〝ビジネスでもDIME〟 37年培ってきたトレンド分析、編集力で企業にも貢献!
『DIME』石﨑寛明編集長インタビュー

2024/01/12

『@DIME』はもちろん、社内の他媒体や企業との連携なども手がけます

石﨑寛明編集長は2008年、小学館に入社。広告局に配属され『DIME』を担当。2010年、『DIME』に異動してからは家電・通信・IT・文具・マネーなどを手がけ、2013年より『@DIME』を兼任、2022年10月、『@DIME』編集長に。2023年10月より、雑誌『DIME』編集長も兼任。

雑誌はブランドの象徴、紙媒体ならではの価値をとことん追求

「雑誌は『DIME』ブランドの象徴であり、ある意味〝宣伝物〟と捉えています。Webメディアの『@DIME』はいわばブランド体現するものであり、チャレンジの場として考えています。『@DIME』は検索流入も多いため、『DIME』を知ってもらう場にもなっていると思います。このふたつの最大の違いは有料か無料か。雑誌の読者はお金を払って購入しているため、金額に見合った価値の提供が必要です。ただ情報を掲載するだけでなく、それが何を意味するのか、その先に何が起こるのか、『DIME』としての解釈や分析が必要だと思っています。

さらにいかに短い時間で全体や重要なポイントを把握できるか、雑誌らしい見せ方の工夫などもお金を払って買ってもらうからこそ、そういった私たちがどんな価値を提供できるのかを考えていくことが重要だと思っています。読者の皆さんには忙しいビジネスパーソンも多いので〝タイパ〟を意識した記事作りを心がけています」

「『DIME』の場合はトガりすぎても、先取りし過ぎてもダメですね。『DIME』の読者はビジネスの最前線で奮闘する現場のリーダーです。AIみたいなトピックにしても、だいぶ先の未来の話より、今それで何ができるか、何を押さえておけば大丈夫か。世の中の流れに遅れずついていきたいニーズがあると思います。タイミングとテーマのバランスは非常に大切にしています」

「ビジネスの現場でリーダー的存在として、上からの圧力と下からの突き上げで板挟みになり、教育費や住宅ローンなど悩みやストレスも多い世代です。トレンドにほどよく敏感ですし、また、流行についていきたいと考えている層です。ただ、新しいサービスやガジェットなどが自分の生活とどう関わるのか。具体的なメリットがわからない場合も多いようです。そこを解消し、ビジネスパーソンである読者の役に立つような誌面を制作しないといけません。そしてひとつのトピックを誌面だけでなく、Webコンテンツに、動画・音声コンテンツなど様々な形で配信していくことも心がけていますね」

「これからは情報を整理することが重視される時代、必要な情報を必要な人へ、必要なタイミングで届けるにはどうすべきか、それを常に考えています。『DIME』は紙とWebをひとつの編集部で作っており、それぞれの連携のよさが強みでもあります。その両方を統括する立場として、どちらの媒体で情報発信するのか、もしくは両方でやるのか。コンテンツの連携やそれぞれでの見せ方の工夫、効率的なコンテンツ作りなど模索していきたいと思います。Webコンテンツを紙のようなレイアウトに落とし込み、電子のみで配信する電子版の『DIME』も実は年に何回か作っているんです」

企業と編集部をマッチングする〝ハブ〟としての機能

「創刊37年を迎えた『DIME』は創刊から一貫してモノ・ヒト・コトに関するトレンドの深掘りを心がけてきました。1年のヒット商品や話題のサービスを表彰する『DIMEトレンド大賞』をはじめ、取材を通して読者に何が支持されたのか、その背景に何があるのかを追求する中で、企業の新商品や新サービスについて意見を求められることも増えてきました。そこで、これまで培ってきた知見と取材力、編集力を読者だけでなく、企業の最前線で働くビジネスパーソンの皆さんへ還元できないかと考え、2024年は『DIME』として初のビジネスカンファレンス『DIME Business Trend Summit』を開催します。企業のリーダーや著名人、識者などにも多数登壇いただくので、ぜひ、ご注目いただきたいですね」

「取材をしていると様々な発見がありますが、企業の皆さんにとっては当たり前すぎて魅力に気づいていなかったり、残念な見せ方になってしまっていたり、せっかくの商品・サービスをうまく伝え切れておらず、もったいないなと思うこともあります。最近はそういった発信の仕方や客観的なアドバイスを求められる相談が増えてきました。

そこで、2024年から『レンタル編集部(仮)』みたいなサービスを始めようかと思っています。商品企画の会議やブレストに我々のような編集部員が参加し、それぞれの知見や視点を活かし、企画や商品のアイディア、その発信の仕方などを第三者的な視点でアドバイスできればと思っています。さらに編集部の持っている人脈や企業とのコネクションを活用したコラボレーションなど、編集部を使い倒してほしいです」

「いい意味でも悪い意味でも、色がないのが『DIME』なので、これまでたくさんの企業、著名人、クリエイター、社内の他媒体などと連携してきました。これからは、多くの企業と社内媒体をつなぐ〝ハブ〟になることも『DIME』が提供できる価値になっていくと思います。コロナ禍が終わった今、編集部員にも企業の方と会える機会はなるべく積極的に活用するように心がけてもらっていますが、企業と企業、企業とクリエイターや他のメディアとをつなぐのも『DIME』の大事な役割だと思っています」

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