小学校低学年の子どもにアピールしたいものがあれば、ぜひご相談ください。
『コロコロイチバン!』竹田哲也編集長インタビュー

2024/01/26

今後はいわゆるエデュテインメントみたいなものもやっていきたいです

竹田哲也編集長は1999年、小学館に入社。最初『てれびくん』に配属され約4年在籍。その後、『コロコロコミック』に約4年、『少年サンデー』に約4年在籍し、2011年『コロコロイチバン!』が隔月刊から月刊化するタイミングで異動して、2023年、編集長に就任。

漫画を通じてキャラクターを子どもたちの人気者に育てたい

「読者は本当にわかりやすく、小学校1年生から3年生です。それはもうずっと変わりません。基本的にはポケットモンスターを中心としたゲームキャラクターや、ベイブレードなどのホビー玩具が好きな子たちですね。読者の男女比は、昔は男子が9割5分くらいだったのが、今は9割くらいで、やや女の子が増えてきた感じです」

「最近では、ノーベル製菓さんの『男梅』というキャンディーのキャラクターを漫画にしました。小学生でも認知しやすいキャッチーなキャラなので、漫画にするといいんじゃないかと、こちらからお声をかけさせてもらったんです。菓子や文房具といった小学生の身近にあるものを中心に、漫画にできそうなものはないか、日々の編集会議でも話し合って探すようにしています」

「新しい人気キャラクターに育ってくれたら、漫画がおもしろくなって、読者が喜ぶ。それだけでもうちの雑誌のプラスになるわけです。企業さんとの信頼関係を築く上でも、いかに魅力的なキャラクターに育てるかが重要ですね。うちの雑誌はポケモンやドラえもんなど、もともとが人気者のキャラの力も当然借りているんですが、そういう漫画を作っていく中で蓄積された『コロコロイチバン!』らしさみたいなもの活かして、これまでコロコロの周辺にいなかったキャラクターたちも、コロコロの仲間に引き込んでいければなと。

『男梅』はまさしくそれで、姿形のおもしろさから僕は子ども向けのキャラかと思っていたんですが、メーカーさんによると大人向けという意識で展開していたそうです。ちょっと意外だったんですが、子どもたちが楽しめる漫画になってよかったなと思っています」

「読者は小学校低学年なので、ゲームのルールなどがよくわかっていないことが多いんです。それをちゃんと漫画の形に落とし込んで、ルールもわかるし、漫画を通して、そのコンテンツも好きになってもらえるような、作品作りを意識しています。当然メーカーさんとはかなりやりとりをし、どういった内容の漫画にするか、毎回打ち合わせています。漫画家さんにもその場に来てもらい、一緒にやることもあります」

子どもが楽しみながら学習できる、教育的なコンテンツも

「例えば『コロコロコミック』や『少年サンデー』は、読者が自分のお小遣いで買って、親の干渉をあまり受けずに自分だけで楽しむ雑誌、みたいなところがあると思うんです。だけど『コロコロイチバン!』は若干幼児誌に近いというか、おうちの方、とくにお母さんの、言葉は悪いかもしれないですけど〝支配下〟にあって(笑)、買ってもらわないといけない。

そういうこともあり、お母さんの心もがっちりつかむような少し教育系の企画、いわゆるエデュテインメントみたいなものをやっていきたいなと。学習的なジャンルのものを『コロコロイチバン!』らしさに落とし込めば、漫画を通しておもしろく学べる、というようなことができるんじゃないかと考えています」

「保護者アンケートを見ると、プログラミングは小学生の習い事としても気になる親御さんが多いようなので、取り上げてみました。もとの教材が、学んでいくステップに多少ストーリー性があるものだったことから、それを膨らませて漫画にしたんです。『カンジモンスターズ』は最初のスターターデッキにカードを組み込んでいって、自分でデッキを改造しながら戦うというおもしろみと、部首同士の合体で生まれている漢字のおもしろさとが合わさった、エンターテインメントと教育的要素を両立させたゲームです。

これは『てれびくん』との協業コンテンツとして、ゲームを開発した企業さんと組み、ほぼ立ち上げから一緒にやらせてもらっているんですが、ゲームをもとにした漫画も掲載し、ゲームの流通や販路を整えるお手伝いもしています。ほかにも教育系のものはいくつか漠然と考えていますが、基本的には漫画にするとか記事にするとかの雑誌ベース的な発想ですね」

「正直なところ、これまではあまりやっていなかったんですよ。子どもはYouTubeをよく見ると言われますが、うちでアンケートをとると、そんなに見ていないということがあって。これもやはり読者が小学校低学年ということで、自分のスマホやタブレットを持っていなかったり、お母さんに制限されて自由に使えなかったりする。低学年とそれ以降は、近いようで結構遠い気もするんですね。

それでなかなか手が出せずにいたというか、まぁいいかと思っているところがあったんですけど、最近はやはりブームとかヒットというのは、ジャンル問わず、YouTubeやSNSから火がつくというのは当たり前の世の中になってきていますよね。ですので、もっと積極的にやらなきゃだめだということをすごく感じています。

読者が独自で発信したりすることはまだないかもしれませんが、でも、どこから火がつくかわからない。これまでは発売号の告知程度のことしかやっていなかったので、コンテンツになるようなもの、バズる何かをと思っています」

「企業さんと一緒に、子どもに向けた新しいキャラクターをゼロから作るのもありですし、あまり活かせていないキャラがあったら、それをうまく膨らませて人気キャラクターに育てる。そんなふうに企業さんと協業でIPを作っていくことで、タイアップできたらいいなと思っています。キャラクターを育てていく際には、うちの編集部では『ポケモンファン』や『星のカービィファン』など、キャラクター単体の本も出しているので、そういった形で増刊やムック、書籍を出すこともできますし、独り立ちできるようなキャラクターを少しでも多く作っていきたいですね。

これを漫画にできないかなというご相談には、もちろん応じさせていただきます。小学校低学年の子どもにアピールしたいものがあれば、いかようにもチューニングできると思いますし、せっかく一緒にやる以上は、お互いが『おもしろくなったね』と言えるようなものにしたいので、そこは前向きにご検討いただければと」

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