小学館が独自調査! 「母親が子どもに身につけてほしい力」と「VUCA時代」の相関性とは?

2024/04/26

目まぐるしく変化を続ける現代社会において、未来を予測するのが困難な時代、いわゆる「VUCA時代」の到来が叫ばれるようになりました。そんな時代と読者のニーズを探るべく、小学館ではさまざまな調査を実施中。その中から今回は「母親たちが求める“子どもに身につけてほしい力”」の調査についてご紹介します。小学1、2年生の子どもを持つ全国600人の母親を対象にしたこの調査では、いったいどんな結果が出たのか。今、母親が子どもに求める能力とその背景を探りました。

※VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。

【調査手法】
インターネット調査(WEB調査)
地域:全国47都道府県
性別:女性
年齢:26歳~46歳
子ども:2023年7月現在 小学1年生か2年生が1名以上いる(もしくは両方)
サンプル数 600s(子どもが小学1年生 300s/子どもが小学2年生 300s)

小学1、2年生の母親が子どもに求める能力を深掘り

私たちや子どもを取り巻く社会・環境は、刻々と変化しています。少子高齢化の一方、子ども一人あたりにかける教育費は右肩上がり。一方でデジタルやAIなどの技術は急速な進歩を続け、これまでの常識やビジネスモデルが通用しなくなってきました。

複雑で予測困難な「VUCA時代」。家庭と子どもの幸せをいかに築くかという課題を、誰もが抱えています。そんな時代を、生き抜いていかなければならない子どもたちに、母親たちはどんな能力を身につけてほしいと考えているのでしょうか。

まず注目すべきは、「小学生になるお子さんの伸ばしたい能力について」という質問の結果です。

  • ①体力
  • ②語彙力
  • ③読解力
  • ④知的好奇心
  • ⑤コミュニケーション力
  • ⑥協調性・思いやり
  • ⑦表現力
  • ⑧自分で調べる力
  • ⑨生活習慣
  • ⑩その他

この10の選択肢において優先順位をつけると同時に、理由などについてフリーアンサーを依頼。するとそこに見えてきたのは「VUCAの時代だからこその母親のニーズ」でした。

母親が子どもに求める能力は、「社会的能力」

調査の結果もっとも1位に選ばれたのは、「コミュニケーション力」でした。「協調性・思いやり」、「読解力」がこれに続く結果です。

また、1位に「コミュニケーション力」を選んだ人は2位に「協調性・思いやり」を、「協調性・思いやり」を1位にした人も2位には「コミュニケーション力」を多く選んでおり、お互いのニーズが近接していることが分かります。

続く「読解力」や「語彙力」は学力としての側面もありますが、フリーアンサーから読み取れるのは、「コミュニケーション力」や「協調性」を支える力としてのニーズでした。

以上のことから読み取れるのは、母親が子どもに求める能力は「集団を生き抜く力」であり、社会においてニーズの高い「社会的能力」であるということ。ちなみにコミュニケーション力や協調性など、数値で測れないこれらの能力は、いずれも「非認知能力」と呼ばれています。

「非認知能力」とは、物事に対する姿勢や取り組み方、他者との関係の構築など日常生活や社会活動において重視される能力。最初にこの非認知能力の重要性を提唱したノーベル賞受賞経済学者のジェームズ・ヘックマン氏は「子どもたちが社会経済的に成功をおさめ、ウェルビーイングな生き方につなげるためには、非認知能力を育成することが重要だ」と指摘しています。

また、この非認知能力の発達が顕著に見られるのは幼児期から小学校高学年までの学童期といわれており、早い段階で非認知能力を育成することは、子どもたちの「人生を生き抜く力」の土台をつくることだといえるのです。

参照:小学校教員のための教育情報メディア『みんなの教育技術

VUCA時代を生き抜くために必要な力こそ、母親が子どもに求める能力だった

「母親たちは、子どもに『非認知能力』の習得を期待している」。ここから考察できるのは、かつての「安心して個性を伸ばしていける時代」から、個性より先に「社会を上手に渡り歩き生き抜いていく力」が必要な時代になったと、母親たちが感じているということです。つまり、彼女たちもまた日々の生活の中で「VUCA時代」の到来を実感しているのだといえます。

確かにこれまでの教育現場では「知識量」や「スピード」「正確さ」が重視されてきました。しかし、これからの時代はどうでしょう。これらの項目において人間は、おそらくAIにはかないません。一方でAIの苦手分野である「臨機応変さ」や、先ほど挙げた「非認知能力」、「社会性」などは人間だからこそ培えるスキルであり、母親たちはまさにそれを「子どもに身につけてほしい」と考えているのです。 では、そういった力を子どもたちが学童期に培うためには一体何が必要なのか。学校生活や集団生活での学びはもちろんですが、家庭での学びの環境づくりや親子の対話、コミュニケーションのなかにもその答えはあるはず。今後は小学校でも家庭でも 「社会性」、「非認知能力」育成の重要性が増していくと考えられます。

VUCA時代の消費者を惹きつけるのは、「非認知能力を育む」コンテンツ

VUCA時代において有効で、現代の母親たちが子どもに求めている「非認知能力」は、人格形成のベースとなり人生の土台となるだけでなく、リーダーシップやアイディアの発想など、ビジネスでも必要とされる能力です。

数値化できない「非認知能力」をいかに伸ばすか。その答えこそが、母親たちが探すもの。

だからこそ、これからの企業に求められているのは、探求心や好奇心を刺激するモノ、創造力や想像力を育む商品、コミュニケーション力を築くきっかけになるコンテンツなどの展開だということが、当調査の結果から見えてきました。


幼児誌・学年誌をはじめとして、保育園から子供向け教育施設の運営まで小学館グループは様々な子ども事業を行なっております。複雑化する社会の中での「子どもの今」をAD POCKETを通じて発信していきます。ぜひご期待ください。

また今回の「小学1、2年生の子どもを持つ母親のインサイトを探る」の詳しい調査資料や詳細分析をご覧になりたい方は以下のボタンよりダウンロードいただけます。本調査はグループインタビューやフリーアンサーをまとめたことで、母親の子どもに対する想いの相関を知ることができます。ぜひご活用ください。

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