タイアップは表現方法をカスタマイズしてご提案します。 『Precious』池永裕子編集長インタビュー

2025/03/10

紙媒体ならではの写真やレイアウトで、世界観を構築しています

池永裕子編集長は、新卒で入社した出版社でのTV芸能誌編集者を経て、2006年、小学館に入社。念願だった女性誌編集者として『CanCam』、『Domani』、『Oggi』とキャリアを積み、産休・育休から復帰と同時に『Precious』に配属、2024年10月、編集長に就任。

大人の意思が宿る「美しき佇まい」を追求していきたい

「読者層のコアは40代女性、シンプルで上質なライフスタイルを楽しんでいる方です。そして、本質を見抜く目をもたれている、経験豊かでインテリジェンスな方々ばかり。媒体としての審美眼を信頼してくださっているため、読者のリーチ率が高くLINE配信の開封率が高いのも特徴のひとつです」

「情報としての流行は知っていても、流行に振り回されずに、自分の意思でスタイルを選び抜きたい読者に対してのアプローチを常に考えています。この世にありふれていない芸術性や匠の技術を称え、また写真はそれを感じられる佇まいがあること。人物を取り上げるなら、表面上のことだけでなく生き方が素敵と思われるように。

また、ジュエリーや時計を愛する読者を多くもつ媒体ですが、細部にまで施されたエレガントさを表現するために、さまざまな視点から作品をフォーカスするようにしています。掲載にあたって、お時間を割いてご協力いただいているPRのみなさまに、心から感謝申し上げます」

「20代で「『Domani』に異動して「大人の仕事ぶり」を間近で見たことで、ファッションに〝意思を感じる大人の佇まい〟があることを知りました。強く印象に残っているのは、「モデルが着せられているコーディネートになっていないか」と、何度もスタイリストから意見を求められたこと。当時の私には考えたことがない視点でした。そして、素敵な1ページを作るためにどこまでも追求する、そんな揺るぎないファッションへの思いは素敵だなと改めて思いました。

その後異動した『Oggi』では30代のリアルな声を元にファッションスタイルを構築。キャリアアップと同時に幸せになることにも前向きでパワー溢れる読者に寄り添えた経験は、私にとって非常に大きかったと思います」

「ブランドの歴史や作品は知っているつもりでは通用しません。Preciousの読者は知識も深く、情熱的な方ばかり。副編集長として着任した際は、創刊号から読み直すこと、ブランドの本やホームページをチェックすることが日課でした。もはや世界史を紐解くようではありますが、今なお世界中の人々から支持されているブランドの真髄や、そのスケール感には、圧倒されるばかり。貴重な歴史の1ページに立ち合わせていただいている、という気持ちをいつもまでも忘れずにいたいと思っています」

「ロングセラーは無条件に尊く、そして、しなやかな強さが宿っていると思いました。世代を超えて残ることの難しさ、持続させる難しさというのがありますが、時代に合わせて絶妙なマイナーチェンジをしているということは、美しいものを美しく作るために守っている人がいるということです」

「紙媒体は平面だから限界があると思いがちですが、いつの時代も変わらないことがあります。それは、編集者が360度アイテムを見て、時に触れて良さを見つけ、それを写真に落とし込むこと。編集者の目を通した表現です。まず、編集者がサイズ感、重さやテクスチャーなど理解を深めなければ、フォトグラファーとのセッションもできません。

その先に、ライティングだったり、構図だったり、読者のライフスタイルに寄り添うための写真表現があります。紙媒体の良さのひとつは写真で、さらに余白の美しさがあるレイアウトの楽しみ。これは雑誌の原点だと思います」

創刊号からのDNAを受け継ぐスタッフが作り上げるページの妙

「タイアップをご依頼されるブランドはそれぞれの意図があるからこそ申し込まれるわけですから、まずはご相談をよくお伺いすることから始まります。それにより、連載のように見せる、スタイリストの語りで見せる、印象的なビジュアル中心で見せる、あえて扉をモノクロにしてみるなど、Precious流のコンテを作成。求められることの表現方法をカスタマイズしてご提案しています」

「ページを作成するフォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイク、ライター陣は、日本のファッション雑誌を牽引してきた方ばかり。創刊メンバーも、今なお現役です。『Precious』創刊からのDNAを受け継いでいるだけでなく、ブランドの伝統と革新の道のりや佇まいも熟知しています。

そこには、ネット社会でありふれる虚構や嘘はありません。本当に素敵なカシミアはうっとりするほどの手触りで、バッグの手縫いのステッチは目を見張るほどの見事さ。これをしっかり可視化して、誌面にできるプロが揃っています。創刊からずっとラグジュアリーな媒体であり続けられている根幹だと思いますし、タイアップもそこで勝負をしていきたいと考えています」

「父の仕事の都合で、4歳~9歳まで西ドイツに、一時帰国してまた中1~中2の間、ドイツで過ごしました。当時のドイツはおしゃれなお店が少なく(笑)。多感な中学生の時は頑張ってBENETTONやSISLEYを買っていたんですが、祖父母が送ってくれる日本のドラマのビデオに衝撃を受けました。おしゃれ、かわいいお店がいっぱい! ネットが普及して海外の方が日本のファッションに惹かれるのと似たような感じだったと思います」

「社会状況の変化もあるので、100%変えないことは難しいです。それでも変えてはいけないことは、投影するタイムレスな女性像。仕事をいきいきと楽しみ、自分も周囲も幸せでありたいと考えている人。内面からのラグジュアリーが、美しい佇まいに現れている人。まとうスタイルに大人の余裕を感じさせる人。それを写真や誌面の余白で表現して、これからも本質を追い求めていきたいと考えています」

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