働く女性をターゲットに、マスに売り込みたいというクライアントさんとの相性は抜群です。『Oggi.jp』渡邉恒一郎編集長インタビュー
2023/02/21
編集長は〝スーパーサポートなんでも屋〟。働きながら人生を楽しむ女性に並走したい!
2000年に小学館に入社して以来、『CanCam』『AneCan』『Precious』などの女性ファッション誌の制作一筋でやってきました。ウェブメディアでの経験は長く、編集長としてウェブメディア『Precious.jp』を創設し、20年からは関連会社のMERYに出向し、リニューアル後のコンテンツを統括。22年7月より『Oggi.jp』編集長、『WEB Domani』編集長を務めています。
「働く」を軸に、外見も内面も深掘りするコンテンツを
2022年に創刊30年を迎えた、働く女性のためのファッション誌『Oggi』。その雑誌をより伝わりやすい形に再構築し、エンパワーするため17年からスタートしたのがウェブメディア『Oggi.jp』です。
「読者の半数以上を占めるのが18~34歳の年齢層で、新入社員から中堅までのワーキングウーマンです。特に多いのは30代の女性。転職や労務関係などの知識や、今後の人生や働き方のベンチマークを探している女性に支持されていると感じています」
年々ユーザー数を増やし、月間UU数は600~700万に。競合する他社の媒体とも2~4倍のユーザー数と、大きく引き離しています。
「本誌は30年の歴史があり、ワーキングウーマンに信頼されてきた実績があります。かつて読者だった方が企業の上層部になり、20代の後輩世代に『Oggi』をすすめてくださることも多いと聞いています。若い世代は雑誌よりもネットから情報を読む傾向があり、自分の好きな世界のことは詳しい一方、ビジネスというオフィシャルな場でのファッションやふるまい方に不安を抱えている、という人も多い。
雑誌『Oggi』はそういう女性に『確かなビジネスファッション情報が載っている、頼りになる媒体』として読まれるということを、MERYでZ世代の読者に触れる中で改めて気づかされました。一方で、『Oggi.jp』のコンテンツは、ビジネスで困ったシーンに巡り合ったときに、すぐに調べて役立てているという女性が多いと聞きました。
『Oggi.jp』が多くのユーザーに読まれているのは、『働く』を軸に、幅広い話題を扱っているためでしょう。中心的な読者は30代女性ですが、詳しく見ると10代から80代まで幅広い年代の方に読まれています。また、ビジネスマナーを知りたい、といった男性の読者も、かなり多いんですよ」
サイトでは、毎日16本程度の記事を配信。本誌で扱ったファッション、美容をよりわかりやすく再構成したものや、話題性のある新規の記事を作っています。
「365日コーデなどのファッション、美容、専門家監修のキャリアアップ講座、働く女性のバッグの中身、手土産、恋愛・結婚など、働く女性の外見、内面それぞれについて深掘りするコンテンツづくりを目指しています。
雑誌で扱った記事を再構成する場合でも、速報性の高いものや、実際に試してみるといったコンテンツを多く配信し、今求められているファッション、美容情報をリアルに見せる工夫をしています。働くうえでのあるあるの悩み事や、クスッと笑えるコラム、マナーや歳時記の教養を深めるコンテンツも、多くの専門家の監修を受けて作成し、働く女性の疑問や好奇心に応えられるように、幅広い話題を提供しています」
「ウェブメディアは、読者の反響が命。それを肝に銘じ、ユーザーファーストを貫いていく」と話す渡邉編集長。最も大切にしているのが、愛読者集団「Oggiブレーン」450人や『Oggi』のメルマガ会員、Instagram31万人、Twitter16万人というSNSフォロワーさんたちとの交流です。
「定期的に読者アンケート調査をさせていただいていますが、そこから見えてきた読者像は『平日はしっかり仕事もするが、仕事終わりや休日にも楽しみたい』というエネルギッシュな女性たち。2022年11月に開催した雑誌30周年イベントには愛読者集団の『Oggi』ブレーンの方々をお招きしたのですが、皆さんとてもおしゃれで、イベントをしっかり楽しんでくれていたのが印象的でした。お仕事で急遽来られなくなった場合は、伺えない旨を丁寧にご連絡くださるなど、真面目な方が多いと感じます。クライアントさんのイベントにお招きした場合でも、『Oggi』読者は参加率が非常に高いと評判です。
私もリアルイベントで直接お話することがありますが、仕事も遊びも全力で楽しもうという姿勢が伝わってきて、とても尊敬しています。行動的で向上心があり、情報発信力もある。こういう人たちが読者なのだと思うと、負けてはいられないというか、身の引き締まる思いです」
「わかりやすい」だけでなく、「手に取りやすい」仕組みをつくる
『Oggi』ブランドは、ワーキングウーマンの需要に応えながら、「シンプルでおしゃれ」「綺麗めできちんと」「時短で美しく」「働く女性の未来の可能性」などの世界観を作ってきました。その世界観に合ったタイアップ施策が多数実現しています。
「『Oggi』には『働く女性にとってのメジャーリーグ』的役割のある、メジャー媒体としての自負があります。そのため、新商品などの知名度を伸ばしたい、働く女性をターゲットに、マスに売り込みたいというクライアントさんとの相性は抜群です。
『きちんと見え』すること、仕事も審美眼もステップアップして歳を重ねていくこと、などを服装やファッション小物に求めるユーザーさんたちに対して、流行と社会性がバランスの取れたコーディネートや着回しの提案、商品提案が私たちが得意とするところです。
また、増し刷りなど店舗で『Oggi』のコンテンツを二次使用をしていただく場合は、お客さまへの説得材料として、大きなバックアップになるという自信をもっています。
美容では、『しっかりと肌を美しくしたい』という読者の要望から、23年は雑誌とデジタルで連動して『アーリーエイジングケア』『美容家電』『ベースメイク』などについて力を入れるという方針を立て、雑誌編集長とともに進めています。スキンケア、ファンデーション、美容家電などは読者の関心事が高いため、これらの商材を深く届けたいクライアントさんには適している媒体です。
ヘアスタイルについてもデジタルではかなりの分量のコンテンツを出しているため、ヘアケア、頭皮ケアの需要にもお応えできます」
ライフスタイルでも、話題性のあるタイアップを展開してきました。
「幕張の三井アウトレットパーク、湘南テラスモールといった地域密着型のファッション商業施設、チョコレートや牛肉、コーヒーなどの新商品の認知度やブランド力アップを目指す、といった企画を行ってきました。スポーツやエンタメジャンルでも、鹿島アントラーズと一緒に、サッカー場での観戦の楽しみ方を記事やSNSで特集。『Oggi』×鹿島アントラーズのコラボ商品の販売なども行いました。そのほかDリーグ、サントリーホールなどのエンターテインメントについて『一般女性がどう楽しめばいいのか?』について、その日の着こなしや髪型といったディテールにまで踏み込んで深掘りしてお伝えしたコンテンツも評判でした」
コロナ禍で少なくなっていたリアルイベント。そのなかで続けてきたゴルフ部の活動は、働きながらゴルフを楽しむ女性ゴルファーの増加に貢献。メディアのコミュニティが、趣味やスポーツ、活動などを生み出し、それがコンテンツとなる好例となっています。
「趣味としてゴルフを始めたいという人もいれば、会社のゴルフコンペを仕切ることになり、どうしたらいいか教えてほしい、という領域に達している女性もいて、会社での女性のポジションが変わりつつあるのをスポーツを通じて感じています。『Oggi』のゴルフ部は、19年からスタートし、ラウンドデビューを目指して1年間活動するのですが、現在4期生。1期生の方はもう立派な女性ゴルファーとしてハイスコアでラウンドされています。積極的に体験記を記事にしてくれるメンバーもいて、一緒にゴルフコンテンツをつくっている心強い同志という感じです。23年4月には、女性120人のゴルフコンペを開催することになり、とても楽しみです。
このような部活動は、社会人になってから友だちをつくるという貴重な機会にもなっています。ゴルフ部だけでなく、今後の媒体はコミュニティをどれだけ強くできるかが勝負の一つと思っています」
コンテンツづくりで、大切に思っていることは?
「単に『記事』を作ればいいということではなく、ユーザーに消費してもらいやすいツールでコンテンツを表現することが重要だと考えています。商品に説得力を持たせたい場合はスタイリストがインスタライブで解説したり、その商品の裏側にあるストーリーを読者代表が学んでいく過程を記事にしたり。お洋服の質感が写真で伝わりきれないものは、専属モデルが着こなしたリール動画で伝えたり。現地開催のイベントがある場合は、モデルや読者が行ってレポートコンテンツをすぐSNSに出すこともできます。また、『Oggi』のプロフェッショナルが作成したコンテンツの二次使用を店頭での販促などに活用していただくのも、お客さまへの大事なアプローチ手法だと思います。
『Oggi』ブランドの強みは、専属モデル、スタイリスト、専属読者モデル、部活読者など『働く女性を代表する顔』や『テクニックや属性を持っている人』が多くいること。そうした『Oggi』周辺の人たちの魅力を引き立てるために、SNSや動画にさらに力を入れて、雑誌、ウェブメディア、SNS、リアルイベントを連動させていきます。
また、今まで以上にユーザーとの接点を増やし、『Oggi』ワールドを楽しんで、人生に活かしていただくための企画を進めていきたいと思っています。愛読者集団との交流はもちろん、22年12月からスタートした『LINE公式アカウント』を通じて、ユーザーとより密接な関係性を作っていきたいと思っています。
これにより、アクティブな読者の生の声をクライアントさんに届けたり、クライアントさんの施策やイベントに読者を誘導するなど、『反響の生まれる現場』にこだわった企画を進め、クライアントさんの商品の販売、コンバージョン率UPに貢献していきたいと思っています」
「読者から多くのインプットをいただく」という渡邉編集長。5年前から始めた趣味のゴルフは「お話にならないくらいの腕前」だとか。ゴルフイベントでは「迷惑がかからないようにするのが精いっぱい」ですが、『Oggi.jp』編集長としては、「働く女性たちの仕事や人生の課題をともに見つめ、長く並走していきたい」と語ります。目指すは、かゆいところに手が届く〝スーパーサポートなんでも屋〟。その実現に日々励んでいます。
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