定性リサーチ第2弾! コロナ禍で表出した「パーパス消費」に変化はあったか?
2023/05/29
ミレニアル世代の「パーパス」は自分の中で自分の存在を実感することだった
SMP定性リサーチ ラボでは2022年8月に発表した「コロナ禍で変わった!お金を払ってでも大切にしたいもの」調査から、いくつかの仮説を導出しました。その主軸となっているのが「パーパス消費」です。
今回、再度FGI(フォーカスグループインタビュー)を行うことでその後の変化も含め、これらの仮説を確認・修正し、さらに精緻な仮説にブラッシュアップすることを目指しました。
2022年8月に発表した「コロナ禍で変わった!お金を払ってでも大切にしたいもの」調査で以下の仮説が導出されました。
①「パーパス」(自己の存在意義)は、企業の経営概念(パーパスブランディング)から個人の存在意義を考える概念になる。
②「モノ消費」「コト消費」「ヒト消費」などに続く新たな消費「パーパス(存在意義)消費」が生まれている。
③企業も個のパーパスを意識せざるを得なくなる。
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今回調査でこれらの仮説をさらに掘り下げるため、2グループのFGI(フォーカスグループインタビュー)を実施し、得られた発言データを類型化・構造化した上で解析しました。
その結果、前回仮説はほぼ同様に確認されましたが、一部新たな気づきもありました。前回調査では、社会における個人の存在意義を「個のパーパス」と捉えていましたが、今回の調査では、他者からの目を意識した存在意義というニュアンスには抵抗感を示す発言が多く見られ、むしろ、自分自身と向き合うことで自分の存在を実感できることが(将来への安心も含め)大切であり、それこそがミレニアル世代にとっての「パーパス」であることがわかったことは仮説の修正点でした。
その背景にはこの1年間のコロナ疲れや予測できない将来への不安もあったと考えられる一方、もともと自分の中にあった「自分らしく生きたい」欲求がより表に出てきたとも考えられ、そこでは「無理にがんばらなくてもいい」というミレニアル世代の上手に力を抜いた生きがいへの志向が見られました。
また、「パーパス消費」においては、「今の自分だけでなく、未来の自分にとって価値があるものにお金を使う」傾向がとくに既婚者に顕著でした。
調査手法
フォーカスグループインタビュー:5名×2グループ
調査対象者
26歳~35歳のミレニアル世代女性 首都圏在住
グループ構成
G1 未婚女性5名
G2 既婚女性5名
ミレニアル世代の未婚既婚女性グループの根底にある欲求は……
《未婚グループ》自分に正直に柔軟に生きていきたい!
- 自分の武器になる能力を身に付け、キャリアを上げ、仕事を面白いと思えるうちは働きたい
- 無駄をなくし、自分視点で価値があると納得するものにはとことん投資
- 自分に本当に必要な人とだけ過ごし、ストレスフリーに
《既婚グループ》未来の自分も今から可愛がりたい!
- 自分のリズムを大切にしたいし、無理をしてまで頑張りたくない
- 今の自分だけではなく、未来の自分にとって価値が あるものにお金は使う
- 自分を受け入れてくれる人以外は、あまりこだわりがない
「消費」から「消化」の時代に?
ミレニアル世代は「個のパーパス(自己の存在を実感すること)」を高めるために消費するという仮説においては、自分の身になるもの、役に立つことには支出を惜しまない。その行動は 「消費=使ってなくすこと」というよりも「消化=(食べたものを)吸収すること、(ことがらを)自分のものとすること」に近く、将来の予測が難しい時代だからこそ、刹那的にはならず将来を見据えて自分自身を充実させることを優先していると考えられます。
SMP定性リサーチ ラボとは
株式会社小学館メディアプロモーション(SMP)が立ち上げた定性リサーチチーム。自社のモデレーターたちによるフォーカスグループインタビューやデプスインタビューを通じて、そこで得た定性的な気づきや発見から新たな仮説を抽出することを強みとしています。
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