読者の声を生かした等身大の誌面展開で、働くママ・パパを応援します。 『ぎゅって』飯塚香織編集長インタビュー
2024/11/05
読者と一緒に子育て世代に役立つ企画を作り上げ、発信していきます
飯塚香織編集長は2005年より地域情報誌を発行する新聞社で編集に携わり、2015年に編集長、2021年から編集長兼副部長、2022年からマネージャー兼DX推進室に。2023年より、株式会社こどもりびんぐにおいて『ぎゅって』副編集長を務め、2024年4月に編集長就任。10月からは編集長兼、新設のパブリックビジネス推進室ディレクターに。
誌面作りで心がけているのは〝読者ファースト〟であること
『ぎゅって』は小学館グループのこどもりびんぐ社発行のフリーマガジン。保育園・こども園で配布され、先生から園児を通じて保護者に届けられます。首都圏・関西版は8月を除く年11回、東海版は年2回刊行し、発行部数は約36万部。0〜6歳の保育園児のママ・パパに寄り添う情報を発信しています。
「読者はフルタイムのワーキングママが中心で、平均年齢は35.4歳。最近は育児に参加するパパも多く、読者アンケートでは約半数のパパが家事や料理をするなど、今はママとパパが一緒に子育てするという読者が『ぎゅって』の中心層なのかなと思います。読者アンケートでもパパが答えてくれたり、アワードの審査会に育休中のパパが参加してくれたりもします。働くママ・パパ向けの媒体であることを意識して、表紙に登場する親子がパパと子どもの場合もあります。フルタイムで働いていると、とにかく忙しいというか、育児と仕事と家事に日々奮闘している方が多いんですが、子育てに関しては妥協しない、手を抜かない。そういった真面目なところが感じられ、忙しい毎日の手助けになる商品を探したりして暮らしにこだわりながら、丁寧に生活されている方が多いというのが読者に対する印象です」
巻頭特集は企画段階から読者アンケートを実施し、インサイトをもとにした誌面作りを心がけています。
「読者からのリアルな意見をもとに構成し、読者の悩みに対しては有識者からアドバイスをもらうことが、誌面の説得力や信頼感に繋がっていると思います。読者から『自分の子育ては間違っていなかったんだ』とか『少し気持ちが楽になった』などの共感の言葉が届くのがとても嬉しいですね。2024年は『ウェルビーイングwithぎゅって』という年間テーマを掲げ、子ども優先で自分のことは後回しにしがちなママ・パパが、ほんの少しでも自分の時間、幸せな時間を楽しむことができたら、という思いで企画を考えています。10月号では小学館の『美的』編集部の協力で媒体初のメイク特集を組み、10分メイク術を紹介したんですが、これも読者からの『朝メイクにかける時間がない』という声をもとにしたもの。『ぎゅって』は子育て情報誌ですが、何か一つでもママ個人向けの記事があると楽しんでもらえるかなと思っています。近年、ママの働き方も変化してきているので、常に変動していく共働きママ・パパのライフスタイルに対応できるような企画を立てていきたいですね」
「時短」や「貯蓄」に関することは読者の大きな関心事
人気のコンテンツは家事の「時短」に関するもの。タイアップ企画としても好評です。
「共働きのママ・パパにとって『時短』は永遠のテーマです。とにかく忙しいママ・パパのお悩みを解決するタイアップ『時短ライフ企画』は見開きで展開。右側はクライアントさんが訴求したいことに関連する読者アンケートのデータやコメントを紹介する編集ページ。そこで出てきたお悩みに対し、こういうお助け商品がありますという流れで、左側のタイアップ広告を見せる構成になっていて、商品を使った読者モデルのリアルな感想も掲載しています。この企画は読者からの反響が大きくて、訴求効果が高いことからクライアントさんにも喜ばれています」
また、近年増えているのが各地域の行政案件、移住定住をテーマにしたタイアップとのこと。
「園児がいるママ・パパが移住先を探すタイミングは、子どもが小学校に上がる前が多いので、『ぎゅって』世代はまさにちょうどターゲットになります。それにリーフレットをポスティングしたり駅で配布するのと違い、『ぎゅって』は園の先生が園児のバッグに入れて配布してくれるので、ママ・パパの手もとに確実に届いて信用度もある。誌面に移住定住をテーマにした冊子を貼付することもできます。また該当地域に住んでいるママ・パパのインタビュー記事を掲載するなど、読者目線でこういう場所なら移住定住したいなと思えるような誌面作りに努めていて、そうした諸々の点が評価され、自治体案件が増えています」
新しい取り組みとしては、「子育て世代のマネーリテラシー向上PROJECT」を立ち上げ、金融に関するさまざまな情報やサービスを発信しています。
「『ぎゅって』には家計簿診断という、読者の家計についてファイナンシャルプランナーがアドバイスするページがあり、常に人気があるんです。読者は今後、子どもの教育費がかかる世代ですし、すでに投資をしている人もいますが、一方で忙しくてなかなか動き出せないという人もいる。それでも皆、貯蓄や投資・資産運用への関心が高いことから、金融リテラシーを楽しく獲得してもらおうと考えました。2024年3月に実施した『はじめてのNISA、iDeCoオンラインセミナー』は平日夜8時のスタートながら約300人の応募があり、誌面でも資産運用に関する企画を立てています。読者にとってお金は大きな関心事なので、金融知識を学ぶ時間や機会がないというママ・パパに向けて、読者とクライアントさんを繋げられるようなタイアップができたらいいなと思っています」
読者や企業が推薦して読者が選ぶ、参加型のアワードも好評
『ぎゅって』の強みはママ・パパに確実に届くことと、〝読者ファースト〟の媒体であることだといいます。
「約600人の『ぎゅってくらぶ』という読者会員組織があり、何か聞きたいことがあればそこにアンケートをかけることができます。皆さん熱心で自分の声を届けたいと思ってくださる方が多く、フリーアンサーまで丁寧に答えてくださるんです。タイアップでもクライアントさんが訴求したいポイントに合わせてアンケートを行い、それをもとに記事作成ができますし、誌面に登場した読者モデルの商品に対するリアルなコメントを載せることもできます。単に商品を紹介するのではなく、読者の声、いわば口コミを紹介する。企業側が発信するメッセージより、自分の子どもと同年齢の子を持つママのコメントのほうが信憑性があると言いますか受け入れやすく、確かなレスポンスに繋がるのだと思います。読者会員は子どもが保育園を卒園したらママも会員を卒業してもらうので、常に保育園児のいる読者組織となり、今現在のママの声を誌面に反映させることができます。〝読者ファースト〟で等身大の誌面展開ができることは、私たちの大きな強みだと考えています」
毎年恒例の「ぎゅって ベストサポーター大賞」もまた読者参加型のアワードです。
「家事や子どもとの時間をハッピーに過ごせるお役立ち商品・サービスを読者がノミネートして、『&あんふぁんWeb会員』の公式ブロガーさんと編集部が審査、そのあと読者投票をして選ぶ、読者が決めるアワードです。今年は、読者や企業などから約250の商品・サービスがエントリーされ、のべ約6800人が投票してくれました。2024年3月には小学館とタッグを組んだ『こどもフェスティバル』で、2023年度のベスサポで選ばれた商品を紹介する『ベスサポブース』を設けたんですが、反響が大きかったですね。これからも読者と一緒に子育て世代に役立つ企画を作り上げ、発信していきたいと思っています」
趣味は絵本を集めることという飯塚編集長。きっかけは、子どもと一緒に何か共有できる時間が欲しいと思ったことだそう。子どもが0歳のときから小学生まで毎月1〜2冊絵本が届くサブスクを利用し、その後も子どもと一緒に本屋に行って絵本を収集。今では500冊以上になっています。絵本を通して学べることや伝えられることがあり、そうしたことを誌面作りにも活かしたいとのこと。そんな飯塚編集長は、働くママ・パパの手助けになる商品やサービスを、どんどん集めて紹介していきたいと奮闘しています。
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