茨城県立歴史館/『コロコロコミック』
子どもたちを呼び込み、郷土の歴史を通して地域の魅力を知ってもらうことに成功

2024/03/08

子どもたちに大人気のキャラクターを使って、馴染みの薄い若年層へ訴求

水戸市にある茨城県立歴史館が『コロコロコミック』とタイアップし、2023年10月28日から2024年4月7日まで、歴史クイズ&スタンプラリーのイベントを開催。

コロコロで大人気の漫画キャラクターが茨城県の歴史にまつわるミニクイズを出題し、子どもたちに館内の展示をヒントに答えてもらうという趣向で、キャラクターが描かれたパネルと一緒に記念撮影ができるフォトスポットも設置しました。

歴史を扱うという特性上、どうしても利用者が高年齢層に偏りがちな歴史館ですが、小学生男子のバイブルと言われる『コロコロコミック』との連携が、若年層の利用者増に大きく貢献。子どもたちに楽しみながら郷土の歴史に興味を持ってもらい、歴史の魅力、郷土の魅力を感じてもらいたいという狙い通りの展開となりました。

そこで、茨城県立歴史館 管理部長の片見徳太郎さんと、今回のコラボレーションを担当した『コロコロコミック』小林浩一副編集長に、企画の経緯や反響などについてお聞きしました。

茨城県立歴史館が『コロコロコミック』と連携。人気キャラクターが歴史館や展示にまつわるクイズを出題する趣向で、若年層の利用者増に大きく貢献。歴史館とのコラボは全国で初めて

『コロコロコミック』による「ふるさと納税」返礼品プランに注目

小林「茨城県営業戦略部観光物産課の方に小学館へお越しいただいて、お話を伺いました。まず大枠として、茨城県の魅力度をもっと上げていきたいと。都道府県の魅力度ランキングというのがあって、茨城県はどうも苦戦しているようなんですね。それで茨城を盛り上げるようなコラボレーションができないかというオファーだったんですが、その中で歴史館のプロデュースという話が具体的に出てきたんです」

片見さん「当館は2024年に開館50周年を迎えますが、2023年4月に本県の大井川和彦知事が館長に就任し、もっと多くの人に歴史館を利用していただけるよう、より一層の魅力化を図るようにと指示がありました。当館の敷地は日本三名園の一つである偕楽園の一部になっており、偕楽園には県内外から大変多くのお客様に来ていただいている一方、歴史館はその方々を取り込めていないことが課題でした。そこで魅力化を図る方策の検討をしていたところ、県の教育庁文化課と営業戦略部から小林様をご紹介いただきまして、私も幼少の頃に読者だった『コロコロコミック』とコラボレーションできれば、子どもたち、ひいては将来の来館リピーター層に訴求できるのではないかと考え、ぜひにとお願いしました」

「今回のコラボでは、子どもが関心を持って見てくれています。自ら積極的に動いてくれている姿を見られたことは、本当に大きな喜びです」と茨城県立歴史館の片見徳太郎さん

地元の歴史を通じて子どもたちが茨城プライドを持てるようなコラボに

小林「じつは最初、県庁の方に『歴史館全体をプロデュースしないか?』と言われたんですが、それは自分の手に余る。そこは歴史のプロの領域で、無理ですと。ただ期間限定のプロデュースみたいなことならばできるかもしれないと、こういう話をしました。僕はディズニーランドのホーンテッドマンションが好きなんですが、それがハロウィーンの時期には映画の『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』とコラボした特別仕様になる。その期間だけはホーンテッドマンションの基本がありながらも、いつもと少し違うお祭りになるという感じがすごくいいなと思っていて、そういうコラボならできそうだとお伝えしたんです」

小林「そもそもは茨城県の魅力をもっと知ってもらいたいというお話で、コロコロにお声がかかったということは、ターゲットはたぶん小学生。だとすると歴史館を訪れる小さなお客様に何を提供するのかということを考えなければと、最初に自分なりのコンセプトを立てたんです。これまでコロコロがふるさと納税に関わってきたのは、地方の魅力を発信するお手伝いをしたいということで、今回はそれとはちょっと違うんですが、子どもたちに地元の良さを知ってもらい、茨城プライドを醸成する手伝いができたらいいなと。自分が住む地域にプライドを持つことは地方創生の基本だと思うんですよ。歴史があるのはすごく豊かなことだし、小さいときから地元の歴史に触れて、ここって結構いいところだよねって思ってもらえたとしたらコラボの甲斐があるので、そこをすごく意識しました」

小林「子どもたちが歴史館の重要な場所を巡れるようクイズのスポットを設定し、正解するとコロドラゴンのスタンプが押せて、全てのスタンプを集めれば歴史館と『コロコロコミック』の公式認定証がもらえるという仕組みです。認定証には自分の名前が書かれていることが重要だと思うので、名前のスペースを作っておいて、発行の際に歴史館の方に入れてもらうようにしました。クイズの内容としては、茨城の歴史的な英雄や、歴史館についてこれだけは知っておくといいよということを入れましょうと。ただ設問が難しいんですよね。コロコロの読者は小学校中学年から高学年の10〜12歳くらいをメインに想定していますから、10歳でもわかることが大事なんです。また子どもが一度に覚えられることは多くないので、クイズは5つになりました。あれもこれもではなく、一つでも覚えたものがあれば、それが歴史に馴染むきっかけになるので、欲張らずにシンプルにしましょうということで」

片見さん「子ども向けとはいえ、あまりに簡単なものではつまりません。自分でヒントを探して解いたんだという達成感が得られるようにと配慮しました。それで頭で考えるよりは、館内をよく見ていただければどこかにヒントがありますよということで、まずは子どもたちに歴史館の雰囲気を味わっていただく。そうしてヒントを見つけて解答するのに併せて、これはどういうことなんだろうとその他の情報にも触れられるような形にしています。建物の中だけでなく敷地内全体にクイズを散らばせたことで、子どもたちはあちこち歩きながら答えを探すわけですが、その中で、ここは庭園だけ散歩してもいいし、館内も高校生以下は無料ですので、いつでもふらりと立ち寄れるなと感じてくれればと思っています」

告知には膨大な登録者数を誇るYouTubeコロコロチャンネルも活用

片見さん「開催直後は公式認定証の発行だけでも1日200通以上ありまして、嬉しい悲鳴を上げました。当館は学校の遠足や校外学習で子どもが集団で来ることはあっても、個々の親子連れなどで子どもが1日200人来ること自体あり得なかったことなんです。それに元々子どもが進んで来るような施設ではなく、親に連れられて来た子どもも何だか退屈そうな顔をしている。展示に興味があるのはやはり親のほうで、子どもは『早く終わらないかな』という様子なんですね。しかし今回のコラボでは展示に解答のヒントを含めたこともあり、子どもが関心を持って見てくれています。親子でスタンプラリーを楽しんでくださって、これまでは親に連れられた子どもという感じだったのが、子どもが親の手を引っ張って『次、あっちだよ』と連れて行こうとしている。子どもたちが自ら積極的に動いてくれている姿を見られたことは、本当に大きな喜びです。またNHKの取材の際にも『楽しみながら茨城の歴史を学べてすごくよかった』というような声が多く、嬉しかったですね」

小林「コロコロは近年すごくデジタルに力を入れていて、コロコロチャンネル登録者数は2024年1月現在で65.5万人。僕自身もYouTubeが得意ですし、今の子どものインフラとして重要なYouTubeで告知をすれば、コロコロを読んでいない子にも知るチャンスができます。それに歴史館は『大日本史』や『大政奉還上意書』など貴重な資料をたくさんお持ちですが、それはクイズにするには難しすぎる。そこでそうしたものやビジュアル的にインパクトのある美術工芸品などを動画で取り上げることにしました」

片見さん「歴史館紹介動画の再生回数は10万7千回を超えています。当館で作っているYouTubeの100倍を超える回数で、正直驚きの数字です。しかも中身が、本当に気軽に接することができる内容でありながら、歴史館の特徴をしっかり押さえてくれていて、出来上がった動画を見たときに職員全員が『あれ、うちの館ってこんなにおもしろいの!?』という感じで(笑)。プロが作るとこうなるのか、やはりプロの力はすごいなと感動しました」

「子どもたちに地元の良さを知ってもらう手伝いができたらいいなと。自分が住む地域にプライドを持つことは地方創生の基本」と語る『コロコロコミック』小林浩一副編集長

子どもたちが楽しみながら学びのスイッチを入れられる取り組みを

片見さん「当館はどうしてもイメージ的に固いところがある施設ですが、『コロコロコミック』とのコラボはやはり子どもたちの歴史館への抵抗をなくす効果が大きいなと思いました。子どもたちからは、スタンプラリーをきっかけに茨城県の歴史に興味関心を持つようになったとの反応もありまして、前例のない取り組みでしたが、本当にやって良かったなと感じています。来期もぜひコラボでスタンプラリーをやらせていただきたく、また新たな動画も作っていただきたい。うちは文書館であり博物館であり、2つ合わせて茨城県立歴史館ですので、ハードルが上がってしまうかもしれませんが、次はぜひ文書のほうで動画を作ってもらえないかと思っています。歴史を知る上ではやはり古文書が重要で、一人でも二人でも子どもたちに興味を持ってもらえればと」

小林「歴史館にお伺いして実感したのは、まさにお宝と言えるものが展示されているということです。子どもたちがスタンプラリーやフォトスポットで楽しみながらもそんな貴重なお宝を見て、茨城県の歴史が持つ豊かさの一端を体感してくれるといいですね。また県庁の方も歴史館の方も皆さん非常に前向きで、一緒に仕事をする中でその本気の姿勢にこちらもかなり動かされました。本当に地域のことを真剣に考えておられて、それはすばらしいことですよね。今回のような取り組みで、あまり説教っぽくはしたくないけど、何か学びのきっかけというかスイッチが入るといい。コロコロは子どもたちのおもしろいものの共通言語なので、そのスイッチが入れられるんじゃないかと思いますし、今後も地域と組んで新しいスイッチが押せたらいいなと考えています」

「前例のない取り組みでしたが、本当にやって良かったなと感じています。来期もぜひコラボでスタンプラリーをやらせていただきたく、また新たな動画も作っていただきたいです」

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