『HoiClue(ほいくる)』が入学前後の意識を調査! 保育者の立場から見る小学校・家庭との連携のヒント
2026/05/13

保育者向けメディア『HoiClue(ほいくる)』が、教師向けメディア『みんなの教育技術』、乳幼児~小学生ママ・パパのための育児情報メディア『HugKum』編集部と連携して実施した、入学前後に関する意識調査をご紹介します。
今回は、全国の保育者132名から寄せられた回答をもとに、現場のリアルな声をご紹介します。入学前後の「すれ違い」と「連携のヒント」とは?
【調査概要】
■調査期間:2026年3月23日〜4月13日
■調査機関:自社調査。Webメディア『HoiClue(ほいくる)』でのアンケート調査
■有効回答数:132人
※本アンケートでは、回答者の負担軽減のため設問を任意回答としています。そのため、設問ごとの有効回答数は異なります。
目次
最も大切な力は”言葉で伝え、言葉を受け取る”こと
Q1. 小学校就学前に育ってほしい力は何ですか?(3つまで)
まず、保育者のみなさんに「小学校就学前に育ってほしい力」を3つまで選んでもらいました。

最も多かったのは「感情を言葉で表現する力」で93件、次いで「周りの人の言葉を理解し、見通しをもって自ら行動する力」が91件と、ほぼ同数でトップ2を占めました。「身辺自立(着替え・片付け等)」(74件)、「友だちと協力する力」(63件)と続きます。
一方で、「ひらがなの読み書き」「数の概念」はそれぞれわずか6件と、学習面のスキルを重視する回答はごく少数でした。
「自分の気持ちや考えを伝える」「相手の話の内容を聞いて理解する」という、言葉による伝え合いや、自立心を重視している様子がうかがえる結果です。
「遊びの中にある学び」の重要性が届いていない
Q2. 小学校の先生に誤解されがちだと感じる点を教えてください(複数選択OKです)
保育者のみなさんが日頃、小学校側からどう見られていると感じているか——について聞きました。

最も多かったのは、「遊び中心=指導がないと思われている」で67件。半数以上の保育者が、「遊びを通して学ぶ」という保育現場の営みが十分に理解されていないと感じていることがわかりました。
続いて「学力軽視だと思われている」(36件)、「集団指導が弱いと思われている」(35件)、「保護者対応が甘いと思われている」(23件)と続きます。「特に感じない」は34件にとどまりました。
遊びの中にこそ、健康な心と体、共同性・言葉・思考力・探究心・解決する力など、小学校以降にもつながる生きる力となる学びがある——そのメッセージが、必ずしも伝わりきっていないのでは、という現場の実感が浮かび上がります。
書類では伝えきれない”子どもの内面”
Q3. 小学校に引き継ぎたいが十分共有できていない情報はありますか?
保育要録などを通じて小学校へ情報を引き継ぐ場面で、「本当は伝えたいのに伝えきれていない」と感じる情報を聞きました(複数回答)。

圧倒的に多かったのは「子どもの情緒面」で79件。次いで「対人関係の特性」(57件)、「家庭環境」(48件)と、書類では表現しにくい、子どもの”内面”や”関係性”に関わる情報が上位に並びました。
「学習準備状況」は17件と少なく、保育者が共有したい情報と、書類のフォーマットで求められがちな情報との間に、微妙なズレがあることが見えてきます。
自由記述では、「書面では伝えきれないことを対面でも引き継ぎしているが、年度が変わり人事変動もあるためか、学校内での引き継ぎが十分にされていないことがある」というような声が寄せられました。
求められているのは”学力”ではなく”生活する力”
Q4. 小学校は園(保育施設)に何を最も期待していると思いますか?
小学校側から見たとき、園に期待されている役割はなんだと感じるか——保育者からの推測を聞きました。

最多は「生活習慣」で53件、次いで「社会性」(36件)、「自立性」(17件)と続きます。「学力準備」は13件と、意外にも低めの数字に。
保育者のみなさんは、「小学校は園に学習の先取りよりも、生活する力を期待している」と捉えているようです。実際、Q1で選ばれた「育ってほしい力」とも重なる結果となりました。
多様化する、保護者の“園への期待”
Q5. 保護者は園(保育施設)をどう捉えていると思いますか?
次は、保護者の視点から見た園について、保育者の実感を聞きました。

最多は「人によって大きく違う」で56件。これは、「保護者一人ひとりで園への期待が大きく違う」という現場の実感の表れといえます。
続いて「預かりサービス」(32件)、「生活の場」(27件)、「教育機関」(13件)。保護者にとっての園の位置づけが、家庭の事情や価値観によって大きく揺れている現状が垣間見えます。多様化するニーズのなか、子ども・子育ての専門機関として保育施設はどうあるべきかー保育現場でもさまざまな考えのもと模索が続いています。
“支援の連携”が、最大の懸念
Q6. 小学校への就学接続で不安に感じることを教えてください(最も当てはあるもの一つ)
就学接続に向けて、保育者がもっとも不安に感じていることを聞きました。

最多は「支援体制の引き継ぎ」で56件。次いで「生活リズムの変化」(34件)、「学習面のギャップ」(27件)と続きました。
配慮や支援を必要とする子どもが、小学校でも適切なサポートを受けられるかどうか——保育の現場で長い時間をかけて築いてきた信頼関係や関わりが、入学と同時に途切れてしまわないかという、一人ひとりの発達を丁寧に捉えている保育者ならではの切実な不安が表れています。
“要録は届いていますか?”——保育現場からの問い
Q7. 小学校の先生に聞きたいことがあれば一つだけ教えてください。
自由回答で「小学校の先生に聞きたいこと」を聞いたところ、次のような声が多く寄せられました。
▼ 保育要録の活用状況について
- 指導要録はみていただいているのか?また、役にたっているのか?(こども園・保育教諭)
- 毎年児童要録を届けていますが、どこまで参考に、、、というか目を通す時間はあるのでしょうか?(こども園・保育教諭)
- 保育要録を作成、提出しているが実際参考にしたりすることはあるのか?(認可外保育園・保育士)
小学校への引き継ぎとして、保育施設で非常に重要な存在である要録。その保育要録の活用実態への疑問が、複数の保育者から寄せられました。時間をかけて書き上げた記録が、どう活かされているかが見えにくい現状があるようです。
▼ 就学前に身につけておくと良い点について
- 子どもが何を最低出来ていればいいか(地方自治体独自の認証保育施設・保育パート)
- 入学前にどこまで出来るようになってれば良いか?(学習など)(認可保育所・保育士)
- 小学校入学前までに保育園でできる準備はなんですか?(認可保育所・保育士)
「どこまで準備すればいいのか」という基準を知りたい、という声も多数寄せられたことから、学校側とより密にコミュニケーションを取ったり、入学後の実際の子どもたちの生活を保育現場でイメージできるようにする必要性を感じました。
▼ 子ども一人ひとりへの対応について
- 一度に相手にする人数が保育園時代に比べて多くなる中で、平均的な1年生担任ではどの程度子ども一人ひとりの像をつかむことが出来ると感じますか。(認可保育所・保育士)
- 保育所や幼稚園では集団生活の中でも子ども一人ひとりに重きを置いて対1と思って対応しています。人数も30人一人担任なのでそうは変わらないし、仕事も書類や毎月の製作物の準備、保護者対応などしなければいけないこと、行事も多いためそこまで変わりはないと思っています。しかし、忙しい。そんなに手をかけられない。一人ひとりなんて…という声が多いのが現状で、小学生に上がった途端に子どもや保護者から1週間しないうちに疲れた。もう行きたくない。先生が…と不満をよく聞きます。成長と共に対応は変化するものとは思いますが、対1の子どもや保護者への対応はどういうところを気をつけておられますか?(こども園・保育士)
- 幼稚園、保育園とやはり育ちが違うと感じますか?(地方自治体独自の認証保育施設・保育士)
▼ 入学後のつまずきへの関心
- 入学後につまづきやすい点はどこなのか知りたい(幼稚園・幼稚園教諭)
- 入学してすぐに子どもが壁にぶつかる困る事は何ですか?(それが分かったら卒園までに対策しておきたい)(認可保育所・保育士)
- 就学後、どのようなことに困っているか。子どもの育ちとしてどのようなことを強化してほしいか。(認可保育所・保育士)
子どもたちの小学校入学前後の保育施設とのギャップについて、強い関心があることがうかがえます。
「できる限り、新しい環境でも安心できる生活を送れるようになってほしい」という、子どもを想う保育者の願いが伝わってきます。
現場から保護者へ——”焦らないで、寄り添って”
Q8. 就学前の子どもを持つ保護者に伝えたいことがあれば一つだけ教えてください。
最後に、保育者から保護者へのメッセージを自由回答で聞きました。
▼ 「焦らなくて大丈夫」というエール
- 就学というと、どうしても学習面に目が向きがちだが、焦らなくて大丈夫。(認可保育所・保育士)
- 小学校就学するからといっていろいろなことを求めすぎないであげてほしい。(こども園・保育教諭)
- 子どもは就学前の期待もあると思いますが、新しい環境への不安もあると思うので、勉学ができるかの心配は一旦そばに置いておいて、子どもの気持ちに寄り添ってあげてください(こども園・保育教諭)
▼ 情緒の安定・愛着の大切さ
- まず、優先すべきは情緒の安定。自分の気持ちをある程度理解し表現できるようにならなければ、友達との関係を築くことや教育を受けることにエネルギーを割けないと思います。(認可保育所・保育士)
- 子供との愛着信頼関係を強固に構築しておくこと(甘やかすのではなく)(企業主導型小規模保育園・保育教諭)
- どんなことがあっても保護者は子どもの気持ちを否定しないであげてほしい。(認可保育所・保育士)
- 習い事などより、とにかく保護者と家庭でその子一人一人の愛情、情緒面を最優先にして欲しい。(認可保育所・保育士)
▼ 生活リズムへの意識を
- 早寝早起きを保護者の都合で出来ていない子が多いが、いきなり小学校で身につくものではないので早くからご家庭でもリズムを作ってあげて欲しい。(認可外保育園・保育士)
- もっと就学を見通した生活リズムや子育てを意識した方がいい。直前でも遅いくらいですよ。(認可保育所・保育士)
- 入学準備に大切なのは学習準備ではなく、身辺の自立や生活リズムの安定だということ。(認可保育所・副主任)
▼ 親の不安を見せないで
- 保護者が不安をもたないこと。信じて背中を押してほしい。(こども園・保育教諭)
- 親が不安にならない。子どもの前では笑顔で。(認可保育所・保育士)
- 心配しすぎ、手伝い過ぎに気を付けて欲しい(認可保育所・保育士)
▼ 子どもの気持ちに寄り添う
- 子どもの話を聞いてあげる習慣を作って欲しい事。忙しくて手は止められない時も耳は子どもに向けて欲しい。(こども園・幼稚園教諭)
- 安心して変化も楽しめる準備。不安を受け止めようとするだけでなく、楽しいと思えるように話を引き出して欲しい。(幼稚園・幼稚園教諭)
- 頑張れって言わない応援をしてほしい。(地方自治体独自の認証保育施設・保育士)
まとめ — 入学前後の見えない壁を超えるー連携のヒントへ
今回のアンケートから、保育者のみなさんの中にある、幼保小の連携に関するさまざまな思いや問いが浮かび上がってきました。
ひとつは、「遊びが大事であること」「遊びの中に学びがあること」が、 十分に理解されていないのでは、という実感。
もうひとつは、書類では伝えきれない「子どもの情緒面」や「対人関係」など、数値化しにくい子どもの心の動きへの深い眼差しを、どうつなげていくか?という問い。
そして保護者への、「焦らなくて大丈夫」「親子の情緒の安定を大切にしてほしい」といった、日々親子を見守っている保育者ならではの声。
入学前後に感じている”すれ違い”は、それぞれの立場の違いや思いや願いが、少しずつ違う形をとっているだけなのかもしれません。
この結果が、教師・保育者・保護者の三者が連携し、子どもたちが安心して就学後の生活を送るための環境をみんなで作っていくための小さなヒントになれば幸いです。
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