美しく年を重ねる“NEOエイジング美容”に多くの共感をいただいています。『美的GRAND』天野扶美編集長インタビュー
2023/01/19
エイジング対策のテーマを、さらに深掘りして読者に届けたい
天野扶美編集長は1996年に小学館に入社。創刊3号目の『美的』編集部に入って約7年半在籍。女性誌局内で『和樂』や『SAKURA』などに異動し、再び『美的』に戻って約6年在籍後、2022年11月に『美的GRAND』編集長に就任。入社以来ずっと美容関連の企画を担当。
年相応の美しさを求めた“NEOエイジング美容”を提案
大人のビューティマガジン『美的GRAND』。年4回の発行で、『美的』よりも少し上の40代〜50代(読者の平均年齢45歳)がターゲットです。読者の7割以上が仕事を持つ女性で、ある程度の役職や地位についている人が多く、子育ても一段落しつつある世代。仕事も生活も安定していることが読者の特性の一つで、経済的にも時間的にも余裕があり、自分磨きに重点を置いている方々だと天野編集長は語ります。
「若い方のように、例えば、彼氏のためにきれいになりたい、とかではなく、自分に向き合って、いわば自分のためにきれいになりたいと思っている方が多いと感じます。『美的』からこちらにスライドされてきた方もいらっしゃいますが、それだけではないことは読者に接していてわかっています。私たちは “NEOエイジング美容”と言っていますが、若作りではない年相応の美しさを目指していこう、自然に無理をせず年を重ねていこうという『美的GRAND』の考え方に共感して、読者になってくださった方が多いですね」
2018年の創刊以来提唱し続けている“NEOエイジング美容”のマインドは継承しつつ、今後はエイジング対策のテーマをさらに深掘りした情報を、読者に届けていきたいとのこと。
「毎号ワンテーマを深掘りしていきたいと考えています。年4回の雑誌なので、季節ごとのその年代にフォーカスした肌悩みをもっと深く掘り下げて、少しでも長い期間読んでいただけるようにしたいなと。そして『美的』が扱っているものよりさらに深く、読者の方が得たがっている美容の最新情報をお伝えしたいと思っています。例えば、美白がテーマだとすると、新製品を紹介するだけではなく、成分のことをくわしく取り上げたり、その成分がどうやって悩みポイントまで届くかの浸透技術までしっかり紹介するという感じですね」
読者がとりわけ求めている深掘り情報はスキンケア商品に関して。タイアップ効果も高く、「悩み別」の対応を謳っている商品などは、とくに読者に響くと言います。また高級コスメへの関心が高いのもグラン読者の特徴です。
「そもそもハイブランドの商品もそうですし、またこれは読者に調査した結果なんですが、1つのブランドが2つのラインの商品を出していたら、上位のほうに関心があるんです。気になるコスメは高額でもわりと躊躇なく買える方々が多いので、よりいいものを求めているんですね。毎月10万円ほどを美容に使う方も少なくなく、そのうち3〜4万円は美容クリニックに、残りはスキンケアやインナーケアの商品に使うことが多いようです」
読者を買う気にさせるのは、美容知識の蓄積がある人の言葉
こうした読者の志向や意識を、天野編集長は自ら、読者組織「グラニスト」のメンバーにインタビュー調査してつかんでいます。
「『グラニスト』は美容感度の高い40代、50代のメンバーで構成されていて、オンラインで会うようにしているんです。zoomなどを利用して平日の夜に大体一人1時間くらいお話ししています」
読者の生の声を聞くことで、グラン世代のニーズや特性がより細かく把握できたとのこと。
「若い人には影響力のあるインフルエンサーやインスタグラマーといった人たちを、グラン世代はあまり信用してなくて、信頼しているのはちゃんとした美容家の方や、自分たちより少し年上の美容経験を積んできた方。美容知識の蓄積がないと信頼されないんです。グラン世代になると読者自身にかなり知識がありますから、美容のことが本当にわかっている人かどうかが見抜けてしまう。それとインフルエンサーは若い人が多いので、例えばその人と同じメイク用品をグラン世代が使っても、満足のいく仕上がりにならないんですね」
一方、美容家など知識や経験を積み重ねてきた人が薦めるものは、ほとんど無条件で買う気になるようです。
「高級コスメはそれがどういいのかを誰かが教えてくれないと、買う気がなかなか出ないですよね。そうしたときに美容家の方々の的確なコメントを読むと背中を押されます。『美的GRAND』も読者に信頼していただいているので、誌面で紹介されているものならいい製品に違いないととらえてくれています。どのブランドさんも化粧品を百貨店でよく購入してくれるのは45歳〜50代の方々だとおっしゃるんですが、カウンターに行くのは買わされそうで怖い、と思う人がこの世代でもまだ多いんです。だからカウンターに行く前に情報が欲しいんですね。それと情報ということでもう一つ感じているのは、発売日情報だけでなく、今のデジタル時代に逆行しているようですが、本誌を買ってくださる読者は雑誌をじっくり読むのが好きという人が多いですね。グラン世代のマインドなのかもしれません」
ブランドや製品のヒストリーは、紙媒体ならではのじっくり読ませる情報の代表。化粧品の開発エピソードや製品が誕生した背景、最新テクノロジーの秘密などに迫る「ブランドストーリー」は、読者アンケートで常に上位の人気コンテンツで、タイアップも可能です。
「読者はヒストリーが大好きですね。ロングセラーものへの関心も信頼感も高いです。新製品は新製品で知りたいんですが、また、グラン読者はブランド買いをする傾向があって、一つのブランドでアイテムを揃える方が多いです」
またコンテンツとして、WEBと連動した親と子の美容英才教育プロジェクト「biiku」も好評です。
「親御さんと10代のお子さんを想定していて、親世代と子世代では、例えばUVやダイエットの仕方が違うよとか、こうした商品なら親子で共有できるよ、というようなことを紹介しています。言わば美容の“青田買い”みたいな感じで(笑)、タイアップ効果も高いと思います」
今後の展望としては、トークライブやイベントなどを積極的にやっていきたいとのこと。
「読者は美容知識のある人の話を聞くのがすごく好きなので、美容家の方や『美的GRAND』エグゼクティブ・ビューティ・ディレクターの天野佳代子さんのインスタライブやYouTubeライブを積極的にやりたいですね。また読者はコロナ自粛でストレスがたまって、出かけて体験するのを心待ちにしている人が多いので、読者を集めたイベントも。その場合もやはり美容家の方にグラン世代に人気の著名人とトークしてもらって、そこに製品を紐づけるようなことを考えています。ライブもイベントも、いろいろなブランドさんにぜひタイアップを検討していただきたいですね」
本誌タイアップを含め、読者を購買に向かわせることについては自信を持っています。
「化粧品を買おうかなと考えている読者に、一番刺さる言葉で伝えられると思っています。読者が絶大な信頼を置く、美容賢者と呼ばれる美容家の方々をたくさん抱えていますし、GRANDスタッフたちもベテランなので、そうした伝え方ができるということです」
自身が、趣味は美容、という天野編集長。休日には美容系のショップを巡ったり、美容サロンやクリニックにもよく行くそうです。フレグランスを集めるのも大好きで、自宅にはフレグランス専用のチェストもあるとか。プライベートでも美容三昧の天野編集長は、美容感度の高い成熟した読者たちに満足して役立ててもらえるよう、『美的GRAND』のさらなる進化を目指しています。
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