親子のハッピーな思い出づくりの一部を担うため、幼児誌の可能性を探っていきます。『幼稚園』河内紫秀編集長インタビュー

2022/06/29

親子の楽しい時間、親子のコミュニケーションを生み出す雑誌です

河内紫秀編集長は入社後、幼児誌『ベビーブック』に配属。以来、下は0歳児から上は小学校高学年までの子ども雑誌一筋。読み聞かせお話雑誌『おひさま』創刊から約8年間在籍したのち、少女漫画誌『ちゃお』に異動。第1子を出産し、職場復帰して再び幼児誌へ。『学習幼稚園』『幼稚園』『ベビーブック』の編集を経て、2018年に『ベビーブック』編集長に就任。組織統合により、2020年に『めばえ』編集長を兼任。2021年から『幼稚園』を加えた幼児誌3誌を統括する幼児誌編集室室長兼3誌の編集長に就任。

子どもが社会を知るきっかけとなるコラボ付録

1931年に創刊し90年以上の歴史を持つ『幼稚園』。今も昔も、4・5・6歳児の好奇心と知識欲を満足させる「生活知育学習誌」です。昨今は、いわゆる「企業コラボ」付録がテレビやラジオ、ネットニュースなどのメディアでひんぱんに取り上げられ、SNSでも10万人近い「いいね」がついたり、大いに話題になっています。紙工作による組み立て付録はもともとあったものですが、企業とコラボして、そのデザインをそのまま再現するという発想が大きな話題を呼び、次々にヒットを生み出しました。

「この付録、大人向けじゃないのと言われることもありますが、編集部としては全然そう思っていません。企業コラボ付録の際には、その企業さんの工場見学だったり、機械の秘密だったり歴史だったりという記事を必ず本誌に連動で入れているんです。子どもたちが、自分たちの生活を支えてくれている社会の仕組みを学んだり、モノづくりの大変さや、それに取り組んでいる大人たちの努力や工夫を知るきっかけとして付録を考えているんですね。数や文字の勉強だけが学習ではありませんし、子どもが楽しみながら社会や科学の世界に興味を持って好奇心を広げてくれるように、どこかに学べる要素がなければ付録にはしていないんです」

子どもの学びに役立つとして高く評価された一例に、NTT東日本・西日本とコラボした公衆電話の付録があります。携帯電話の普及により、子どもたちの大半は公衆電話の使い方を知りません。付録にすることで遊びながら使い方が身につき、災害時にも使えるようになるということで、防災教育の一環として非常によかったとの声が多数寄せられました。

「それから、『日本雑誌広告賞』のグランプリを受賞した東芝テックさんのセルフレジ付録も、社会や科学の学びにつながるという知育の視点が評価されました。審査員の先生方には、企業の子どもに向けた社会貢献的なメッセージも感じられるタイアップで、新しい形の広告の世界を切り開いたと言っていただき、すごくうれしかったです」

「親子で見ていただく」ことを重視したつくり

付録が話題の号は完売することも多く、付録以外のタイアップにもプラス効果が働きます。

「付録めあてで買っても、付録だけ手にして本誌は見ないという方はいないですよね。読者アンケートでも、付録が欲しくて買ったけど、本誌も子どもがとても喜んで読んでいたからよかったです、という声が多いんです。それは編集部としてもうれしいですし、例えば中面でタイアップしていただいた企業さんのページも必ず見ていただける。子どもは雑誌の隅から隅まで繰り返し見てくれますよ」

さらに読者は、『幼稚園』を子どもだけでなく、親子で楽しんでくれているそうです。

「本誌は基本的にはひらがな表記で、カタカナにはすべてルビをふってあるんですが、一人で読むのはまだ難しいというお子さんが大半です。文字は読めても内容がよく理解できないとか。親御さんに読み聞かせてもらったり、意味を聞いたりしながら読むんです」

「『幼稚園』の読者の親御さんは、子育てに非常にまじめに取り組まれていて、そういう親子のコミュニケーションを大切に思い、望まれていると感じます」と河内編集長。

「今の子どもの世界には、YouTubeやネット配信など手軽な娯楽がたくさんあります。そんな中でわざわざ雑誌を買って、子どもと一緒に付録を組み立てたり、読み聞かせをしたり、ドリルページに花マルをつけたり、そういう手間をかけることに意義を感じる方が読者の親御さんなんですね。それは単に教育熱心というだけではなく、子どものことをすごくよく考えて大切にしているから、手間やお金がかかっても子どもが喜ぶことをしてやりたいという、子どもファーストの方々。広告的に言いますと、かなりセグメントされたお客さまだなというふうに思っています」

『幼稚園』の長年つみあげてきたブランド力も、タイアップの成果を上昇させています。

「『幼稚園』のこれまでの歴史が持つ信頼感があるから、そこで取り上げられている商品に対して基本的に安心感を持っていただけるんだと思います。これは得難いものですよね」

今後の展望としては、より幅広い企業とコラボしていきたいと河内編集長。

「先日、お会いした建設業界の方が、少子化が進む中、将来この業界で働きたいと言ってくれる子どもがいるだろうかという強い危機感をお持ちだったんです。建設業界に限らず、自分たちの仕事を子どもたちに知ってもらって、将来こういう仕事もいいよねと思ってもらいたいという企業さんは多いと思います。とくに一般的に目立たない業種は、仕事内容をわかってもらったり、そもそもそういう仕事があることを知ってもらうのが意外に難しい。そうした企業さんの仕事や技術を紹介することは、私たちのコンセプトにも合いますし、うまくコラボできればと思います。例えば、建設でしたら橋の仕組みがわかる付録とか」

読者アンケートでも「仕組み」への関心は高く、エレベーターの動く仕組みや、飛行機内で使われているサービスワゴンの仕組みがわかる付録が欲しいといった要望が多いとのこと。

「うちの付録担当は『普段子どもが触らせてもらえないものを付録にして、思う存分触ってもらいたい』と言っていて、日々付録のネタを探しています。大人の技術の粋が詰まったものに、子どもが幼いながらも感心する。そういう気持ちは大事ですし、子どもがおもしろがってくれるような味つけをしながら、いろんなものに興味を持つ能力を引き出せたらと思っています」

自分自身が子どものときに楽しかった記憶が、仕事の原動力になっているという河内編集長。『幼稚園』が親子のハッピーな思い出づくりの一部を担えたらとの熱い思いで、幼児誌のさらなる可能性を探っていきます。

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