小学館が「IAS AWARD 2022」でシルバー賞受賞。業界全体で求められるデジタル広告の品質向上に向けた取り組みについて

2023/03/31

健全かつ安全なデジタル広告の推進に積極的に取り組んだ企業に贈られる「IAS AWARD」。記念すべき第1回の「IAS AWARD 2022」にて、小学館は「シルバー賞」を受賞いたしました。授与に伴い、2023年3月17日、Integral Ad Science Japan カスタマーサクセスディレクター 竹井伸仁さまより記念の表彰盾が小学館取締役の竹原功に手渡されました。また、この日「デジタル広告の品質向上に向けた取り組み」についてIntegral Ad Science Japan竹井さま、番井さまにお話を伺いました。

安心した広告配信を支えるアドベリフィケーション技術

竹原 功/小学館 取締役

この度は、栄誉ある賞をいただきまして、ありがとうございます。改めましてインテグラル アド サイエンス(IAS)についてご紹介をお願いします

Integral Ad Science(IAS)は、世界111か国、4000社以上のお客様にデジタル広告の効果を確認するための計測・最適化ソリューションを提供する広告検証プロバイダーです。アドフラウド、ビューアビリティ、ブランドセーフティといったアドベリフィケーション(アドベリ)3指標の計測を通じて、デジタル広告の透明性と配信の健全性が確認出来るデータを提供します。

また、クッキーに依存することなく、広告主のデジタル広告が安全かつ適切な文脈に沿った環境で実在するユーザーに届くよう支援しています。12か国、16拠点でオフィスを開設し、世界中のすべての地域のお客様をリアルタイムでサポートするきめ細やかなカスタマーサービスも強みのひとつです。日々、1兆を超えるデータポイントを計測・解析し、広告主だけではなくパブリッシャーやプラットフォーマーのみなさまの安心した広告配信を支えています。

今回授与いただいた「IAS AWARD」についてご説明頂けますでしょうか?

「IAS AWARD」は、日本におけるアドベリフィケーションの浸透に多大な功績を残したパートナー企業様、また、同サービス、もしくは、アドベリフィケーションを活用し、健全かつ安全なデジタル広告の推進に積極的に取り組まれた広告主企業様に感謝の意を表し贈られる賞です。今回の「IAS AWARD 2022」が記念すべき第一回目の表彰となります。

デジタル広告におけるグローバルと日本の違い

番井 まゆみさま/Integral Ad Science Japan マーケティングコミュニケーションマネージャー

グローバルにおけるアドベリフィケーション(広告検証の対策)の現状はどのようなものなのでしょうか? また、日本マーケットではどのくらい浸透しているか教えてください。

日本オフィスを立ち上げてからの数年間で、日本でのアドベリフィケーションの認知度や重要性も高まり、導入企業様の数も確実に増えています。しかしながら、アドベリフィケーションが「デジタル広告を実施する際の必須ソリューション」と捉えられているアドベリ先進国の欧米と比較すると、日本でアドベリを取り巻く意識や導入姿勢には、まだまだ大きな差があります。

我々IASのミッションは、アドベリ計測の大切さと、そこから生まれる広告効果に関する啓蒙を継続し、アドベリ計測を欧米なみに「当たり前」のソリューションにすることです。これを実現することで、日本のインターネット広告業界のより高い安全性と信頼を獲得できると考えています。

昨今、日本においてもアドフラウド(広告詐欺)が増えていると聞きます。その現状と深刻さをどのようにお考えでしょうか?

2022年上半期において、アドフラウド(広告詐欺)は、日本を含めほぼ全世界で増加しました。アドフラウド(広告詐欺)の上昇傾向は、すべてのフォーマットと環境で確認されており、世界全体で年間0.1- 0.4ポイント上昇しています。アドフラウド対策を施さなかった未対策キャンペーンにおけるアドフラウドは、対策済みキャンペーンと比較して10倍の速さで上昇しました。

日本は世界トップクラスのデジタル広告市場規模であるが故に、アドフラウド(広告詐欺)のターゲットとなりやすい市場でもあります。弊社ソリューションを導入している広告主様は、計測データを通してアドフラウド(広告詐欺)の状況を定期的に観察し、対策を講じています。アドフラウド(広告詐欺)によるインプレッション(およびクリック)は100% ムダなコストであり、デジタルキャンペーン全体の効率化を進めるうえで、アドフラウド対策は必須です。日々新たな不正の技術が全世界で生まれ続けていることを考慮し、継続した監視と計測、対策を講じることが、デジタル広告業界に携わるすべての企業に求められています。

デジタル広告においてアドフラウド対策は必須ですね。グローバルでは、どのような取り組みをされているのでしょうか?

IASでは新たな配信環境・フォーマットへの対応、新たな不正パターンの早期発見と対策案の確立など、自社がこれまで培ってきた技術に慢心することなく、不正監視の専門チームが日々改善を続けており、CTVや新興ソーシャルメディアでのアドフラウド計測も対応可能になりました。計測可能な環境・デバイス・メディアの数を拡大し、現状を正しく把握することがIASのミッションのひとつです。2023年3月に発表したNetflix とのパートナーシップからも、アドフラウドに対する我々の変わらぬ姿勢を感じていただけると考えています。

グローバルで展開されている御社から見ると、日本のデジタル広告マーケットはどのように感じられていますか?

先にお話させていただいたように、アドベリ計測が「当たり前」になっている欧米と違い、日本ではまだまだアドベリ計測を「特別視」する傾向があります。インプレッション数やクリック数など、従来のデジタル指標に比べると、アドベリ計測から得られる指標は難解と捉えられているのかもしれません。しかしながら、実際はアドベリ計測で得られるデータは特別なものではなく、従来の指標との優劣も存在しません。

また、日本では広告配信インプレッションの価値、「量より質」を重視する欧米とは違い、クリック数やCPCにより重きをおく考えが根強いことも大きな違いです。クリック数やCPCももちろん大切な指標です。ただ、それらが「デジタル広告指標のすべて」ではないとIASでは考えています。展開するキャンペーンの訴求内容によって、従来の指標とアドベリ指標を切り替え、別の視点からキャンペーン効果を判断することで、これまで見えていなかった新しい発見が生まれるのです。

日本のパブリッシャーがめざすべきこと

竹井 伸仁さま/Integral Ad Science Japan カスタマーサクセスディレクター

パブリッシャーとしてデジタル広告の品質向上に向けて取り組むべき課題はどこにあると思われますか?

我々が支援する広告主様は常によりよい効果をデジタル広告に求めています。それは、つまり、よりよい広告掲載面を求めている、ということです。「効果」に含まれるのは、決して費用やエンゲージメントなどの視点だけではありません。安全性や透明性、最適な視認性(ビューアビリティ)や、ムダを削ぎ落した限りなくゼロに近い不正インプレッション、そして、広告掲載環境の適合性も含まれます。そういった意味でも、デジタル広告におけるパブリッシャー様の役割は非常に重要です。

デジタル環境を整えることができるのはパブリッシャー様だけだからです。世界のデジタル環境は目まぐるしく変化しており、新たなトレンドやフォーマットが次々と生まれています。しかし、広告主様が求める効果の本質に変化はなく、パブリッシャー様の重要性も変わりません。パブリッシャー様が生み出す、質も透明性も高く、安心・安全な環境が、デジタル広告の未来を支えていると信じています。

最後に、日本のパブリッシャーに向けてメッセージをお願いします。

デジタル広告におけるパブリッシャー様の重要性は、デジタル広告が初めて登場した20数年前から変わりません。インプレッション数やユーザー数の多寡はもとより、より柔軟なターゲティング、取得できるデータの種類、掲載位置、ネットワークの広さ、そして、広告主様が安心できる環境と透明性の提供。すべてパブリッシャー様に依存しています。世界的に見てもその独自性とマーケット固有プラットフォームの優位性から、ユニークかつ難しい市場と捉えられている日本のデジタル広告業界ですが、広告主様によるパブリッシャー様への期待や求める環境に、世界と日本での違いはありません。

広告主様がより安心してデジタル広告に投資できる世界を、日本のパブリッシャー様と一緒に実現することが、IAS の願いです。デジタル広告業界のさらなる発展のために、今後も協業できれば大変光栄です。

デジタル広告の品質向上に向けた取り組みのグローバルでの最新トレンド等のお話も伺えて大変勉強になりました。小学館も信頼あるコンテンツパブリッシャーとしてこれまで以上に、読者の皆さま、広告主さまに支持されるメディア・コンテンツ作りをしていきます。そして微力ながら健全かつ安全なデジタル広告の発展に貢献できるよう今後も取り組んでまいります。本日はありがとうございました。

(写真左から)竹井 伸仁/Integral Ad Science Japan、竹原 功/小学館、松田 竜/小学館 広告局ゼネラルマネージャー、番井 まゆみ/Integral Ad Science Japan ※敬称略

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