本誌のエンタメ人脈を活かしたタイアップも、スピード感をもって作成できます。『CanCam.jp』渡邉恒一郎編集長インタビュー
2025/05/22
紙媒体とWebの連動で世界観を構築しています
2000年に入社した渡邉恒一郎編集長は、『CanCam』『Precious』『Oggi』など女性ファッション誌の編集者一筋。Webメディア黎明期からデジタルも担当し、2017年に『Precious.jp』を立ち上げた。関連会社の『MERY』でSNS動画作成チームの編制も行い、その経験を『Oggi』にも活かして動画制作力を強化。2024年10月より『CanCam』ブランド室室長と現職を兼任。

読者の興味に合わせ、さまざまなラグジュアリー情報を細やかに発信
これまで、〝めちゃモテ〟〝エビちゃんブーム〟〝ナイトプール〟など社会現象を起こしてきた『CanCam』のWebメディアである『CanCam.jp』。経済的ムーブメントを作り出す本誌を、渡邉編集長は「HAPPYでACTIVEな20代女性のためのファッション&美容メディア=CanCamです」と表現します。
「雑誌の読者は、推し活やスポーツ、旅行や肌磨きなど興味のあることに投資を惜しまない、経済を回している自負のある可処分所得の高い20代。そのWebメディアである 『CanCam.jp』のメイン読者層も同様です」
そんな読者のファッション傾向は「バランス感覚に優れていること」のようです。
「ファッションのテイストは、品よくきれいなお姉さん。甘辛ミックス、スタイルがよく見えるコーデ、ラグジュアリーブランドとお手頃ブランドの取り入れ方、トレンドの扱い具合など、全方位においてバランスの良さを意識していますね。カジュアルなスタイルで通勤ができる一方、ガチガチのドレスコードをしないまでも、T.P.O.を意識できる、一緒にいる相手や場所を考えられる、社会性の高いマインドを備えている女性たちだと思います」
おしゃれの最先端は、一緒に行動する友だちやカップルなどで色や柄などさりげない共通要素を取り入れたおそろい感を出す「リンクコーデ」です。
「ファッションは、友人や家族とつながりの中で表現される機会がますます増えています。読者の母親にあたる50代の女性たちは、かつて『CanCam』を読み、その後もファッション誌を読み続け、センスをしっかりと磨かれた方ばかり。そんなお母さん方から薫陶を受けてきた経験値が、今の読者たちのファッション感度に反映されていますし、独りよがりではなく、家族や友だちとのリンクコーデをする。自分の人間関係を豊かに広げていくために、ファッションを活用している印象ですね」
このような読者に興味に合わせて、ファッション、美容、結婚・恋愛、アイドルなど20代著名人のエンタメ情報、読者調査、読者インフルエンサー集団「it girl」の私服やメイク術などを中心に、1日に12~14記事程度を配信しています。
「強化しているのは美容関係で、韓国コスメ好きがその良さを語り合うYouTubeの『韓国コスメ座談会』や、TikTokの『半顔メイク』『忙しい人のためのコスメニュース』『友利新先生の美容キーワード解説』など、動画連載です。Instagramでも美容好きのit girlがインスタライブを実施して、トレンドコスメをどう自分に取り込んでいくのか? を表現しています。
Webで注力しているコンテンツは、商品紹介をブランドの成り立ちから商品の魅力など多面的に取り上げた『20代からのブランド名品』、先ほど申し上げた人間関係とファッションを表現する『リンクコーデ』など。いずれも雑誌と同じ重点的テーマにして、補い合いながら進めています」
美容系を強化しているのは、投資も惜しまない読者の関心がもっとも高いからだそうです。
「コスメそのものだけでなく、美容医療への関心も高いですね。〝肌磨き〟と先に挙げた通り、素材そのものである肌の老化を止めるために、どうするのか。最近の読者取材では、白玉点滴、ピーリング、ボトックス、ハイフなどを実践してみたり、自宅でできる商品を購入する女性もいて、美容意識の深まり、開花年齢の低下に驚いています。心の健康にも積極的に取り組んでいる女性が多いのも印象的でした」
おうちデートより外でのデートを好み、お出かけするのは各SNSでインフルエンサーが紹介するアート系スポット、海外旅行欲も高い。外見磨きだけでなく、内面性を高めることにもアクティブな世代に向けて、誌面でカバーしきれないさまざまな情報をデジタルで提供しています。
紙媒体の強みとデジタルのスピード感をリンクさせる仕掛け
入社以来、紙媒体の編集者であると同時に、デジタルコンテンツを手がけてきた渡邉編集長。Twitter(現X)がスタートしたあたりの時代、SNS黎明期でした。
「当時と比べると、ギミックや仕掛けのあるコンテンツが格段に作りやすくなりました。昔は専門家やプロに依頼するため多少の時間が必要でしたが、今は自分たちでほとんどを自作できますし、発信もしやすくなりました。
そんな時代になってこそ改めて実感するのが、雑誌編集者が持っている圧倒的なパワー。例えば読者調査で50人を特定の日時に1か所に集めるというのは、スケジューリングや服装の指示などの連絡ひとつとっても、相当の時間と手間が必要なことです。それを当たり前に集めてしまえるわけですから。
Webが発達するほど雑誌の力を感じますし、〝芯の太い仕切り能力〟を持ったチームが稼働できていることが、『CanCam』ブランドの強みのひとつです。この編集者の熱意と読者の生の声が詰まったコンテンツを、ツールを使ってどう広げていくのかを考えるのが、僕の現在の仕事のひとつです」
本誌と両輪で時代を切り拓いていく感がある『CanCam.jp』。クライアントの道を作るのも得意で、今後は〝入口作り〟にも注力していくようです。
「ラグジュアリーの入口、スキンケアの入口、結婚や婚活や転職という人生のターニングポイントの入口など、読者の”人生の転機”に役立つコンテンツ作りを、雑誌とデジタル全体で展開していきます。
また、トレンド感・質がいいもの・本物感は、雑誌を買い、読む時間がある読者が求めている価値観。
- 新しく商品やブランドを立ち上げたい
- 今までの商品の新しい魅力を伝えたい
- 結婚・婚活で新しい生活をスタートさせる20代に向けて訴求したいインテリアや住宅など
といったクライアントさんとの相性が良いのではないかと感じています。
また、国内外さまざまなタレントが出演する雑誌の〝エンタメ人脈〟も強みになっています。誌面やデジタルに出演している方のタイアップ出演の打診も可能ですので、気軽にご相談ください」
ここにSNSでのコンテンツ作成のスピードの速さ、雑誌で築いてきた編集者の的確さが加わるため、より良いものを短時間で制作するスキルにも長けています。
「今後は、SNS専門チームを作り動画制作に注力することで、細やかなクライアントのニーズにさらにスピーディーに対応できる体勢を構築します。Instagram、TikTok、YouTubeの3つを活用し、動画やライブ制作はもちろん、動画コンテンツに著名人を起用してタイアップの横展開を強化。
集客力のある体験型リアルイベント(ナイトプール、Beauty Buzz dayなど)も実施していますが、これらとSNSコンテンツをより密接にさせて、参加しても見るだけでも楽しめる連動感を増やしていきたいとも考えています」
探究心旺盛で、休日は池袋や上野などで〝ガチ中華〟のグルメ散策をするという渡邉編集長。学生時代に中国語を専攻し中国文化にも親しみがあり、「漢方や薬膳、火鍋、麻辣湯など食は女性も大好きですが、最近は読者にも親しみのある美容も、ワンホン(中国人インフルエンサー)や小紅書(中国のSNSプラットフォーム)を通じて浸透しつつあるので、これから日本でどう定着していくのか? 読者との親和性も試していきたいですね」と、次なるムーブメントのリサーチも抜かりないようでした。
『CanCam.jp』の媒体資料ダウンロードはこちら: