読者ターゲットを絞って訴求できることが『AQ』というメディアの強みです。 『AQ』安田典人編集長インタビュー
2024/09/30
とにかくカッコいいクルマの写真、躍動感のある動画で世界観を構築しています
安田典人編集長は、在京FMラジオ局勤務を経て2000年に小学館入社。広告局配属の後、2005年から『DIME』編集部に在籍し、2012年、WEBメディア『@DIME』を立ち上げる。2015年、同WEB編集長、2017年、雑誌と兼任で編集長に就任。現在はDIME編集室長および新メディア事業室室長を務める。
ヒヤリングでわかった、本当にオーナーが求めることを具現化
2024年ローンチしたWEBマガジン『AQ』は、ラグジュアリーなクルマのあるライフスタイルを紹介するバーティカルメディア。老舗雑誌から新興のWEBやSNSによる個人発信など、情報があふれるクルマ業界に新風を吹き込んでいます。名称の『AQ』は『AUTOMOTIVE QUANTUM』の略で、「クルマのパワートレインや価値、使い方が急速に変化している時代に、クルマの愉しみ方も加速度的に増やしてほしい」という思いが、QUANTUM(量子)という言葉に込められています。ターゲットは超高級車のオーナーと超高級車のある暮らしに関心がある人。人生をより豊かにするための情報をクルマだけでなくライフスタイル視点で発信し、オーナーの所有欲や知欲を満足させるライフスタイル提案型メディアです。
「個人の趣味・嗜好が多様化した現在は、マスに支持されるメディアを作るのは難しい時代になっているように感じます。ですが、特定のニッチな層に向けて、こだわり抜いた濃いコンテンツを訴求するのであれば十分チャンスがあると思いました。10年前だったらニッチ過ぎると思われたかもしれませんが、時代が大きく動いている今であれば、『AQ』は十二分に存在価値があるメディアだと思います」
ニッチというのは、超高級価格帯のクルマのオーナー向けに特化しているためです。
「『DIME』で自動車ジャンルを長く担当してきたこともあり、ある程度、業界や市場の動向を把握していたこともあり、狭いけれどメディアとして新しいニーズがあるのではないかということを考えていました。背景には、1000万円以上する高級車市場が元気だということがありました。少子化や長引く不況の影響で日本国内の自動車市場は減速傾向にありますが、一方で、都市部を中心に高級車ブランドのディーラーがオープンが続いています。最近では、パワーカップルやスタートアップの経営者など若い方がそういった超高級車を購入する姿が目立つようになったきたという話をよく聞きますが、ゴルフ、旅行、投資、時計や宝飾品同様のおしゃれ願望、趣味活など所有の目的も多様化しています。ただ、昔と大きく違うのが、購入した後も高級車の新しい楽しみ方を見つけたいという人が増えたこと。木更津にポルシェがエクスペリエンスセンターを開設したり、南房総にコーンズがサーキット付きの会員制リゾートを作ったりと、購入した後もクルマの魅力を堪能できる体験型の施設が続々とオープンしていて、どこも盛況だそうです。ちなみに、ポルシェ・エクスペリエンス・センターでは定期的に女性ドライバー限定のイベントも開催されていて毎回人気だそうです。昔に比べると、高級車のオーナー像も随分変わってきました」
既存の自動車メディアとは一線を画すため『AQ』はあくまで〝ライフスタイル〟の提案にこだわります。
「ローンチにあたって、世の中の高級車オーナーが求めている情報をヒヤリングしました。すると、クルマの購入に必要な車両情報を紹介するメディアがほとんどで、そのクルマに乗ってどこに行くのか、どんな仲間を作ったら暮らしが充実するのか、楽しくなるのか、同じブランドや同じ車種に乗ってる人たちはどんな乗り方、使い方、遊び方をしているのか、そんな情報を提供してくれるメディアが意外と少ないことがわかってきました。このような分析から『AQ』は〝高級車を購入した後の暮らしも愉しめるメディア〟を目指していくことになりました」
コンテンツは、クルマに関してはNEWS/IMPRESSION/PEOPLE/STORY。ライフスタイルではTRAVEL/STYLE/ACTIVITYがあります。
「自動車メディアが取り扱う主要なニュースやインプレッションはもちろん柱となりますが、力を入れたいのは〝知っているともっとクルマが面白くなる〟ブランドヒストリーや、高級車を愛するオーナーやメーカーの車両開発にかかわる人などを取り上げること。ここが読者へのライフスタイルの提案に直結する重要な要素となり、プラスして〝贅沢な時間を楽しみたい人〟に向けて、旅、ギア、ゴルフ、ファッションなどのコンテンツを展開させています」
ここで効くのが、編集長がこだわったクルマの写真と動画のクリエイティブです。
「まずは写真の撮り方。逆光で色がつぶれても『とにかくカッコよく撮ってください』とカメラマンに伝え、主役であるクルマが一番カッコよくあることを第一に。記事を読んだ人が一人でも乗ってみたいと思えるようなビジュアルが大切だと思っています。動画も躍動感が伝わるように、ある程度、クリエイターのセンスにまかせる形で依頼をしています。写真と動画は紹介するクルマとメディア、双方の世界観が伝わるようなものを目指しています。もちろん、動画製作のタイアップメニューも用意していますので、活用していただけるとうれしいですね」
次にこだわったのは、PCやスマホで閲覧されることを意識した〝大きさ〟です。
「どれだけカッコよくて、性能の高い高級車を紹介しても、肝心のクルマの写真が小さく、細かく並べているようなデザインになってしまうと、クルマという固体がもつ迫力やダイナミックな魅力が消えてしまい、高級車の魅力も半減してしまいます。それだったらということで、写真の表示サイズを他のサイトより大きくすることにしました。情報量を詰め込む自動車メディアの固定観念を無視したデザインとも言えるので、『それでいいんですか?』と言われることもあります(笑)。それでも『AQ』らしさを印象づける表現をしたいと思っていますので、新しいことにトライし続けたいと思いますし、そうしなければ、記事を作っているスタッフ、高級車を製造している人たちにも失礼になりますからね」
ターゲットを絞り込んだからこそ、強みになるタイアップの訴求力
WEBメディアだからといって、ネットだけには留まらないのが『AQ』の強みです。
「雑誌ブランド発のメディアではなく、完全にということや、雑誌ならではの強みもわかっているので、どうやって自動車メディアとしては後発となる『AQ』のブランド力を高めていけばいいのか考えました。今後は、年2~3回を目安に、タブロイド紙の発行を計画しています。弊社には、不定期で刊行している新富裕層のためのフリーマガジン『AdvancedTime』がありますが、そのデータをを活用してピンポイントで富裕層の住むエリアに配布することができるため、効率よく『AQ』の情報をターゲットに向けて届けることが可能になります。タブロイド紙のサイズで、しかもカラーで『AQ』の記事で使用しているクルマの写真が掲載されれば、きっと高級車の魅力もきちんと伝わるはずです。富裕層の方は、今でも新聞を購読している方も多いので親和性も高いと思われます。最近は、都市部だけでなく地方都市にも高級車ディーラーがオープンしていますので、エリアマーケティングの一環で広告としてもご活用いただきやすい条件が揃っていると思います」
所有欲をそそる高級車であるほど、それに見合うためにオーナーが投資するモノやコトも多種多様。公開済みのコンテンツには、ドライブで訪れたい海沿いのラグジュアリーホテルやグルメ、時計なども紹介していますが、対象はさらに広がりがあるそう。
「高級車でリゾートに出かける人のために、ファッション、バッグ、サングラス、ドライビングシューズなどのコーディネート提案もできるでしょうし、さらに高級車が複数台停められるガレージ付きの住宅や別荘、さらにはセキュリティーシステムなどの紹介も考えられますね。『高級車のある暮らし』というテーマがあるからこそ、読者ターゲットを絞って訴求できることが『AQ』というメディアの強みでもあります」
今後の展望としては、オーナーが求める体験交流もプランにあるとのこと。
「2~3年かけて読者組織を有料会員化して、限定イベントの開催や会員同士の交流などを行ないたいと考えています。実は、コロナ禍に半導体不足で自動車メーカー各社は納車が遅れていた時に、購入者をフォローするイベントや企画を積極的に実施していました。小学館には『Precious』や『和楽』といったハイクラスマガジンがあり、知見もありますので、『AQ』の読者にもラグジュアリーな体験を享受してもらえるような仕組みづくりを進めていきたいと思います」
安田編集長は、現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会の執行役員も務めており、仕事柄、様々な車種に乗りながら、各ブランドの個性や成り立ち、スタイル、トレンドを取材しています。これらの知見を生かして、高級車のある暮らしを愉しむヒントを『AQ』というメディアを通じて発信していきます。
『AQ』の媒体資料ダウンロードはこちら: