〝予想もしていなかった角度〟からのご提案をお待ちしています。
『ビッグコミックスピリッツ』加納由樹編集長インタビュー

2023/12/06

スポーツから医療、教育、地域密着まで……様々なテーマの作品が連載中です

加納由樹編集長は2014年、小学館に入社後、『週刊ビッグコミックスピリッツ』(以下『スピリッツ』)に配属。『二月の勝者-絶対合格の教室-』(作/高瀬志帆)などを担当し、2020年、副編集長に。2022年、編集長代理を経て、2023年より編集長就任。

今の時代に合った『ビッグコミックスピリッツ』の核となる作品を追い求める

「就任する時点で『とても困難な道のりになるな』と思っていたのでプレッシャーは特に感じてはいないですね。ここ数年の『スピリッツ』は上り調子でした。昨年まではコロナ禍の巣ごもり需要で電子書籍の売り上げが好調だったり、『アオアシ』(作/小林有吾)のアニメ化での人気の広がりがあったり、『九条の大罪』(作/真鍋昌平)などの連載作品も好調でしたから。

それがコロナの5類への移行があり、徐々に社会が外向きに動き始めたのと並行して時期的にも『チ。-地球の運動について-』(作/魚豊)などの人気作がいくつか完結したので、ちょっと勢いが止まった状態なんです。そういった絶好調の上り切った状態から、少し緩やかに下っている途中で編集長を引き継ぎました。そうはいっても、別にあたふたしても仕方ないですし、ここからまたどうやって持ち上げていくか、再び最高の勢いで走り出すためには何をすればよいのかを考えています」

「読者のみなさんが喜んでくださる作品を作り出すという基本的なことを前提として、秘策というよりも、こういう時期だからこそ、『スピリッツ』らしい作品とは何だろうと改めて問い直してみたいですね。

面白ければいいじゃん、売れればいいじゃんというような作品に対する取り組み方をしていると、結果的に自分たちが対象にしているクラスターから離れてしまうような気がするんです。つまり、お寿司屋さんに行っていろんなネタを握ってもらい、おいしく食べるのはいいけれども、急にラーメンを出されたら、美味しかったとしてもそれはちょっと違うかもって思うじゃないですか。人気作がいくつか完結して雑誌の自由度の高い今だからこそ、この1年間はファミレスのようにいろんなメニューを揃え、そこから健全な競争が始まり、淘汰され残ったものの中から、次の『スピリッツ』がどういうマンガ誌なのかが見えてくるのではないかと」

「その時代ごとに違うと思うんですけど、自分は学生の頃から『スピリッツ』を読んでいたんですが、その頃のめり込んでいたのは、読むと心が自然と興奮する作品だったんです。ページをめくるたびに体温が上がっていくような、そんな作品が『スピリッツ』の核だと思っていました。もちろん、単純に面白さを追求する作品や癒される作品も楽しみながら愛読していましたが、それよりもワクワクドキドキ、次の展開を想像するだけで心拍数が上がっていくような作品に魅かれていましたね。今の『スピリッツ』でも真鍋昌平先生の作品はドキドキしますし、まさに〝スピリッツ〟らしいなと感じています。『アオアシ』もそうですよね。試合の場面では手に汗を握り、確実に心拍数が上がりますから」

〝予想もしない角度〟から生み出される共創のアイデアで作品は輝きを増す

「当時は全国紙と『二月の勝者-絶対合格の教室-』が手を組むことがどれだけ凄いことなのかいまひとつ理解できていなかった部分もあったんですが、企画内容は刺激的でしたし、携わっていて非常に面白かったですね。今後もそういう案件が提示されれば、ぜひ協力していきたいと思っています。

『二月の勝者-絶対合格の教室-』においての他社さんとの共創では、現在、ロッテの『コアラのマーチ』とのコラボ企画が実施中です。『コアラのマーチ』は六角形の形をしていますが、毎年、受験シーズンにだけ五角形に変え、いわゆる〝ごーかくのマーチ〟として販売しているんです。それで今年は『二月の勝者-絶対合格の教室-』バージョンの〝ごーかくのマーチ〟が販売されることになったんですよ。

先日、試作品が編集部に届けられたんですが、10種類の黒木蔵人の名言が封入されていて、そのこだわりというか遊び心には編集部員みんな自然と笑顔になりました。そんな誰もがクスッと笑えるアイデアは素敵だと思いますし、タイアップを実施するにしても、『コアラのマーチ』のように共創する企業さんも編集部も、そして、読者のみなさんが盛り上がれる企画に取り組んでいきたいです」

「仕掛けるということではなくて、あくまでも基本は〝一緒に作り上げていく〟なんです。『アオアシ展』を例にすると、スピンオフ作品『アオアシ ブラザーフット』の舞台が愛媛FCという愛媛県全県をホームタウンとする日本プロサッカーリーグJ3に加盟するプロサッカークラブなんですね。せっかく『アオアシ展』を開催するなら、愛媛FCも盛り上がり、誌面でも盛り上がって、その経過がニュースとなり、全国に広まっていければいいなと考えたんです。

そこで愛媛FCとFC今治が直接対決を行う伊予決戦を『ビッグコミックスピリッツ』の名前を冠した試合にしていただけるようお声がけして、さらに愛媛FCさんの方でイベントの要素も取り入れて『アオアシ』のアニメ主題歌を歌う歌手もお呼びし、華やかなものにしながら伊予決戦を盛り上げつつ、その1週間後に『アオアシ展』を開催するといった、ひとつひとつの段階を密に一緒になって相談しながら作りました」

「そういった姿勢を大事にしていくと、次第に編集部の意図を超えて勝手に作品が動きだすんですよね。それを感じたのは『君は放課後インソムニア』(作/オジロマコト)のアニメ化、実写映画化のときです。どちらの制作にもポニーキャニオンさんが入ってくださることになり、この作品の舞台が石川県七尾市ということもあって、いわゆる聖地化に向けて動いてくださったんです。結果、七尾市を動かし、予算も付いて『君は放課後インソムニア』のラッピング列車やラッピングバスを走らせることができました。

自治体までも巻き込んだダイナミックな展開を一緒になって行うと、自分たちの想像を超えてキャラクターたちが活き活きと映り、市民のみなさんにも支持されていく。それがわかっただけでも、大変勉強になったイベントでしたね」

「多くの人に関わっていただけると、それだけ多種多様なアイデアなり意見が出てきます。その当たり前のことが重要なんです。人気連載作品で何かコラボ商品を作ろうとした場合、たまに自分たち編集者、作品の熱心なファンですら思い付かないようなアイデアが〝予想もしない角度〟から、ひょっこり提案されることがある。それって、関わってくださっている様々な分野の方たちの視点から生み出されるアイデアだと思うんです。

実は、この自分たちが〝予想もしていなかった角度〟からの提案がとても魅力的なんですよ。どうしても私たちは作品に対して一方向でしか見られなくなってしまうことがありますし、その狭まった視線を拡げてくれる提案にはワクワクしますね。

このコンテンツをこういった層に向けて作っているけれども、こういうおめかしを施すとこっちの層にも受けます、というような提案をいただければ、仕事としても楽しいですし、作品にとっても非常にありがたい。『スピリッツ』にはスポーツ、医療、教育、芸術、地域密着ものと、現実社会と密接なテーマの作品が数多く連載中です。私たちは、いつでも〝えっ、そんな角度からの見方〟もあったのかというご提案をお待ちしています。そして一緒にワクワクしながら、実現に向けての階段をひとつずつ上っていきたいですね」

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