現場の先生方の心に届くタイアップ企画を実現させていきたいです。
『みんなの教育技術』山本春秋編集長インタビュー

2023/07/18

学校の先生の「知りたいこと」に複合的に応える、有用性の高いWEBサイトです

山本春秋編集長は2008年に小学館に入社。ネットメディアセンターに配属され、小学館の先駆的なデジタル媒体のネットマガジン『SooK』の編集を担当。その後、改称されたデジタル事業局でiPhone向けアプリや電子辞書用コンテンツの事業開発、女性向けオンラインメディアの編集に携わる。その後ライフスタイル局に異動し、『サライ』の編集を経て、公式サイト『サライ.jp』の運営および通販事業室でEコマースの開発に関わる。2019年に第三児童学習局に異動し、児童学習局全体のデジタルメディア推進業務を担当。『教育技術』公式サイト『みんなの教育技術』のリニューアル、運営に携わり、2023年に編集長に就任。

雑誌と合流して国内最大級の「学校の先生向け」メディアに成長

教師のための教育情報WEBメディア『みんなの教育技術』。母体は90年以上の歴史を持つ小学校教師向け専門誌『教育技術』です。長らく学校の先生方に愛読されてきた雑誌が、2022年に紙媒体からWEBサイトに刊行形態を移行しました。

「それまでの紙の雑誌では、2学年ごとの3誌と管理職向け1誌の計4誌で展開されていた記事を、一つのメディアに統合したのが『みんなの教育技術』です。ですから小学1年生から6年生までの各学年担任の先生向けの記事もあれば、校長・教頭など管理職の先生向けの記事もあります。サイト自体は2019年に雑誌の公式サイトとしてスタートし、2020年に大幅リニューアルして現在に至っています。当初は雑誌からの再録記事がメインでしたが、2022年からは紙の各誌の編集者も合流して編集体制を充実させ、質の高いWebオリジナル記事を毎日更新しています。おかげさまでユーザーとトラフィックもずっと右肩上がりで伸びていて、2023年春には月間100万UUを達成しました。教員向け情報サイトとしては国内最大級といってよい規模感に達したと見ています」

教師向けの情報メディアですが、WEBになったことで読者層が広がってきています。

「とにかくコンテンツが先生向けに特化しているので、ユーザーは学校教員、特に小学校教師が中心です。Googleからの検索流入のキーワードを見ると、ユーザーの大半は検索流入で、『教室でできる遊び』『盛り上がる学年レク』『学級崩壊立て直し』といった先生ならではの関心・困りごとや、授業の単元名+指導案などのキーワードで検索して来訪し、我々の記事に到達しています。この検索流入が集客の一番太いルートとなっています。ただ、直近では月間のユーザー数が100万を超えてきており、全国の小学校の先生が約40万人であることを考えると、間違いなく小学校の先生以外の方も見ていらっしゃる。

小学校以外の先生・教育関係者のほか、家庭でのお子さんの指導のヒントを求めてサイトに来られる保護者の方もいるのかなと想定しています。オープンなWEBになったことで、雑誌ではリーチできなかった全国の先生方や、先生以外の教育関心層にリーチできている実感があります」

検索経由でサイトを訪れるユーザーの多様なニーズに応えるべく、各人が探している情報をできるだけ効率よく見つけられるシステムを構築しています。

「本の形態になっていればパラパラと全部の記事に目を通していただけるんですが、WEBになるとどういう記事があるのかが見えにくく、探しにくくなってしまうという構造的な問題があります。尚かつサイト内に小学校1年生から6年生までの全教科、全単元、さらに管理職向けの記事も大量にあり、内容も非常にバラエティーに富んでいるので、来訪者のニーズに合わせてどう見せるかが悩ましいところです。そこで各記事に『学年タグ』や『教科タグ』、何月向けの記事かを示す『月タグ』などのメタデータを複合的に付加することで、キーワードやカテゴリーに加え、タグの掛け合わせによって必要な記事群を表示し、探してもらえるようにしています」

一方、過去の記事をまとめて閲覧できるのはWEBならではのメリットです。

「『みんなの教育技術』には過去10年分に近いバックナンバーの記事を投入しています。それをテーマや学年、教科、執筆者などで串刺しにして見ることができるのはWEBのよさ。たとえば同じ学年の同じテーマ、同じ単元でも、違う年の違う先生による指導アイデアがまとめて見られるので、先生方にとっては非常に有用性が高くなっていると思います。こうしたサイト上での情報の見せ方については、これまでにかなり綿密に改良を重ねて今に至っていますが、今後もさらに便利にしていきたいです。検索流入した読者に他の記事をできるだけ多く見てもらうという導線の工夫も重ねています」

特に需要が大きいのは教科指導案の記事で、雑誌の頃からのキラーコンテンツとのこと。

「先生が授業でこの単元はこういうふうに教えたらいいよ、という指導案ですね。このニーズが非常に高いです。現在サイト内にバックナンバーを含め1700本以上の指導案記事を用意しています。しかもほぼすべてが文部科学省教科調査官の監修付きという、やはり雑誌の頃からの付加価値があり、先生方が安心して参照いただける内容です。またWEBは紙幅に縛られずに記事の分量が増やせますから、とりわけ先生からのニーズが高い国語科については、単元ごとの全授業時間の指導案を板書例を含めトータルで1本の長大な記事にして公開しており、これは現場の先生にとって極めて価値が高いコンテンツだと思っています」

また、ユーザーの先生から寄せられた相談ごとに答える「相談室」のコーナーも人気です。

「現場の先生がから寄せられたさまざまなお悩みに対して、編集部が現役の先輩教師や力のある校長、臨床心理士、教育アドバイザーなど、経験豊かな識者に回答を依頼しています。回答者はまさに『教育技術』が長年かけて培ってきた素晴らしい人脈です。どの先生に聞けばいいかのマッチングを含め、編集部と先生方とのネットワークがうまく機能していると思います。教育現場も若年化が進み、相談できるような先輩の先生がいなかったり、また同じ職場の先生には聞きづらかったりもしますので、これは先生方にとってかなり頼もしいサービスだと思います。一人の先生の悩みは他の先生も同様に感じていることが多く、サイトで質問と回答をシェアすることで、当人以外にも救われる先生がいるだろうなと思います」

タイアップの説得力を増す「現場の声」の取材は、長年の実績がカギ

サイトの性格上、学校の先生や教育委員会にPRするタイアップは訴求力が抜群です。

「他の一般向けのWebメディアと比較すると、サイト自体のトラフィックボリュームはさほど大きくはないかもしれませんが、やはり確実に学校の先生や教育現場に届ける力があります。ターゲットがかなり絞られたサイトですので、そこにマッチする案件であれば非常に効果的かと。以前に栄養ドリンクのキャンペーンのタイアップで、運動会で子どもたちにサプライズで栄養ドリンクを配るというサンプリングをしまして、先生方にもクライアント様にも大変好評でした。そういった現場の先生方にアピールする企画は相性がいいですね」

小学生がタブレット端末で学習する時代、デジタル商材系のタイアップも非常に有効です。

「児童向けデジタル教材や先生方の業務改善につながるようなデジタルサービスも、我々のサイトとすごく親和性が高いです。GIGAスクール構想によって子どもたちには端末が行き渡りましたが、それらを有効に使うための教材や校務支援ツールなどに関してはまだこれから市場の大きな広がりが見込めます。そういった商材やサービスを先生に知ってもらいたい、体験してもらいたいという企業さまとは、ぜひ組ませていただきたいですね。どんな教材やサービスを使うかは教育委員会が決めたり、学校単位で導入しているところもありますが、現場からの『これを使いたい』という声が採用に繋がるケースも少なくないので、そういった認知度を上げる場として、我々のサイトは利用価値が高いと思います。動画を使ったり、商品のサイトにリンクを貼ったりもできますし」

タイアップにおいて説得力を格段に上げるのが、その商品やサービスを実際に使っている「現場の声」。その対応でも、教育雑誌としての長年の実績がものを言います。

「先生方が一番知りたいのは、それが現場でどう受け入れられたかなんですね。そこで我々としては、商品やサービスを単に紹介するだけではなく、実際にどう使われ、どうよかったのかまでお伝えするようにしています。それがその商材のよさを知ってもらう一番の方法だと思いますし、現場の声をしっかり集められるのは我々の強みです。学校への聞き取りに慣れていますし、また歴史の長い『教育技術』は学校現場でも広く認識されていて、ブランドステータスがあります。ゆえに『あの教育技術のサイト』ということで、学校への取材がしやすく、教育委員会にも入りやすい。そこはこれまで雑誌で培ってきたブランドの強みをうまく活かせると思います」

今後展開していきたいものとして、まずオンラインセミナーのタイアップがあります。

「現在月に2、3回、主にZoomを使った教員向けオンランセミナーを実施しています。ほとんどが有料ですが、毎回30〜50人の参加者があります。これを無料セミナーにすれば、おそらく数百人単位の参加者が見込めると思います。ぜひ企業さまの協賛を得て無料セミナーをやってみたいですね。すでにセミナーを実施するノウハウは蓄積していますし、先生方に影響力のある講師のキャスティングもできます。訴求したい商品やサービスについて、どういう先生にどんな切り口で話してもらうのがいいかなどは、こちらからご提案できます。参加者に直接PRできるのはもちろん、セミナーの内容を記事にしてサイトのコンテンツとして掲出することもできますし、セミナーの録画をYouTube等で拡散することもできます。組み合わせることで二重三重に商材のよさを伝えられると思います」

セミナーに現場の先生をアサインできるのは、やはり『みんなの教育技術』の強みです。

「この先生の話なら聞いてみたいという、先生に対して影響力のある先生方がおられるんですね。一般には知られていないけれど、先生の中ではよく知られた存在という、いわゆるインフルエンサーの先生ですが、そういう方を提案・ブッキングすることができます。そこも我々のメディアならではの力が発揮できる部分ですね」

また、オンラインのイベント的な展開にも、力を入れていきたいと考えています。

「2022年のGWにYouTubeで『みんなの教育技術オンラインフェス』というイベントをライブ配信したんです。インフルエンサーの先生6名に出演していただき、若手先生から寄せられたお悩みに、くじ引きで回答してもらったり、これは絶対生徒に受けるという鉄板アクティビティーを紹介してもらったり。またミュージシャンの方に先生達への応援歌を歌ってもらったりして、夕方5時から夜9時近くまでの長時間ライブだったんですが、再生回数からすると5000人以上の先生が見てくれました。こういったオンラインイベントを今後もやりたいなと思っていて、こちらも企業さんに協賛スポンサーになっていただければと。教員向けのイベントというのは少なく、あっても先生向けというと固めの研修ばかりになりがちなので、『みんなの教育技術』としては皆でわいわい楽しみながら、学びもある、元気にもなれるといったイベントをやっていきたいですね。楽しいイベントなら参加する先生も増えていくと思いますし。現場の先生の心にしっかり届くようなタイアップ企画というものを大事にしていきたいと考えています」

教育には個人的にも関心を抱いているという山本編集長。学童保育で働く専門職である放課後児童支援員の資格を2022年に取得。不登校の児童が増えている中、仕事としてやれるかどうかは別として、ゆくゆくは子どもたちの豊かな学びを支援できる居場所づくりに取り組みたいと考えているそうです。WEBにおいても情報を伝えるだけではなく、先生にも子どもたちにも参加してもらう場をつくり、そこでコミュニケーションをとるような形にシフトしていくイメージを持っているとのこと。この先の教育を広い視野で見据える山本編集長が『みんなの教育技術』を進化させていきます。

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