなスマートフォンとつないで遊んでくれるわけではないので、付録にする段階で単体でも遊べるようにしました。重視したのは難しくなりすぎないようにすることで、せっかく小学館さんとご一緒するのだから、誰にでも手に取ってもらいやすいゲームを考えました」
安く作れるとはいえ、どこまで機能を入れられるかというコストバランスは結構難しかったとのこと。また、安全性については、小学館の制作局と議論を重ねました。
「小学館さんはやはり、いかに安心安全に遊べるかという点にすごくこだわっていらっしゃるので、そこはかなり詰めました。ただ、僕らはもともとタカラトミーさんと一緒に、セーフティトイと言われる安全基準が非常に厳しいSTマーク付きの商品を出していますから、そういうところは安心できますと制作局の方に言っていただきました」
本誌の特集記事では「携帯電話ヒストリー」として、スマホが登場する前に使われていた携帯電話の歴史を紹介。またNTTドコモの最先端の研究を行う施設も取材しています。
「記事の企画をどういうふうにすればいいのか悩んだんですが、小学館さんから携帯電話の歴史という流れにしようというお話をいただいて、それはすごく素敵な企画だなと。松元さんや大泉さんにはNTTドコモの歴史展示施設や研究施設の見学にご同行いただいて、いろいろ見ていただきました。
iモードのアプリケーションって今では当たり前のようにスマホに入っていますけど、昔は携帯電話にアプリなんて入ってなくて、初めて実装されたのがこのF503iだったんですね。そうした歴史の流れの説明を企画に落とし込んでくださったのは、僕らとしても非常に嬉しかったです。ただ単純に僕らがケータイ型の玩具として提供するのと、こういう読み物とセットにするのとでは、伝わり方が全然違うと思いますし、小学館の皆さんはさすがそういうところに慣れているなと思いました」

こうした取り組みが公教育にもいい影響を与えると教育業界からも高評価
「はじめてのプログラミング号」は大好評で、周囲からのリアクションも多かったそうです。
「これまで僕らが作ってきたものは、プログラミング教材ということを前面に押し出す形だったのが、この付録はある意味、F503iの模型がプログラミングもできる、という見え方に変わったので、とても面白い出し方をしているねと言われました。
また、今まで子どもの教育になるかどうかで物事を判断していたお父さん、お母さんが、自分たちも『これ欲しい』になったり、僕の世代というか僕の周りからはより多くのリアクションをもらえた感じで、欲しいんだけど売り切れていて手に入らないよ、というような連絡をたくさんいただきました」
公的な教育関係者からも注目され、意義のある取り組みだと評価されました。
「仕事柄、文科省や教科書を制作している皆さんとご一緒することもあるのですが、そういったいわゆる公教育を第一線で引っ張っていらっしゃる方々から、民間企業が雑誌の付録という形でプログラミング教育を展開してくれるのはとても良いことだと。『こうしたことが一般的になってくるとみんなにとってハードルが下がるし、額田さんのこういう取り組みがいつか公教育にも影響を与えて、授業の内容が変わる時代も来るかもしれない。民間の皆さんがやってくださるのを今後我々としても応援します』と言っていただきました。
僕がこれまでやってきたプログラミング教材から、いわばエンタメ色が強くなった今回の付録を、教育業界の皆さんからほめていただいたのはすごく励みになります。それに僕自身ずっとエデュテインメント領域をやりたいと思っていて、多くの企業さんも今後力を入れていきたいところでしょうが、どうやっていくのかは一筋縄ではいかない。そういう意味で今回のコラボは、エデュテインメント領域でうまくリアクションが得られたものじゃないかと思っています」
今後の展望としては、最先端の技術を身近なもので提供することを突き詰めたいとのこと。
「今回強く感じたのが、プログラミングやAIといった未来の技術を身近なものと結びつけることの重要性で、そこは多くの企業さんがやっているようでまだやれていない部分じゃないかと思います。最近I T業界はどんどん最先端の技術に突き進んでいますが、結局盛り上がっているのは、自分の写真をジブリ風の画像にする、みたいなことなんですね。メディアを見ているとどうしても先進的な人達の情報ばかり目につきますが、AIでそんなことができるなんて逆に不安、と思っている方は絶対に一定数以上いると思うんです。
そうした中で、ジブリ風の画像にするとかはすごくわかりやすいですし、エンターテインメント性がある。今後僕も、最先端の技術をいかに皆さんの身近なものや想像しやすいもので提供していけるかを突き詰めたいですし、そういうところを小学館さんをはじめ、いろいろな企業さんと垣根を超えてパートナー連携しながら実現できればと思っています」
その中でもとりわけ注力したいのが、〝子どもたち〟へのプログラミング教育です。
「僕自身がもともと教師になりたくて、教員免許も取ったということがベースにあるんですが、やはり子どもの成長過程に関わりたいですね。デジタルが当たり前の時代を生き抜く子どもたちが、ITのテクニカルな部分を正しく身に付けていくのをサポートしたいと思っているので、子どもの段階でどういう経験をしてもらうかに主眼を置いて活動しています。
そういう意味で今回のコラボはとても意義があり、学年を問わずいろんな子どもが楽しめる『小学8年生』の付録というのも最適で、小学館さんと一緒にやれて本当によかったです」
今回のコラボレーションは、目指す先がエデュテインメントで一致している企業と学習雑誌の共創で、教材をより楽しく、子どもたちがなじみやすいものにした成功例と言えるでしょう。『小学8年生』は今後もさまざまな企業とともに、子どもたちの可能性を広げていきます。

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