編集長インタビュー 『サライ.jp』稲葉成昭編集長

2022/06/29

シニアメディアだからこそ、さまざまな可能性を秘めています

1992年に入社、『小学六年生』、『sabra』、『DIME』、中国人旅行者向けのインバウンドサイト『微日伴』や『Suits woman』など、多くの媒体に携わってきた稲葉成昭編集長。2017年『DIME』編集室編集長、2018年『サライ.jp』を含む3サイトの運営とマネジメントを経て、2020年から現職に。

“サライらしさ”を損なわず、拡大解釈をして大マスを狙う

雑誌『サライ』のウェブサイト立ち上げは2001年。稲葉編集長が就任した2018年当初は、主に本誌記事を配信するのみで、PV数は芳しくなかったそうです。

「2020年にコンセプトからフルリニューアルしました。本誌同様、読者はアクティブ・シニアのためフォントサイズは大きめ、明朝体を用い、字間をつめない、色合いを優しくしながらも濃淡は明確になど、デザイン面も含めてです。ただ、ペルソナ設定は、本誌よりやや若い50代。この年代はプチ・リッチ層でもあるので、家族で旅行を見据えて貯蓄をしたり旅先を吟味したり、ご自身でSNSやウェブを活用されているのが特徴です」

コンテンツの主なカテゴリーは、本誌でも人気の〈食〉〈旅行〉〈趣味・教養〉〈健康〉〈生活〉〈いのちと食〉と、小学館が運営する『大人の逸品』という通販です。

「本誌の長寿連載『サライインタビュー』などの転載もありますが、8割以上がウェブオリジナル記事です。人気の〈食〉や〈旅行〉は動画を取り入れ、ウェブならではのコンテンツに仕上げています。〈生活〉には、定年や年金、相続税、自宅のリフォーム資金の仕組みなど、50代全般が興味あるマネー関係を。〈健康〉は、医師や栄養管理士などが監修した署名記事で、プロフィールや出典を併記したエビデンス重視の内容にしています。“人生100年時代”に向けて、食と健康をテーマにした〈いのちと食〉は、ヘルスケア企業の『おいしい健康』と協賛し制作をしています」

リニューアルが功を奏しPV数の成長が著しく、同時に男女比の変化もありました。

「スタート時は60代がメイン、男性が6割でした。ところが、2021年から男女比が半々、50代前半がコア層になっています。また、1月に1100万PVを獲得したあたりから、女性が6割近くになり男女比が逆転しました」

『サライ.jp』はウェブメディアらしく、LINE NEWS、Yahoo!ニュース、SmartNewsというニュースサイトへの配信もあります。

「LINEのアカウントメディアは月・水・金曜日の夕方に配信しています。本サイトがカテゴライズされている〈グルメ・レジャー〉中心に配信したところ、友達が80万人のうち7割が50代以上の女性という結果に。そこで、LINEは女性向けに舵を切り、担当も女性にしました。ユーザーの特性はそれぞれですが、タイアップで女性ユーザーに直接リーチできるのが利点ですね。例えば、LINEはプッシュ通知で一斉に80万人に送れるため、各企業が求めているターゲットが女性であれば直接情報が届きやすいです」

サイト回遊率が高く、イベントや各種SNSで読者との繋がりが強い

外出がままならなかった2年間で、『サライ.jp』読者とデジタルが近しくなったといいます。

「コロナ前のようにリアルなイベントを開催できなかったため、バスツアーはオンラインに切り替えました。イベント開始15分前にzoomの使い方の説明を行い、デジタル初心者へのフォローも。このころからデジタルリテラシーが上がったと同時に、デジタルガジェット企画に興味をもたれる読者が多くなった印象があります。HUAWEIのスマートウォッチ・プレゼントモニターには、8000人のメルマガ会員から500人の応募がありました。健康管理に役立つため会員のニーズに合っていたというのもありますが、アクティブ・シニアは常に新しいものに興味がある層だという証だと思います」

自宅に長時間いる間にテレビを観なくなったり、〝ながらスマホ〟をしたりする人が多くなったことで、新たな読者も獲得しました。

「Google検索により若い読者が入ってきていますし、ニュースサイトのRSS配信により、確実に記事を読んでいただける機会も増えました。もともと回遊率が高く、一度の訪問で全体的に読んでいただいていますが、外部配信によりくまなく読んでいただける新しい読者を獲得しつつあります。また、SNSでいえばFacebookもありますが、こちらはフォロワーが4万人。歴史に詳しい編集者による大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の投稿には、コメントの書き込みやいいね、シェアが多いのが特徴です。『サライ.jp』と読者がいい関係を築けているのが分かりやすい例かと思います」

今年4月にスタートした、お酒をテーマにした有料会員制のオンラインサロン『Bar駱駝』 では、著名人のオンライン講習会を月1回実施し、将来を見据えた企画も展開しています。

「人生100年時代になって、アウトプットしたい人が増えているのかな、と実感するところもあります。オンライン編集会議ではライティングを学べるのですが、ここで将来の寄稿者を育てていきたいと考えています。経験豊富で、それに基づいて自分で考えて動ける方々が読者のシニアメディアだからこそ提言・発信できる、さまざまな可能性を秘めているのが『サライ.jp』ですね」

ウェブやスマホを使いこなし、時間と経済に余裕がある読者というのは、大きなアドバンテージ。これからの時代の一歩先を行くメディアが、『サライ.jp』です。

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