企業コラボ付録は、いまやひとつのブランドとして確立! 『幼稚園』河内紫秀編集長インタビュー
2025/08/26
企業のみなさまの思いを形にして世の中に発信しています
河内紫秀編集長は入社後、幼児誌『ベビーブック』に配属。以来、下は0歳児から上は小学校高学年までの子ども雑誌一筋。読み聞かせお話雑誌『おひさま』創刊から約8年間在籍したのち、少女漫画誌『ちゃお』に異動。第1子を出産し、職場復帰して再び、幼児誌へ。『学習幼稚園』『幼稚園』『ベビーブック』の編集を経て、2018年に『ベビーブック』編集長に就任。組織統合により、2020年に『めばえ』編集長を兼任。2021年から『幼稚園』を加えた幼児誌3誌を統括する幼児誌編集室室長をつとめる。『幼稚園』編集長兼任。

子どもが社会を知るきっかけとなるコラボ付録
1931年に創刊し、90年以上の歴史を持つ『幼稚園』。今も昔も、4・5・6歳児の好奇心と知識欲を満足させる「生活知育学習誌」です。2018年にはじめた、いわゆる「企業コラボ」付録は、テレビやラジオ、ネットニュースなどのメディアでひんぱんに取り上げられ、SNSでも10万近い「いいね」がつくなど、大いに話題になっています。
「紙の組み立て付録自体ははるか昔からやっていたものですが、『幼稚園』の『企業コラボ付録』は、4・5・6歳の子どもたちの大好きななりきり遊びを盛り上げるために、商品そのままのデザインを使用するなど、より本物に近づけられるよう、とことんこだわって作っています。
そのため、超リアルとか、作り込みがスゴイ、と話題にしていただく反面、この付録、大人向けじゃないのと言われることもありますが、編集部としては全然そう思っていません。子どもたちが、自分たちの生活や暮らしを支えてくれている社会の仕組みを学んだり、モノづくりの大変さや、それに日々向き合っている大人たちの努力や工夫を知ったりするきっかけとして、付録があると思っているので、どこかに学べる要素がなければ付録にすることはありません。
付録に連動して、その企業の工場見学や、商品の秘密や歴史、働いている人々の様子などといった特集記事を必ず本誌でも展開します。『幼稚園』の『企業コラボ付録』は、このように、付録とそれに連動した特集記事がセットになって成立するものなのです」
子どもの学びに役立つとして高く評価された一例に、NTT東日本とコラボした公衆電話の付録があります。携帯電話の普及により、子どもたちの大半は公衆電話の使い方を知りません。付録にすることで遊びながら使い方が身につき、災害時にも使えるようになるということで、防災教育の一環として非常によかったとの声が多数寄せられました。
「『ピンチのときのたよれるみかた』という位置づけで公衆電話を特集した本誌の記事を見て、近所でどこに公衆電話があるか、親子で確かめたという方がたくさんいらっしゃいましたが、これこそまさにNTT東日本さんがコラボで求めていらっしゃったことでした。
公衆電話の付録はこれまでに2回実施していますが、『幼稚園』は読者が成長して入れ替わる雑誌なので、こういう大切なメッセージを届けるための付録は何年かに一度必ず実施して、世の中に改めて発信していくべきだと思っています」
日本光電さんとのコラボ「AEDたいけんセット」も大きな話題を呼びました。『幼稚園』とAEDは、本当に意外な組み合わせでした。
「AEDを一般の人が使えるようになって20年という節目の年でのコラボだったのですが、まだまだ使うのに躊躇する方が多く、国を挙げて、AEDへの理解や使い方の啓蒙を行おうとしています。『幼稚園』もその一環としてお役に立てればという気持ちでした。
AEDは、いざというときに使えないということがないように1台1台ネットワークで遠隔管理されていたり、AED自体が瞬時に診断を下しアドバイスをしてくれたり、技術の粋を集めた、まさに『小さなお医者さん』です。そのことを少しでも伝えられるように、付録では、AEDをほぼ原寸大で再現し、本物のガイド音声が鳴るように設計しました。そして、本誌の記事で、AEDとは? 使い方は? などを、マンガ形式でわかりやすく展開しました。
『幼稚園』のAED付録で遊んだ子どもが、将来実際にそのような場面に遭遇したとき、躊躇なくAEDを使って、命を救う行動をしてくれたら……という思いを、日本光電さんと今も共有しています」
さらに、こうした取り組みは、未就学児ファミリー向け大型イベント「小学館&あんふぁん・ぎゅって こどもフェスティバル」でのリアルな体験にもつながりました。
「『幼稚園』の企業コラボ付録をきっかけに、『こどもフェスティバル』の会場に本物の公衆電話やAEDに触れることができるブースを設置していただき、多くの来場者の方にリアルで体験してもらいました。来場者アンケートでも、『貴重な体験ができてよかった』と多くのコメントが寄せられ大好評でした。
ほかにも『幼稚園』の付録と同じ車種のクルマの展示もあり、実際に運転席に座って、親子で大喜びしていただきました。
企業コラボ付録は、今では付録や誌面にとどまらず、リアルイベントにもつなげられるようになり、また違った価値をご提供できるようになっています」
『幼稚園』の長年積みあげてきた伝統が企業コラボ付録の源であり、その信頼感がタイアップの成果を上昇させています。
「日本雑誌広告賞を、グランプリをはじめ5回連続で受賞している『幼稚園』の企業コラボ付録は、今やひとつのブランドとして確立したと言っていいと思っています。
でも、この成功の源には、実は、小学館の子ども向け雑誌が100年かけて築いてきた、『子どものためのコンテンツはどうあるべきか』という、ゆるぎない考えがあります。学ぶ楽しさ、好奇心のきっかけ作りなど、小学館の子ども雑誌が大切にしてきた『子どもの知育のあり方』を理解し踏まえてさえいれば、一見意外と感じるようなコラボでも、『幼稚園』の付録として昇華することができます。
そして、さまざまな企業コラボ付録をメディアで大きく話題にしていただくうちに、この〝学ぶ楽しさ〟は子どもだけのものではなく、大人にも通じるのだと気がつきました。
『幼稚園』の企業コラボ付録は、子どもだけでは作れません。作る過程もエンターテインメントとして、親子で一緒に作りながらコミュニケーションを深めてくれればと思っていますが、そうはいっても、付録を作るのが手間なのは事実です。だからこそ、親も作りたくなる付録になるように、細部までこだわっています。
小学館の子ども雑誌の編集部では昔からよく、『子ども向けはいいけど子どもだましはダメ』と言われます。『幼稚園』の企業コラボ付録が子どもはもちろん、大人にも広く面白がっていただけているのは、そういう子どもだましではないものを作りたいという思いを大切にしているからこそ、大人にも〝学ぶ楽しさ〟が伝わっているからではないかと思っています」
ふたりの娘の子育てもひと段落し、ひとりの時間を、自分のために使えるようになってきたそう。しばらくお休みしていた趣味やチャレンジしたかったことをスタートして第二の人生に備えつつ、今は、大好きな子どもメディアの仕事の楽しさを、日々かみしめながら大切に過ごしています。
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