仕事、子育てに日々忙しい40代のファッション、ライフスタイルに寄り添います。 『Domani』田中ゆか編集長インタビュー
2025/06/17
『Oggi.jp』とのブリッジ企画は力を入れているコンテンツです
田中ゆか編集長は、2002年に小学館入社。『CanCam』から編集者キャリアをスタートさせ、『AneCan』、『美的』、『Oggi』を経て、Oggi/Domaniブランド室に異動後に『Oggi.jp』『Domani』のWeb編集と雑誌編集兼任。その後、Web専任を経て、2024年10月より現職に。
情報と選択肢が多い都市部在住40代女性が求める情報を多彩に掲載
働く女性のためのファッション誌として1997年に創刊された『Domani』は、2021年にWeb中心の発信スタイルに移行しました。
「紙媒体時代からメインの読者は変わらず、40代の女性でワーキングマザーが対象です。仕事と育児の両立で毎日忙しい中で、効率よくおしゃれに過ごすためのファッションやビューティーの情報を発信するコンセプトはそのまま引き継いでいます」
変化したのは、即時性に優れるWebらしく、紙時代よりもさらに多種多様になったコンテンツ。ライフスタイル、子どもの教育、働くお母さんの悩みに本気で役立つことから、ちょっとしたアイデアなど40代が興味あることを幅広く網羅しています。
「ブランド室には30代がターゲットの姉妹誌の『Oggi』があり、そのデジタル版である『Oggi.jp』の編集長を私が兼任、デジタルを担当する部員はどちらのメディアも担当しています。両誌とも働く女性を応援する軸は同じですが、世代が異なるため、例えば、オケージョンコーデにしても『Oggi.jp』なら友人と素敵なホテルを楽しむときやウェディングのお呼ばれといったスタイルですし、『Domani』になると家族の節目の行事、学校行事や小学校受験といった教育に関わるシーンのコーデと変わるなど、それぞれに紐づくセレモニーやライフステージで発信すべき情報も微妙に変化します。
ですが、同じ部員が価値観を変えず視点だけ変えるだけで、２メディアをブリッジさせた企画をスピーディに進行できるという長所があるので、幅広い層をカバーできるブリッジ企画は力を入れているコンテンツです。そして特に『Domani』では、ファッションコーデを作る際には必ずシーンを意識してます。ママのファッションは、〝まず目的ありき〟ですから」
田中編集長は、40代は３つの大きな変化が起きると分析しています。
「ひとつめは仕事で変わる、です。いわゆる管理職になる方が多く、部下ができて、出向く場所や会う相手も今までと変わってきます。そうなるとファッション、メイク、ヘアスタイルも立場に見合うよう〝カチッとした〟スタイルを求める人も出てきます。
２つめは家庭。子どもが成長して母親が気を配ることが変化するので、これまでの体力勝負から、塾の送り迎えなど子どもの予定に合わせて動くといった、働きながら日々をうまく回すことが必要になったりも。
３つめは、自身の体の変化です。更年期の記事はよく読まれていることからも分かるんですが、疲れがとれない、手元を離さないと文字が読めない、オーバーサイズの服をおしゃれに着ているつもりが、周りからはただの大きい人に見えているだけだった（笑）……など、これまで認識してきた自分と変わってくる年代です」
30代との比較をしやすい環境にあることで、悩み多き40代に向けて、３つの変化に対応できる情報を「求められている」とコンテンツに落としこんでいます。
「読者は都市部在住の方が多く、自身のおしゃれも忘れたくないけど、子どもへの教育も熱心。アレもコレもやろうとすれば何でもできる魅力的な場所に住んでいる一方、ライフスタイルに合うものの見極め、自分たちが子どもの頃になかったコンテンツも多種多様で、選択肢の多さに悩む面があります。その読者が参考になる、ヒントを得られるように作りこんでいます」
例えば、ワーキングマザーのインタビューでは転職経験者を取り上げて、働き方の選択肢があることの示唆。文中には１日のスケジュールを掲載するなど、随所に細かな工夫を施しています。
「働き方だけでなく、40代が気になるヘルスや教育のテーマもWebのほうが紙媒体より手がけやすく、必要としている読者にダイレクトに届くと思います。皆さんが憧れる女性著名人にインタビューした時は、変化する体調への対応や疲労回復方法などもお伺いしてヒントを得られる内容にするのも心がけています。読者は忙しいワーキングマザー。効率よく情報を集められると感じてもらえる、もっとこの情報を知りたいと思ってもらえる。働くママが少し思い悩んだ時、その悩みのお手伝いの入口になれるサイトであるように制作しています」
これに加えて、充実にしているのがエンタメです。
「エンタメの魅力を知っているか知らないかで、40代はもちろん、その先にある50代の人生は輝きが違うんじゃないでしょうか。今の40代、50代でキラキラしている人は、推しがいる、そのための予定がある印象なんですよね。早いうちにエンタメを楽しめることを知っていれば、年齢を重ねることも先々のことも楽しめ、精一杯にならずに日々を過ごせるんじゃないかとも思っています」
エンタメのインタビューでは、個性的な芸人が登場する「こじらせ男のひとりごと」、憧れの女性が登場する「宝塚歌劇団OGリレー」、声優の「耳恋」などがあります。
「推しを見つけて、沼っていただきたいんです (笑)。Webメディアになったことでファッションやビューティーだけじゃなく、細やかに必要とされる企画を出せるので、これまで40代向けにないファッションメディアが『Domani』になります」
生活のためになる、楽しめる、読者に寄り添う。そんなコンテンツ作りが魅力になっています。
40代のライフスタイルすべてを網羅するタイアップの対応力が強み
社会人として働き、子育てど真ん中の母親世代で、自身の変化に戸惑うこともある悩み多き世代なだけに、タイアップの可能性がある業種は多岐にわたります。
「ファッションなら入学式、学校行事や面接などのセミフォーマルからフォーマルまで、これまで培ったセレモニーファッション企画のスキルを活かした提案ができると思います。美容はエンジングケアを本格的に始める40代なので、サプリや美容医療などは取り入れたいと考える読者が多いのもあり、親和性が高いですよね。
例えば老眼が始まる年代でもあるので、リーディンググラスの従来のイメージを払拭しておしゃれでカジュアルにしたいなども、エイジング対策にポジティブになれる見せ方などご期待に添える企画をご提案できると思います。子どもが大きくなったから一軒家、広いマンションへ転居など可処分所得が高い読者が多いだけに、住宅関連も訴求力が高いと思います」
そして、40代のワーキングマザーがもっとも最新情報を知りたいと熱望する教育関連は、専門のライターを擁しているだけあって、他のファッション誌と一線を画しているのが特徴です。
「教育専門誌出身のエディターが執筆するため、内情を熟知した信頼度の高い記事を作成できます。塾や通信教育はもちろん、子どもの学力を上げる環境作りのための支援ツール、子どもを軸にしたお母さんのためのタスク管理ツールなどご一緒に企画を展開できると思います。ほかにも、小学校受験対策で自然環境に親しむ体験学習の旅をなど、旅行代理店と共同で考えられたら面白そうですよね」
食品や調理器具もメーカーと協働できれば、読者の手助けにもなると考えている田中編集長。それほどワーキングマザーである読者は 「本当に忙しい人が読んでいる」のですが、『Domani』にアクセスすることで、情報をタイパよく集める以外にも「四季を感じて欲しい」と展望を語ってくれました。
「Webの即時性の強みで、季節にピッタリな情報をタイムリーに届けることができます。例えば十五夜が近づけば、由来の知識系記事から、お月見団子を作るレシピや買うならこの店がいいというグルメ情報、その頃の気温から考えるファッション、ヘアメイクまで記事を作れます。今後、できるならば季節のことから自分の心身を整えられる歳時記メディアにしていきたいですね」
田中編集長自身、小学生の子供がいるワーキングマザー。先日は、仕事と子どもの行事の合間を縫って、30代前半ぶりに韓国へ。１泊２日の弾丸ツアーながらリフレッシュしたとか。ピンポイントの隙間時間を上手に使った「30代とは異なる40代の旅」だったそうで、またすぐにでも行きたいと思った実体験はこれからの企画アイデアの種にもなりそうです。
