意欲的で意識が高いナースに、今知りたい情報を届ける看護総合誌です。 『エキスパートナース』吉本 文編集長インタビュー

2025/05/19

今の時代の看護師の志向をしっかりキャッチし、誌面に反映させています

吉本 文編集長は看護や医療関係の雑誌・書籍の編集を経て、2009年に照林社に入社。看護学生誌『プチナース』に配属され、雑誌を担当しながら書籍や漫画などの単行本も作成。2016年に書籍編集部に異動したのち、2019年4月に『エキスパートナース』編集長に就任、2020年4月に雑誌をリニューアルする。2024年よりエキスパートナース・メディア事業部次長として、医療系企業のweb記事や動画などの受託案件の部署も統括。

あらゆるナースを支える幅広い分野の知識や最新情報を満載

「読者層は本誌とwebで若干異なり、本誌はナース歴16年以上のベテラン層が半分近くを占めているのに対し、webはナース歴5年未満の若手層、6〜15年の中堅層、ベテラン層がほぼ均等です。ナースは社会人経験を経て看護学校に入った人が少なくないので、年齢よりもナース歴で読者を見ています。こうした専門誌を読む方は総じて何らかの問題意識を持ち、自分の看護をよりよくしたいという方が多いと思いますが、特に弊誌のような看護総合誌の読者の意識は高いと思います。

看護雑誌はかなり細分化されており、例えば循環器病棟で働く看護師向けに循環器に関することだけを扱った診療科別のものがほとんど。総合誌は珍しいんです。コスパ、タイパを考えたら、自分の受け持ち分野に絞ったものを読むほうが効率はいいでしょう。総合誌を読むのはプラスアルファの知識を得ておきたいとか、最新の医療のことを全般的に知っておきたいという、かなり意欲的な方が多いと思います」

「一般的に専門誌は、専門職の先生方が編集委員のような形で年間の企画を立てることが多いんですが、弊誌はもう完全に編集部がネタ探しから著者のアサインまで全部やっているので大変です(笑)。特集のテーマを決めるのも一苦労ですが、最近は『意識的なこと』を積極的に取り上げるようにしています。これまでは例えば『看護技術のコツ』というような実践的なものが大半だったんですが、教科書的な内容はネットなどで無料の情報が溢れていたりもするので、オリジナリティが高いのはやはり『意識的なこと』、考えることが必要な記事かなと。そうしたものも含め、ナースに今だからこそ届けたい質の高い情報を、総合的な視点で取り上げるようにしています」

本誌やwebでのタイアップのほか、企業受託案件も増加

「医薬品関連の企業は、学会で共催したセミナーを記事化して本誌に掲載し、同時に販促用にその記事を別刷にするというのが一番オーソドックスな形です。現在は薬機法等の規制が厳しいので、セミナーも記事も症例の紹介といった形になりますが、読者にとってすごく参考になるので注目度が高いですね。また、栄養剤や医療用に開発されたゼリーなどの食品、白衣などのタイアップも多く、こちらは病院取材が中心です。

クライアントさんからお問い合わせいただくと、弊社で企画書を作って、病院取材か座談会か、あるいは商品紹介だけにするのかと幾つかパターンをご提案するんですが、弊誌の読者はほかの病院でどういうことをやっているかを知りたいナースが多いので、病院ルポルタージュの人気が高いんです。その商品を実際に使っている病院で、それを使うことでどうなったかを知りたい、それで自分の病院に導入を働きかけたりするのでタイアップ効果も大きいと思います。また病院取材は取材先の病院も、『エキスパートナース』に載るということで喜んでくださるので、クライアントさんにも取材先にも読者にも好評です」

「『エキスパートナース』の2025年年間定期購読者への特典として、『エキナスプラス』という冊子を作り、その中でこれまで扱ってこなかったお金の話、資産運用について取り扱ったんです。一般企業の場合はNISAやiDeCoの講習会等があったりしますが、病院ではそういうものがあまりなく、自分で勉強する時間もないし、看護師はお金のことを学ぶ機会がなかなかない。だけど今の時代、マネープランニングも必要なのではと特集してみたら、結構反響があったので、今後はwebでお金に関する記事を載せていこうかなと。ナースとして働き続けるうえでも資産運用などの知識は欠かせないと思いますので、そうした企画で企業さんとタイアップできたらいいなと思っています」

「これまでの読者アンケートやモニターへの調査などから、看護師の志向や特性がかなりわかってきたんです。例えば健康志向が非常に強くて、食べ物にもこだわりがあり、おやつはポケットに入れてちょっとした合間に食べられる個包装のものが定番。栄養ドリンクもよく飲んでいます。また、3交代勤務が多かったりすることから自分1人でできることや漫画が好き。夜勤があるので自動車通勤している人も多く、ナースに使い勝手のいい自動車なども紹介したいですし、職業特性を生かしたようなものもおもしろいかなと思っています。例えば、エナジードリンク〝forナース〟とか(笑)。ナースは資格を持っている人が約170万人いて、ほぼ9割が女性。その伝播力と効率性を考えたら〝forナース〟という商品があってもいいし、一般消費者向けにも、看護師という〝プロが使っている商品〟 という訴求ができるのではと思ったりしています」

「看護情報のストックや人脈が豊富なので、内容に最適な先生がわかりますし、弊社からの依頼だったら受けていただけますから。患者さんへの指導はナースがやることが多く、最終的に医師にアプローチするにしてもまずはナースに知ってほしいということがあるようで、ナース向けに何かをアプローチしたいというご要望は多いですね。その方法にお困りでしたら、ぜひご相談いただければと思います」

ナースの仕事もライフスタイルも合わせてサポートしていきたい

「近年、雑誌離れが顕著になっていますが、ネットに真偽不明の情報が溢れる中、エビデンスにのっとった幅広い知見を1冊に集約し、保存性も高い『エキスパートナース』の意義は大きいと考えています。一方、『エキスパートナースweb』については、看護師向けサイトは人材派遣会社が運営しているものが多く、版元のメディアがきっちり作っているのは希少性が高いと思いますし、サイトへの信頼から広告の問い合わせも増えているので、本誌より自由度を持たせながらしっかり発展させていくつもりです。

また、看護師は一生ものの資格でずっと働き続けられる職種ですが、立ち仕事だったり、夜勤があったりで、年齢とともに体の不調も生じやすく、さらに読者の中心層である30~40代は何かとお金がかかる時期。そこで専門誌ならではの確かな情報を提供して、働き続けるナースをサポートする企画を強化したいと思っています。

それと、看護師の集合イベントもやりたいと思っています。各分野の専門的な勉強をする学会はあるんですが、弊社だからこそできるようなもっと幅広い内容の勉強をパッケージにしたものをやりたいです。そこに企業さんにも入ってもらえれば、非常に充実した価値のある内容になると思いますし、1日でいろんな分野の最新の話が横断的に聞けて、看護師同士の交流やグッズの物販もあれば楽しい。そうした『場づくり』をしたいですね」

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