保育の現場の声を聴き、子どもの視点に立ったコンテンツを発信しています。 『HoiClue(ほいくる)』雨宮みなみ編集長インタビュー
2025/07/14
いろんな園や保育施設ともっと繋がっていきたいと思っています
雨宮みなみ編集長は保育士として6年間子どもに関わったのち、現場での経験を生かして2010年にWebサイト『ほいくる』を立ち上げる。2016年、小学館の保育専門誌『新 幼児と保育』との連携企画をスタートさせ、2018年に資本業務提携、2022年から小学館のもとで『ほいくる』を運営。

「子どもの姿」を意識した遊びや活動のアイデアを多数掲載
『ほいくる』は子どもと楽しめる遊びのアイデアや、保育にまつわるさまざまな情報を掲載しているWebサイト。保育士や幼稚園教諭など、保育者の大多数に利用されています。
「読者の勤務先は保育園、幼稚園、こども園などいろいろですが、子どもに携わる仕事をされている方を『保育者さん』と括らせてもらっています。年齢層は20代〜50代と幅広く、保育歴が10年〜20年以上の中堅層の方が増えているように感じます。
『ほいくる』には現場で楽しめる遊びのアイデアを多く載せているので、そこに情報を探しに訪れる読者は、子どもたちと過ごす時間をより豊かにしたいと考えていらっしゃる方なんだろうなと思います。
最近のアンケートでは、『実際に現場に取り入れやすいから利用している』との回答が多く、これを取り入れたら子どもたちはどんな反応をするかな、どう楽しめるかな、というような、目の前の子どもの姿を大切にされている保育者さんが多いと思いますね」
記事の配信頻度は、遊びのアイデアや読み物、保育にまつわるイベントやセミナーの情報などをあわせて月に50本程度。1日に何か1つ情報を取り入れられて、無理なく楽しめる本数を意識しているとのこと。
「サイトの軸として大切にしていることが大きく3つあり、1つめは〝HoiClueの先にちゃんと子どもの姿があるか〟ということです。もちろん使い手は保育者さんですから、保育者さんが求めている情報や使いやすさは大事にしていますが、大人のほうばかり見ていると、ノウハウなど大人寄りになってしまうので、常に子どもの姿を意識して、〝大人よがり〟にならないようにしています。
2つめとしては、HoiClueのClueは〝きっかけ〟という意味なんですが、届ける情報が答えではなく、きっかけであること。〝保育はこうあるべき〟とか〝遊びはこうだ〟というものではなく、正解はないんです。こういう考えもあれば、こういう方法もあるということをみんなで共有し、それを知った上で、最終的にどうするかは各々が考え、取り入れてみて、そのようすをまた共有する。そんなふうに、子どもの隣にいる私たち大人が互いに〝耕し合える〟場所でありたいと思っています。
3つめは、運営している私たち自身が、心動く経験をしたり、楽しんでいないとサイトもおもしろくないと思うので、遊び心と真面目さの両方を持つことです」
人気のコンテンツは遊びのアイデアや、保育者がそれぞれの考えを共有し合える企画です。
「遊びも本当に答えがなくて、子どもの年齢や環境にあわせ、いくらでもアレンジできます。正解がないからこそ、『あ、こういうのもありなんだ』と知ることで考え方が広がるので、やはり遊びのアイデアは人気がありますね。また、『ほいくる』は現場の保育者さんの声が集まるということが大きな特徴で、それをみんなで共有するアンケート企画なども好評です」
企業のサービスやツールと保育の現場の橋渡しを担いたい
タイアップとして取り組みたいのは、保育者のためになるようなもの。まず挙げられるのが、保育者向けのセミナーやイベントの告知協力です。
「私自身、保育の現場を出て初めて、世の中にはこんなにも保育者向けの学びの場があるんだと知ったんですね。でも現場にいた時にはわからなかった。保育者さんがうまく学びの場にアクセスできていないという課題がある中、多くの人が利用してくださっている『ほいくる』を通して、様々なテーマやジャンルのセミナーがあり、またオンライン形式も増えて学びの形もいろいろだということを知ってもらい、みんながいわば公平に学びの場にアクセスできるようになればいいなと思っています。
ですので、セミナーや研修の主催者さんで、より多くの保育者さんに知ってもらいたいという方のお手伝いができればと。セミナーやイベントの情報は現在も掲載していますが、近々タイアップメニューも予定しています。保育者さんによりよく知ってもらえるような設計にしたいと考えています」
近年、保育の現場でもDX化やICT化が進み、また少子化により、この先は園の数が減少して園のあり方が変わることも考えられます。そうした変わりゆく保育現場で働く保育者をサポートする各種のサービスも紹介したいとのこと。
「ICT化に向けたサービスはどんどん増えていて、保育士の負担軽減を目的としたものなど保育業界の問題に対応するサービスもいろいろ出ていますが、そういう中から何をどう導入すればいいのか悩むことも多いでしょう。保育業界にはICT化など新しい取り組みや変化に不安や苦手意識を持っていたり、うまく導入しきれていない園が少なくないと思います。
保育業務を支援するサービスやツールをわかりやすく紹介したり、『ほいくる』はアンケートで保育者さんの声が集まるのが最大の強みなので、実際に導入する際の現場の声を企業さんにお伝えしたり。保育を取り巻く状況が変わりつつある中、『ほいくる』が現場の声をしっかり集め、子どもの視点を大切にしながら、企業さんの取り組みと保育の現場との橋渡し的なことを担えればいいなと思っています」
保育者の助けになるような商材や、啓発活動とのタイアップも
そのほか、グッズなどの商材や、啓発的な取り組みとのタイアップも進めたいと言います。
「私たちが知らなくて、保育者さんに使ってもらいたいものって、じつはたくさんあると思うんです。夏ですと暑さ対策などの健康管理ができるような商材もいいですし。『ほいくる』を通して現役の保育者さんから商材に対する意見なども聞けたらと思います。
また、省庁や自治体との親和性も高く、何かの活動を啓発するような施策ともマッチしています。こういうことをやりましょうと言っても、実際には現場に届いていないことが多いので、そこで『ほいくる』の出番だと。サービスでもグッズでも啓発活動でも、少しでも保育者さんの手助けになるようなもの、そして保育って楽しいなと思わせてくれるようなものを発信していきたいですし、そのためにも保育現場の声を届けることもしていきたいですね」
『新 幼児と保育』や、幼稚園・保育園に配布されるフリーマガジン『園ふぁん』と連携したタイアップ企画も実施。今後は、小学校教員のための教育情報Webメディア『みんなの教育技術』との連携も考えているそうです。
「現在、多くの保育者さんに使ってもらっている中、今後はいろんな園や保育施設ともっと繋がっていきたいなと思っています。園や施設とコラボしてコンテンツを作れたりするといいですね。どの園や施設でも各々の取り組みや視点があって、保育者さんは互いにそれを知りたいと思っていますし、いろんな人や考え方に触れることで、頭や心が耕されます。多くの園と繋がれたら、そういう環境もどんどん広がっていきますから」
自分の息子の、おもしろいと思った言葉をスマホにメモし続けている雨宮編集長。例えば、春先に公園から帰ってきたとき「あそこの公園、すごい桜気味だった」と言ったのを聞いて、「桜気味」という言葉はないけど、言いたいことはなんとなくわかる、子どもはそういうふうに表現するんだなと思ったり。また、「今日ってあつ着、さむ着?」と聞かれ、「厚着、薄着」だけど、「暑い、寒い」からそういう言い方になったんだろうなと、あとから考えて納得したり。そんな子どもの感性をずっとキャッチしていたいという雨宮編集長が、『ほいくる』をより楽しく育てていきます。
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