新たなアイデアで『Oggi』のブランド力を強化する。『Oggi』塩谷薫編集長インタビュー

2022/06/29

現在やっていることにプラスすることで、本誌にタッチできる企画を常に考えています

小学校の頃に出版社で働くことを決意し、大学時代のアルバイト先は『プチセブン』だった塩谷薫編集長。入社後は『プチセブン』を皮切りに25年間一貫して女性誌の編集者として『CanCam』、『Domani』、副編集長として『AneCan』に携わり、『CanCam』編集長とキャリアを築き、2018年から現職へ。

専属モデル・スタイリストの多様性が創出する媒体個性

創刊30年の『Oggi』は、“働く女性”のためのファッション誌。主なターゲット年齢は27歳~35歳ですが、表紙のタイトルの上に書かれたキャッチは「働く30歳からは」で、上限を設定していません。

「『Oggi』の“きれいめでシンプル、流行をひと差し”の服が好きでも、アラサーと書かれるともう私は違うのかなという気持ちになる、と30代中盤の方に聞いたことから付けたキャッチです。考えてみれば、ファッションはとてもパーソナルなもので、年齢で区切る必要もなければ、既婚・未婚も問いません。“働く”ことで社会とつながっている女性のすべてに向けた媒体と考えています」

ファッション誌としての間口の広さを支えるのは、まずは、泉里香、朝比奈彩、飯豊まりえ、滝沢カレン、そして美容専属の若月佑美という5人の専属モデル陣です。

「ヒロコ・グレースさん、松たか子さん、長谷川理恵さんなど、カバーモデルはひとり、が主でしたが、異動してまず手がけたのは専属モデルの選定。ひとりを選べなかったんですよね。その時に、モデルの○○さんが出ているからではなく、『Oggi』だからお金を払って買っているという話も聞き、モデルは複数いても構わないと決めました。複数いることで同一アイテムもタイプが異なるコーディネートで見せられるようになり、また媒体の世界観がより確立されたと思います。タイアップも振りわけられるので、クライアントの要望に細やかな対応をできるようにもなりました」

『Oggi』の世界観を作る担い手はモデルだけではありません。スタイリストも強みのひとつです。

「みなさん、個性が立っているんです。2020年春の外出自粛要請は制作に入る直前で撮り下ろしが難しかったため、スタイリストさんたちのご自宅を誌面に掲載する企画も入れました。これが、ライフスタイルや佇まいもおしゃれでありたい読者に好意的に受け入れられましたね。モデルでは泉さんが写真集のアザーカット、滝沢さんが映画の感想、飯豊さんは私服コーデなど、苦しい状況でも“バラエティに富んだ個の強さ”がある企画が成立しました。ここが『Oggi』の強みなんです。都市型の読者は実践できるファッションを求めている一方、地方在住の方は都会をそばに置きたいという憧れもあります。そのどちらの読者も求めていることをバランスよく誌面にできていたことが、状況が厳しかった局面でも部数を落とさずに乗り切れた要因のひとつかな、と考えています」

紙・SNSと同時に、媒体の世界観を体験できるイベントを創出

投稿・まとめ・リール・動画・ストーリーとコンテンツをフル活用しているインスタは、現在フォロワー数28.9万人。競合媒体を大きく引き離しています。

「編集部員が一丸になり、当番制で投稿しています。インスタのリール動画でフローが出来上がったら、反応次第ではTikTokなどにもトライしたいですね」

ファッションのことだけでなく、写真家/映画監督の蜷川実花さんの連載『悪い男』の撮影風景の動画投稿ほか、多彩なのも特徴。連載といえば、『㈱ジャニーズWESTホールディングス』のストーリーグラビアもありますが、塩谷編集長が幼稚園の頃からの“推し活”が企画の端緒になっているようです。

「幼稚園年長の時、巨人軍の原辰徳選手にひと目惚れしてから、ずっとファン。毎月『月刊ジャイアンツ』を買っていました。スポーツ誌に携わりたくて出版社で働きたかったので、まさか自分がファッション誌に携わるなんて……と思いましたが、読者ハガキを読んだり直接話したり先輩に聞いたりと、学びながら仕事をしてきました。その中で“推しがいる人”は、アイドル誌を買っても好きな人が出ている媒体であれば他も欲しくなるはずと。ジャニーズWESTさんと同僚で一緒に働いていたら? ということが想像でき、また『Oggi』でしか読めない企画ならば……? というテーマはその頃からの思いが形になっているものかもしれません。今は“個の時代”で、“その媒体だから見られる人”が購買意欲を支えると考えています」

専属モデル、スタイリスト、連載陣に共通するのは「人」。その延長上で考えているのは、読者を巻き込み自分ごとにさせる「体験の商品化」だといいます。

「体験を商品化したらどうだろう? 好きなことや推しにならお金を払ってもらえるのではないか? という考えをもとに、2020年に日本橋三越本店・本館の屋上に『Oggi Park』という、働く女性が過ごしやすい空間をプロデュースしました。ここでのヨガレッスンイベントは、人気講師のチケットは入手困難なものもありました。これから考えているのは、音楽連載『働く私にMusik』から飛び出す形での『Oggi Fes』。会社帰りにふらりと立ち寄って、よく知るアーティストの曲を聞いたりトークショーを楽しんだり。待っている間にできるコンテンツもいろいろ思案中です。現在やっていることにプラスすることで、本誌にタッチできる企画を常に考えています。フェスに参加してから知って、読者になる逆流もありますからね」

『CanCam』編集長時代にナイトプールをプロデュースするなど話題になることを手がけてきた塩谷編集長。成功の方程式をもつだけに、新たなアイデアで『Oggi』のブランド力を強化するとともに、タイアップ企業のイメージアップにも寄与するはずです。

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