完全月刊誌ならではの連続企画やタイムリーな訴求ができるのが強みです。 『めばえ』中門恭子編集長インタビュー
2025/06/13
長年築いてきた信頼感や安定感を維持できるよう、頑張ります
中門恭子編集長は1995年、小学館に入社。TV雑誌『TeLePaL』に配属され、2000年に『幼稚園』へ異動。その後、2007年に『めばえ』、2016年に『ぷっちぐみ』、2019年に『小学一年生』へ異動し、2022年、『幼稚園』に戻って、2023年、編集長に。2024年10月、『めばえ』編集長に就任。

親子で楽しめて、子どもの成長をサポートするコンテンツ
『めばえ』は1958年創刊の3・4歳児向け学習絵本。「アンパンマン」「パウ・パトロール」「きかんしゃトーマス」「ドラえもん」といった人気キャラクターが満載で、ごっこ遊びやシール遊びなど子どもが大好きな遊びを通して、さまざまな学びの心を育みます。
「読者の平均年齢は約3歳6ヶ月。男女比はほぼ半々で、男女どちらかに寄っている幼児誌が多いなか、これは結構珍しいと思います。親御さんに関しては、以前は、文字や数、英語などの教育に熱心な方が多かった印象があるんですが、最近は、小学校で学ぶような内容を早期にやらせたいといった感覚は弱まっている気がします。それよりも生活習慣をきちんと身につけるとか、お友達と仲良く遊べるとか、交通ルールを守るとか、そういうことへの関心のほうが高いのかなと。
今、子どもの教育の中で『自己肯定感を大事にする』ことが重視されていますが、子どもが自分自身を大事にし、周りの人も大事にして、この先自立して生きていってほしいというような気持ちが親御さんに強いのかなと感じます。
もともと幼児誌は、生活習慣も学べるし、ことばや季節の行事も学べるし、お友達とどう遊んだらいいかも学べる本なので、その基本コンセプトを大事にしていくつもりです」
雑誌作りにおいて念頭に置いているのは「親子で読む」ということです。
「最近の『めばえ』のアンケートでは平仮名が全く読めない子どもの割合が48.7%だったんですね。ということはおそらく、『めばえ』は誰かが一緒に読んであげているんだろうなと思います。そこで親子の会話が生まれたり、子どもが何をわかって何をわかっていないのかを親御さんが把握できたりもするので、『親子で読む』ことを意識して作るようにしています。
例えば、『アンパンマン』にはたくさんキャラクターがいるんですが、子どもはよく『これ誰?』ってきくんですよね。そのときにおうちの方がすぐ答えられるよう、キャラクターの横に小さく名前を入れているんです。すると、『お母さん、すごい!』みたいになるし、親も調べなくていいからストレスがない。クイズも正解だけでなく、それ以外の情報もなるべく載せるようにして、わかりやすく、丁寧な誌面作りを心がけています」
近年は働いているお母さんが多く、親も子もそれぞれやることがあって忙しいため、ちょっとした隙間時間に『めばえ』を読んだり遊んだりができるよう、コンパクトに楽しめることも意識して、今の時代の子育てに寄り添う雑誌を目指しています。
誌面の遊びでタイアップ商品の魅力を具体的にアピール
タイアップで多いのはやはり玩具。誌面でのシール遊びやしかけ遊びで、その玩具の特性を疑似体験できるのは『めばえ』ならではの唯一無二の展開です。
「玩具のタイアップでは商品の紹介に加えてシールや厚紙の部品をつけ、子どもがシールを貼ったり部品を使ったりして遊びながら、その商品のギミックを疑似体験できるような取り組みもしています。商品の特性やおもしろさをより良く伝えられるということで、メーカーさんにとても好評ですし、読者アンケートでも上位に入ります。
今は玩具も結構高く、おうちの方も買うときに慎重になると思うんですが、『めばえ』で子どもが熱心に読んでいたり、『これ欲しい!』というものを買ってあげることができる。お試しみたいなことができるのは『めばえ』ならではだと思いますし、クリスマス前には、ありがたいことにそのようなタイアップのお話をたくさんいただきます」
3・4歳児が夢中になる遊び方や、さまざまなしかけ遊びのアイデアなどは、『めばえ』の長年の伝統とノウハウの蓄積によるもの。また本誌の後半にある保護者向けページで、専門家の裏付けのある記事やレポートをつけたタイアップもできます。
「そちらもやはり玩具メーカーさんが多いんですが、子どもの創造力を育むような玩具の場合、その玩具の狙いやどういった効果があるかなどを、親御さんにアピールしたいというご意向があるんですね。そこで専門家の方に教育的な視点を聞いたり、実際に子どもが遊んでいるところをレポートしたりして記事を作成しています」
今後は子どもの身の回り品や子ども向け映画などのタイアップにも力を入れたいとのこと。
「生活習慣が身につくようなもの、それも『しつけ』という感じではなく、遊びながらできるような企画もやっていきたいです。例えば歯みがきやお風呂を嫌がるお子さんもいるので、お風呂が楽しくなるようなグッズとか、子どもの足の健康を考えた靴とか。そういった子どものためのものをメーカーさんと組んで、企画記事や付録にできればいいですね。
また、子ども向けの映画はいろいろ公開されているんですけど、やはり映画館に行くのは少々ハードルが高くて、なかなか映画館デビューできないという声も聞きます。そこで『めばえ』とのコラボで親子で映画館に行きたくなる仕掛けができればと思っています。
それから『幼稚園』のように企業さんとのコラボ付録も企画したいですね。子どもになじみがあるフードコートのお店やお菓子メーカーとのコラボで、ごっこ遊びができたら楽しそうだなと思います」
幼児誌唯一の完全月刊誌であり、長く続けているからこその強み
『めばえ』『ベビーブック』『幼稚園』の3誌の編集部は幼児誌編集室として1つにまとまっているため、2誌または3誌を連携させた、よりスケールの大きいタイアップも可能です。
「幼児誌のタイアップ先として相性がいいなと思うのは、子ども向けのアミューズメント施設やイベント。そこへ読者モデルを連れて行って体験レポートを掲載すると、読者に関心を持ってもらえそうです。
そのほか、幼児向けにアピールしたいものがあれば、幼児誌編集室にご相談いただければと思います。そのものによって、これは『めばえ』と『ベビーブック』でやりましょうとか、これは『幼稚園』がいいですね、などとこちらからご提案もできます。実際の読者の特性などは、外から見ているイメージと少し違うこともありますから、最適な媒体をおすすめできます」
『めばえ』は2025年現在、幼児誌で唯一の完全月刊誌で、そこが一番の強みでもあります。
「毎月出しているからこそできることがあって、例えばタイアップ企画を連続で実施する連載的なことや、商品の発売日や映画の公開日にタイミングを合わせてアピールすることもできます。それから、『めばえ』には長く続けているからこその強みもあります。
アンパンマンやドラえもん、きかんしゃトーマス、シルバニアファミリー、仮面ライダー、クレヨンしんちゃん、キティちゃんなど、今『めばえ』に載っているキャラクターのほとんどは親御さんも子どものときに見ていたものなんですね。親御さんには懐かしいという思いもあるでしょうし、自分が好きだったものを子どもにも好きになってほしい気持ちもありますよね。親子で一緒に楽しめるということもあるかもしれません。長年築いてきた信頼感や安定感をこれからも維持できるよう、頑張りたいと思います」
もともと旅行が好きで、よく海外に行っていたのをコロナ以降、国内旅行に切り替えたという中門編集長。これまで行ったことがないところに集中的に行くようにして、ついに47都道府県制覇を達成。時間の余裕があるときは、その町の本屋さんを探して行き、『めばえ』が売られているのを確認したり、その町ならではの本の文化を感じているそう。そんな中門編集長が『めばえ』をより充実させ、子育てを応援していきます。