星野リゾート/「サライ.jp」「読者との信頼関係」が成果を上げた、新しい旅スタイルへのアプローチ

2022/06/29

総合リゾート運営会社の星野リゾートが、『サライ』の公式webサイト「サライ.jp」とタイアップした事例をご紹介します。

星野リゾートは、コロナ禍での新しい旅のスタイルとして、近距離で地域の魅力を楽しむ「マイクロツーリズム」を提唱。さまざまな媒体、手法を使って、そのアピール方法を模索するなか、とりわけ効果が高かったのが今回のタイアップです。

サライ.jp」と星野リゾートのwebページをリンクさせ、フェイスブックの地域セグメントで期間・地域限定のマイクロツーリズム優待プランを紹介したこのタイアップには、想定以上の反響があり、大きな成果が得られたことで、この先のアフターコロナにおいても成長が期待できる新しい市場の開拓につながりました。

その経緯を、星野リゾート マーケティンググループの佐々木恒貴さんにお伺いしました。

「サライ.jp」と星野リゾートのwebタイアップは、Facebookの地域セグメントで期間・地域限定の優待プランを展開

旅のしやすさと地域の魅力発見を兼ねたマイクロツーリズム

長引くコロナ禍で苦境に立たされた旅行関連業界。星野リゾートもまた、この難局への対処を余儀なくされました。

「2020年3月頃から徐々にコロナの影響が現れ、宿泊予約のキャンセルが相次いで、会社としてもかなり厳しい状況になりました。そこで、旅をしたくてもなかなか遠出がしにくいコロナ禍において、何とか旅に出やすい形をつくれないだろうかというのが、マイクロツーリズムという考え方を打ち出したそもそもの発端です」と佐々木さん。

マイクロツーリズムは自宅から1〜2時間という近距離で、安心安全に過ごしながら地域の魅力を知り、地域経済にも貢献するという旅のスタイル。2020年4月というコロナ禍のかなり早い段階で星野リゾート代表の星野佳路氏が提唱しました。

「コロナの波はかなり長期にわたって続くであろうと予測され、その中で私たちは何とかサバイバルしていかなければならないといった方針を、会社としてもいち早く出したというところがあります。どうしたら運営会社として残っていけるだろうかということは、私たちマーケティングのスタッフはもちろん、各宿泊施設のスタッフも含め、早い段階から皆で議論を重ねていかなくてはならない課題でした」

星野リゾートではエリアごとに施設をまとめて、全国に11のマイクロツーリズム商圏を設定。近場の範囲内の旅行であればコロナの感染拡大を助長せず、安心して旅が楽しめるだろうということに加え、マイクロツーリズムの提唱にはもう一つ理由がありました。

「昔は旅行といいましても、大体が近場しか行けなかったと思うのですが、交通が発達し、海外にも行きやすくなったことで、今は遠出の旅行が主流です。そのため意外と近場の魅力を知らなかったり、地元の再発見があったりするのではないかと思っていまして、それもまたマイクロツーリズムの考え方につながっています」

「『サライ』のような媒体と連携させていただくことで、観光の楽しさをよりしっかり伝えていきたい」
と語った星野リゾート マーケティンググループの佐々木恒貴さん

雑誌が持つ信頼性とスキルが訴求の大きな力に

昔は主流だった旅行形態ではあるものの、現代においては、マイクロツーリズムは新しい旅の形の提案であり、言葉自体も新しい。そこで、どうやってターゲットにアプローチするか、どうすれば情報を直接届けられるだろうかということが、次の大きな課題でした。

「そういった取り組みはしたことがなかったので、さまざまな手法や媒体を考えました。その中で今回のタイアップに行き着いたというところがあります。

『サライ』にお声がけさせていただいた理由はまず、当時、旅をしたいという方のニーズには、プライベート感を味わいたいとか、ゆったりと落ち着いて旅を楽しみたいというものがあり、そうした志向や年齢層が読者層と重なるのではと思ったことが一つ。

もう一つは、『サライ』の読者には、新しい価値観や考え方に好奇心を持って向き合ってくださる方が多いように感じていましたので、もしかしたら新しい旅の形の提案というこの取り組みが、うまくマッチするんじゃないかと考えたんです」

『サライ』の読者層の中核は好奇心旺盛なアクティブシニア。マイクロツーリズムとの相性には期するところがあったようです。

「相性については、以前から、私どもの施設が『サライ』に掲載していただいたりする中で感じていました。それに、長く刊行されているということもあり、雑誌と読者との一体感と言いますか、信頼関係ができているというところが非常に強いだろうなと。

ですので、『サライ』にうまく出してもらえれば、私たちが取り組もうとしているものがしっかり伝わるんじゃないか、納得感を持って受け入れてもらえるのではと思いました」

今回タイアップで紹介した優待プランは、東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県在住の方限定。そこで『サライ』からの提案により、フェイスブックで地域セグメントするという手法を用いました。地域を特定して伝達する地域セグメントは、エリアごとに商圏が設定されているマイクロツーリズムの情報を、ターゲットに効率よく的確に届けることができます。

「そうした手法をご教示いただいてよかったです。また、マイクロツーリズムがどういうものであるかをわかりやすく伝えたり、優待プランの対象施設を紹介する言葉のチョイスにも『サライ』ならではのものがあり、非常に読者に響いたと思います。

それは読者の方々が普段から『サライ』の情報として信頼している、そのワードだったり表現だったりで、そこには客観性と言いますか、第3者の視点感がしっかりとあって、それで、『サライ』がいいっていうのならきっといいよね、というように感じていただけたのではと。そこはやはり、御社の雑誌が長年培ってきた部分だと思います」

実際に「サライ.jp」とのタイアップは、同時期に行ったさまざまな広告の中でとりわけ訴求力に優れ、期待以上の成果を上げました。

「私たちも初めてのことですので、いろんな媒体や手法を試しながら、どれが一番ターゲットに届くだろうかとトライアンドエラーでやってきたんですが、同時期にSNSを使って行ったものの中で、『サライ』からのアクセスが飛び抜けて多かったんです。

配信数自体が多いところはほかにもありましたけど、配信数に対するアクセス数でいうと、『サライ』が圧倒的でした。正直びっくりするような数字で、私たちも相性はいいだろうとは思っていましたが、想像以上のものが得られました。これは先ほどから申し上げているように、読者の信頼感ですとか、テキストの作り方によるところが大きいのだと思います」

タイアップの成果から見えてきたアフターコロナの展望

今回のタイアップへの反響の大きさからわかったのは、どういった状況でも、やはり旅をしたいというニーズが強くあるということでした。また、実際に旅行された方の満足度も非常に高く、マイクロツーリズムという取り組みへの手応えを感じたと言います。

「マイクロツーリズムの市場は、アフターコロナにおいても非常に大事だと考えています。もちろん遠出の旅行をされる方も、これまで通り大事にしていかなければなりませんし、海外からのお客様も大切で、日本の文化を感じていただくことは重要だと思っています。

ただ、コロナ禍が長引いたことにより、近場に旅行に行くということが一定程度定着したと捉えていますので、この市場をしっかり成長させていきたいですね。

マイクロツーリズムの取り組みはまだ1〜2年のものですので、引き続きSNSでのターゲットへの直接的なPRもしていきたいですし、これからは、近場を旅行される方が旅先に対して求めるニーズに、どううまく応えるかを考えていかなければならないと思っています」

星野リゾートはこれまで各施設で、その地域の文化や伝統、食などの魅力を伝える体験を数多く提唱してきましたが、マイクロツーリズムでもそうした体験を積極的に取り入れていきたいとのこと。

「マイクロツーリズムの取り組みはこれからも引き続き行い、SNSでのターゲットへの直接的なPRもしていきたいです」

「旅行に行って、そこでしかできないことを体験してみたいというのは、遠方からのお客様でも近場からのお客様でも変わらないニーズだと思います。伝統文化や食といった地域の魅力は、旅行者が楽しめるコンテンツで、それがあるからこそ旅に出ていただける。

観光の楽しさを今後長く残していくためにも、持続可能な観光産業にするためにも、地域との連携は非常に重要ですし、そのエリアにどんな楽しみがあるかという地域の魅力を伝えていくことは、私たち宿泊事業者の使命だと思っています。

もちろん私たち自身が発信しても伝わることは伝わりますが、読者との信頼関係がある『サライ』のような媒体と連携させていただくことで、よりしっかり伝えられると思っていますので、今後も一緒に取り組んでいただけるとありがたいですね」

コロナ禍で新しい市場の創出に結びついた今回のタイアップ事例は、アフターコロナの経営戦略においても大いに参考になりそうです。

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