松本大洋氏の『東京ヒゴロ』が「漫画のアカデミー賞」を受賞!

2025/08/12

松本大洋氏の『東京ヒゴロ』が「漫画のアカデミー賞」とも称されるアメリカのアイズナー賞の「最優秀アジア作品賞」を受賞しました。

「漫画のアカデミー賞」で松本大洋氏が3度の快挙を達成!

2025年7月25日、アメリカのサンディエゴで開催された「ウィル・アイズナー・コミック・インダストリー・アワード(The 2025 Will Eisner Comic Industry Awards、以下アイズナー賞)」にて、松本大洋氏の『東京ヒゴロ』が「最優秀アジア作品賞」(Best U.S. Edition of International Material—Asia)を受賞しました。

アイズナー賞は、アメリカの漫画家ウィル・アイズナー氏の名を冠した、コミック業界における最高峰の賞のひとつ。審査員選出と業界関係者による投票で決定されることから、「漫画のアカデミー賞」とも呼ばれます。

2025年は、伊藤潤二氏(『富江』『うずまき』)と水木しげる氏(『ゲゲゲの鬼太郎』)が「殿堂入り」を果たしたことでも注目を集めました。松本氏にとって、アイズナー賞の受賞は『鉄コン筋クリート』(2008年)、『ルーヴルの猫』(2020年)に続く3度目の快挙になります。今回の受賞に際し、松本氏からは以下のコメントが寄せられました。

【松本大洋氏受賞コメント】
『東京ヒゴロ』で描いた漫画の世界を日本以外の読者の方々にも楽しんでいただけたこと、そしてこのようなすばらしい賞をいただけたことに、驚きとともに感謝の気持ちでいっぱいです。

『東京ヒゴロ』の創作には苦労もありましたがそれも含めて楽しくすばらしい経験でした。

連載を始めた当初は、中年編集者や漫画家が主人公の地味な作品を楽しんで読んでくれる人はいるのだろうか?との思いもあったのですが、連載中に読者の皆さんからのたくさんの反応をいただき、それが創作の大きな励みになったことがとても印象に残っています。

編集・出版・翻訳などいつも創作を支えてくださっているたくさんの方々、そして漫画を読んでくださっている読者の皆さんに、心より感謝します。

ありがとうございました。

日常を丁寧に描いた“静かな傑作”が、世界を魅了

『東京ヒゴロ』は、「ビッグコミックオリジナル」増刊号にて2019年より連載されました。物語の主人公は、大手出版社を早期退職した50代の漫画編集者・塩澤和夫。ある出来事をきっかけに、理想のコミック誌を自力で創り出そうと決意します。

敬愛する作家に執筆を依頼、また販売取扱いのお願いで大小の書店をめぐるなど、塩澤は孤軍奮闘で奔走する

日々の営みの中にある葛藤と再生を描いたこの作品は、読者の心にじんわりと沁み渡る“静かな傑作”として、幅広い支持を集めてきました。漫画家と編集者、会社と個人、そして自我と自己など、さまざまな関係性の距離感が描かれます。近すぎれば衝突し、遠すぎればすれ違う。そうした人間関係の揺れのなかで、失われたつながりや過去との向き合い、新たな出会いが、静かに浮かび上がります。

毎話のラストに描かれる東京の風景も印象的で、喧騒と静寂が共存する都市の空が、人々の“日頃”をやさしく包み込みます。読むたびに、静かな手応えを残してくれる一冊です。

左から第1話、第13話、最終話

【松本大洋氏略歴】
1967年、東京生まれ。1987年、講談社「月刊アフタヌーン四季賞」で準入選を果たし、デビュー。「週刊モーニング」にて『STRAIGHT』『点&面』を連載したのち、「ビッグコミックスピリッツ」にて『ZERO』『花男』『鉄コン筋クリート』『ピンポン』、『竹光侍』(原作:永福一成)などの作品を発表。『竹光侍』は2007年に第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2011年に第15回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。2016年、『Sunny』で第61回小学館漫画賞受賞。2020年、『ルーヴルの猫』で米国アイズナー賞を受賞。

ビッグコミックス
『東京ヒゴロ』
作者/松本大洋

1~3巻発売中
https://www.shogakukan.co.jp/books/09861117

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