作品に興味を持たれたクライアントさんとは、お互いに刺激しあえるような共創を展開したいです。
『サンデーGX』横山真義編集長インタビュー
2023/10/26
初めて手にする方にも満足していただける作品が揃っています
横山真義編集長は2000年に入社。『ヤングサンデー』に配属され、『電車男~ネット発、各駅停車のラブ・ストーリー~』(作/原秀則)などを担当し、2008年にモバMANに異動。2010年、『少年サンデー』に異動し、『境界のRINNE』(作/高橋留美子)などを担当する。2018年、『サンデーGX』に異動、2022年より編集長に就任。
サンデーの遺伝子を残したまま、エッジの効いた刺激ある作品を提供する姿勢は変わらず
創刊23周年を迎えた『サンデーGX』ですが、中心となっている読者層を教えてください。
「『サンデーGX』の特色のひとつかもしれませんが、紙本体の主だった読者層というよりは、各作品の読者の集合体といった側面が強いように感じています。例えば、2000年の創刊初期からの人気作『BLACK LAGOON』(作/広江礼威)がわかりやすいと思うのですが、そういったガンアクション作品を好む読者がベースにいます。事実、『BLACK LAGOON』のスピンオフ作品を掲載すると、読者からの反応がいいんです。
最近ではアニメ化の影響もあり、『薬屋のひとりごと』(作/日向夏・画/倉田三ノ路)の人気がとても高く、この作品を支持してくださっている女性読者も増えています。そういう意味では、アニメ化され放送中の『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(作/麻生羽呂・画/高田康太郎)が、どんな新しい読者層を本誌に連れてきてくれるのか、興味深く見守っているところですね。
やはり、アニメ化された作品が全国放送されると、いろんな世代の不特定多数の方々が楽しんでくださるわけで、その中からひとりでも多く『サンデーGX』に興味を持ってくださり、『ゾン100』以外の作品も愛読してくださるようになればと期待しています。『サンデーGX』には、初めて手にする方にも満足していただける作品が揃っていますから」
サンデー・ブランド唯一の青年向け媒体であることを意識していますか。
「意識はしています。それがすべてではありませんが、さきほど挙げた『BLACK LAGOON』は東南アジアを舞台に各国の悪党連中が入り乱れ、麻薬、銃弾、血しぶき、大金が飛び交うピカレスクロマンで、少年誌では描けない世界観を誇っています。そのような刺激の強い、いわゆるエッジの効いた作品を提供する場だという姿勢は創刊当時から変わっていません。
ただ、創刊初期に〝サンデーの遺伝子を持った新しい世代のためのコミック誌〟といったキャッチコピーを掲げていたのですが、それは少しニュアンスが変わってきました。ここでいう新しい世代とはライトオタクたちのことを指していたと思うのですが、当時は彼らを強く意識した作品作りを目指していたそうです。しかし、時代は進み、今はもう彼らの存在は区切られることなく一般化、揺るぎない市民権を得ているじゃないですか。近頃ではアニメの声優さんやアニメキャラそのものがファッション誌の表紙を飾ったり、武道館やアリーナクラスでファンを巻き込み、ライブなどを行っていますし。
つまり、わざわざ〝新しい世代のための〟と謳わなくても、また、意識せずとも、サンデーの遺伝子を受け継いだ『サンデーGX』らしい、エッジの鋭い作品を提供できるようになり、まさに〝王道月刊誌〟の道を歩み始めていると思っています」
サンデー・ブランド唯一の青年誌として、大人が楽しみながら満足できる共創も可能性あり
今後、『サンデーGX』の作品群に魅力を感じているクライアントと、どのような共創(コラボやイベント、商品開発など)に取り組んでいきたいですか。
「これまで『BLACK LAGOON』を軸に遊技機・オリジナルのモデルガンの開発などが企画としてあり、制作側も作品のイメージを大切に守りながら、なおかつ楽しんで作り上げてきました。読者のみなさんの感触もよく、そのような共創を積み重ねることによって、作品の世界観がさらに広がっていったと感じています。今後も作品に興味を持たれたクライアントさんとは、お互いに刺激しあえるような共創を展開できればと願っています。
初めに読者層に関する話をさせていただきましたが、共創に関しても同じことが言えると思うんですね。『薬屋のひとりごと』や『ゾン100』のアニメ化により、それをきっかけとして新しい読者が増えてきた。共創に関しても、テレビを通して多くの人が作品に触れることで、それこそ接点のなかったクライアントさんが、まったく新しい心沸き立つような共創のアイデアを提案してくれるかもしれない。そんな出会いを僕らは心待ちにしていますし、その結果、お互いにどのような化学反応が起きるかにも期待しています。
例えば、僕はテーマパークが好きなんですが、『ゾン100』をモチーフにしたお化け屋敷をイベントスペースに作り上げちゃうとか(笑)。かなりスリリングな仕掛けができると思うんですよね。もちろん、笑えるツボも押さえつつ、そういった遊び心満載の共創もアリなのではないでしょうか。読者もきっと大喜びしてくれるんじゃないでしょうか。
ほかにも、以前に『BLACK LAGOON』でウイスキーのラベルを製作したことがあるのですが、サンデー系唯一の青年誌としては『少年サンデー』や『ゲッサン』では取り組みが難しいであろう、大人向けの仕掛けや商品とのコラボにも興味はあります。ぜひ、お声掛けをいただければ」
作品がアニメ化されるケースが多いです。その要因を教えてください。
「要因がわかれば、苦労はしません。逆に、教えていただきたい(笑)。ただ、漫画家さんも編集部も愚直に面白いものを作ろうと頑張ってきたことが、ようやく実を結んできたのかなと。もしかしたら、マンガ誌において連載が始まりました、はい、次にアニメ化も決まりましたなんて、そんな都合のよい近道はないのかもしれませんね。1話ずつ、愚直に読者の心に刺さる作品に仕上げていく。その積み重ねの先に、アニメ化、映像化の話があるのだと信じたいです」
編集長の趣味は? その趣味が編集作業に反映されることはありますか。
「先ほども言いましたが、テーマパーク好きなんですよ。ディズニーランドも好きですしね、あれこそキャラクタービジネスの極みだと思います。テーマパークに足を踏み入れると、そこから非日常が始まるわけじゃないですか。気分が高揚して、夢の世界を漂うような(笑)。僕の中に、そういう風に人を一瞬にして違う世界に誘う地場といいますか、エネルギーといったものに対する憧れのようなものが根っこにあるのかもしれませんね。
だからといって、そういう想いが仕事に反映されているかというと、そういうことはないんですが。ただ、さっき『ゾン100』の共創でお化け屋敷はどうだろうといった話になった時、ユニバーサル・スタジオ(ハリウッド)の『ウォーキング・デッド』のアトラクションがチラッと脳裏をよぎりました(笑)」
横山編集長の話の中に〝蜘蛛の巣〟というワードが出てきました。作品を中心点に置き、そこからアニメ化、映画化などの映像化が広がり、そこからまた、ゲーム化、イベント開催など、蜘蛛の巣のようにその作品の世界観がリアルに広がっていく状況が理想形なのではないか、ということでした。事実、『サンデーGX』の読者にはライトユーザーが多く、彼らはそういった広がりをひとつひとつ丹念に追っかけていくのが大好きだったりします。そんな彼らを満足させる、広がりある共創に十分に対応できる作品が揃っているのが〝王道月刊誌〟『サンデーGX』です。
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