集英社・講談社・小学館のADサイト担当者鼎談「広告主・広告会社に出版社のソリューションをお届けしたい」

2025/06/26

写真左から、集英社 (ADNAVI) メディアビジネス部 黒沢奈津子、講談社 (ADステーション) メディアプラットフォーム部 川崎耕司、小学館(AD POCKET) 広告局 ADX戦略室 河村英紀

日本雑誌広告協会の会報『雑誌広告』2025年5月号にて、「出版社の広告情報発信戦略 ― 講談社・集英社・小学館のADサイト比較研究 ―」と題した特集が掲載されました。本特集では、集英社の『ADNAVI』、講談社の『ADステーション』(『Cステーション』グループ)、小学館の『AD POCKET』を取り上げ、それぞれの担当者がADサイトの特徴や運営方針について語っています。

そして今回、先の特集取材をきっかけに、同じ目的のADサイトをもつ三社の担当による鼎談企画が実現。各出版社の広告サイト運営を担う担当者が考える「出版社の広告ビジネスの現在地と未来」や「ユーザーとの信頼関係構築」「ブランドとの向き合い方」などについて、率直に語り合いました。ぜひご一読ください。

左から集英社  黒沢奈津子氏,小学館 河村英紀氏,講談社 川崎耕司氏,

集英社・黒沢奈津子(以下 黒沢)
講談社の『Cステーション』は、『ADステーション』や『マンガIPサーチ』『講談社SDGs』と一体で運営している点が、非常に印象的でした。単なるADサイトではなく、メディアとしての存在感がありますね。

講談社・川崎耕司(以下 川崎)
『Cステーション』は、もともと「広告主にもっと興味を持ってもらわなければ」という危機感から出来たコンテンツマーケティングのサイトです。その危機感はみなさんのADサイトとも共通する部分が多いと思います。

小学館・河村英紀(以下 河村)
グループを形成して相互補完しつつ、立体的に情報発信していますよね。集英社『ADNAVI』は各メディアの読者アンケート結果を分析してホワイトペーパー化している点に注目しています。メディアが持つ強みや特徴をコンテンツ化して発信することは、出版社にとって相性がいいはずですからね。

川崎
そうですね。タイトルが「【BAILA キャリア女子総研】今どき働く30代女性のインサイト」といったように、マーケター目線を感じます。

黒沢
雑誌メディアならではの視点でとらえたターゲットインサイトが広告主や広告会社にとってのソリューションや提案ヒントになれば、という思いですね。小学館『AD POCKET』は、新規・既存の双方のエンゲージメントを強化している姿勢が印象的です。

川崎
問い合わせ導線に、どう商談するのかまで明記してあり、商談機会をわかりやすく設計されていますね。

河村
ADサイトは成果の可視化が難しいですが、私たちはKPIを「会員登録数」に定め、そこからどう商談に結びつけていくかを追っています。今は「この媒体に出したい」ではなく、「この媒体にはどんなソリューションがあるか」で判断される時代。これは、2社の取り組みにも共通する姿勢だと感じますね。

3社ADサイトに共通するのは、マーケティング視点での発信

河村
マンガIPを強化しようとする方向性は一致していると思います。イベントやウェビナー、ホワイトペーパーといった手法で顧客との新たな接点をつくろうとしている点も共通しています。

川崎
河村さんが『雑誌広告』の特集でおっしゃっていたように、出版社の広告ビジネスは今や「業界でもニッチな存在」です。だからこそ、媒体資料を並べるだけではなく、さまざまなサービスをマーケターに発信する拠点としてのADサイトを知ってもらう必要があると感じます。

黒沢
メディア情報だけではなく、サービスやソリューションを提示し、マーケティング視点での情報提供を進めている点が共通していると思います。また、編集長や仕掛け人といった“中の人”の声を伝えようとする工夫──こうしたスタンスにも、3社の取り組みが重なって見えました。

情報を届け、相談されるメディアへ──ADサイトの現在地

川崎
企業の課題解決を期待した問い合わせが、もっと増えるといいなと思っています。コラボ事例やホワイトペーパーなど、フックになるコンテンツを整えて、「まずは相談してみよう」と思ってもらえる場にしていきたいですね。

河村
より多くの方にもっと見てもらいたい。幼児向けからシニア世代まで、ファッション、ビューティ、ライフスタイル、コミックといった多様なジャンルで読者、ユーザーに深く突き刺さるメディアやコンテンツが出版社にはたくさんあります。ADサイトは、そうした多様な価値感に触れてもらう場として活用してもらえたら。

黒沢
新規の方にはメディアやコンテンツマーケティングの接点に、既存の広告会社の方には再発見を促す場になればと思います。「ナビゲーター」として、求められる情報が見やすく、探しやすく、使いやすいことも大切。今あらためて広告会社の皆さまにもご意見を伺っているところです。

川崎
広告主や広告会社にとっての「タッチポイント」として、出版社ならではの視点やコンテンツを届けていければ。あらためて、3社とも同じ方向を向いていることを実感しました。最適なソリューションの入り口を、それぞれの形で目指していければと思います。

今回初めて実現した3社による鼎談企画。各社アプローチ方法は違えど、共通していたのは「出版社の持つ多様なメディア、コンテンツ、マンガIP等を活用したソリューション提案の強化」です。コロナ禍を経て、出版社の広告ビジネス環境は大きく変化しました。それと同時に営業活動、情報発信の在り方も大きく変わり、今後も各社のADサイトの重要性はますます高まっていくことは確実です。是非、各社のADサイトを読み比べてみて、マーケティング活動やプランニングの参考にしていただければ、と思います。

『AD POCKET』は今後も広告主の皆様の課題解決に寄与できるよう、小学館の様々な取組みやメディア情報を発信していきます。『AD POCKET』の今後の展開にもご期待下さい。

『ADNAVI』『Cステーション』にも今回の鼎談記事が掲載されています。ぜひ、そちらも合わせてご覧ください。

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