おもしろいキャラクターをいろんな企業さんと一緒に開発したいです。
『ぷっちぐみ』其田郁子編集長インタビュー

2023/04/03

小学校低学年女児の「これ、かわいい!」「これ、楽しい!」を詰め込んだ雑誌です

其田郁子編集長は1992年に小学館入社。30〜40代男性向けの『ビッグコミックオリジナル』に初の女性編集者として配属され、西岸良平氏の「三丁目の夕日」や村松誠氏の犬猫のイラストが特徴的な表紙等を担当。約6年在籍後、20〜30代女性向けコミック誌『Judy』に異動、少女コミック誌『Cheese!』を経て、学年誌『小学五年生』に在籍しつつ、2006年の『ぷっちぐみ』創刊に携わり、2010年に編集長に。2016年キャラクター企画室に異動し児童書籍を編集。2018年より2年間クリエイティブ休暇でモスクワ大学に留学。帰国後キャラクター企画室を経て、2021年に『ぷっちぐみ』に戻り、2022年に再度編集長に就任。

女の子が大好きなキャラクターで遊べる誌面を展開

小学校低学年の女児がメインターゲットの『ぷっちぐみ』。人気キャラクターやホビー、ファッションなどの情報や漫画といった、女の子が好きなもの、興味があることを1冊に凝縮した総合エンターテインメント雑誌です。

「読者の中心は8歳で『プリンセスみたいな女の子』というイメージを持っています。かわいいものやおしゃれなものに目がなく、家族や友人から愛されて、素直に育ったおしゃまなお嬢さん。最近はそこに真面目で努力家というか、がんばり屋の気質が加わったように思います。というのは、読者アンケートで『今年は苦手な算数をがんばります』などと書いてくる子が少なくないんです。小学校低学年で(比較的女子が)苦手な科目を伸ばそうとするなんて努力家じゃないですか。いろんなことをがんばりたい、愛され女子の読者が多いと感じています」

そんな読者の支持が高く、毎号欠かせないコンテンツは、「すみっコぐらし」や「ポケットモンスター」「ふわもこたんていぱにゃにゃ」といった大人気キャラクターで遊ぶページです。

「キャラクターのイラストを元に、コミカライズのほか、クイズやパズル、探しっこ、迷路、ぬり絵、お絵描きなど、さまざまな遊びを展開しています。読者にとっては、自分が好きなキャラクターでどう遊べるか、漫画だとどう笑わせてもらえるかがポイントだと思うんです。同じような2つの絵の〝ちがいさがし〟や、特定のキャラクターを大勢の中から探す〝さがしっこ〟は、昔からとくに人気が高く、こうしたものは子どもの集中力を養う、すごくいいページなんですよ。また、もともと『ぷっちぐみ』読者はぬり絵やお絵描きが得意ですが、コロナ禍を経て一層需要が高まったと感じます。ぬり絵のテク紹介、デコ盛りヘアや着物、靴の描き方レッスンなど、ちょっとニッチなテクも企画していて、毎号実施しているお絵描きやぬり絵のコンテストにはかなりの応募数があります」

誌面でどう遊ばせるか、どう楽しませるかは編集部の腕の見せどころ。そして、かわいいものやおしゃれに敏感な女の子の心をくすぐる豪華な付録も『ぷっちぐみ』の大きな魅力です。

「小学校低学年の女の子にはやはり付録の引きが強いですね。それで大人の世界で流行しているモノを模して付録化(スマホ型カードケースやPC型文具、ガチャ占いマシンなど)することは鉄板ですが、さらにこれまでに、光るお絵描きボードやクラフトビーズなわとび、カチューシャイヤリング、キラカードメーカー(カードやシールをホロキラに変身させる)など、『ぷっちぐみ』が最初に付録にしたという子ども雑誌初の付録を何度か企画していて、SNSで話題になりました。そこはこれからも意識して、他誌には企画したことがないような付録をやっていきたいと思っています」

また、さまざまな情報をミックスした口絵記事や、人気小学生YouTuberとコラボした連載も好評です。

「例えば口絵のいちご特集では、いちご自体の品種紹介もしているし、いちごのお菓子やグッズ、いちごのキャラクターも載せていて、何でもごちゃ混ぜなんですが、そのごちゃ混ぜ感が読者にウケてすごく人気がありました。また小学生YouTuberとのコラボでは、ぷっちモデルと一緒にフラワーアレンジメントやクレーンゲームに挑戦したり、宅配ピザの店でピザの作り方を習ったりした記事をYouTubeと連動して展開し、こちらも連載の回を重ねるごとに人気が高まっています」

キャラクター化やコミカライズで、商品への愛着を創出

『ぷっちぐみ』の主要コンテンツである、キャラクターを使った遊びやコミカライズ、付録は、タイアップにおいてもアピールのカギとなるものです。

「現在、製菓メーカーさんとのタイアップで、ラムネ菓子のキャラクターをコミカライズした4コマ漫画を連載しています。このタイアップ企画では4コマ漫画のほかに、記事でキャラクターを模したヘアアレンジを紹介したり、付録銀はがしや組立てへの展開も決まっていますが、お菓子や食べ物は小学校低学年女児ととくに相性がいいですね。それに、たとえキャラクターがない商品でも、『ぷっちぐみ』にはその商品自体を擬人化、キャラクター化する力があると考えています。例えば、読者の年齢層は回転寿司も大好きなので、いろんなネタのお寿司を擬人化してコミカライズするのもおもしろいと思いますし」

お菓子や食べ物だけでなく、どんなものでも擬人化、キャラクター化して、コミカライズし、遊びにも落とし込めるのが『ぷっちぐみ』の大きな強みです。

「一番のポイントは、周囲から愛され大事にされている読者は、自分自身がプリンセスというだけではなく、自分が好きなモノも非常に大事にするということです。だから、ぬいぐるみや人形をかわいがるのと同じように、誌面に載っているキャラクターのこともすごく愛して、感情移入してくれるんですね。そういった意味で、いろんな企業さんに自社の手掛ける商品を、『ぷっちぐみ』の愛すべき擬人化キャラの一つにしていただければと思います。そうすれば漫画や遊び企画で、読者にそのモノを毎日の生活で根付かせるというか、愛着を持たせることが『ぷっちぐみ』でお手伝いできるかなと。これまで『ぷっちぐみ』に載ってこなかったようなおもしろいキャラクターを、いろんな企業さんと一緒に開発したいです」

もちろん、商品の魅力を直接読者に伝えられる付録は、タイアップ効果が非常に大。業界初の付録であれば話題性があり、注目度も高まります。

「それから、読者が大好きなぬり絵やお絵描きもタイアップに活用できるのではと思います。例えば、若年層にもっと着物を着てもらいたいという要望があったら、着物の柄をぬり絵にしたり、デザインを考えてもらってお絵描きコンテストをしたりとか。コンテストの入賞者に商品をプレゼントすることもできますし。とにかく小学校低学年女児のお絵描きしたい欲は強いので、そこをうまく活かして何かできればいいですね」

今後の展望としてやっていきたいのは、読者参加型の遊び企画記事や、人気YouTuberとのさらなるコラボ、猫や犬、うさぎなどの動物の実写ページを増やすことなどに加え、もう少しやんちゃで活力のあるページも展開したいとのこと。

「2023年の6・7月号からスターダムの連載漫画をスタートさせました。女子プロレスはかつて女の子たちの憧れの、キャアキャア言われる存在だったと思うんですけど、その復活を目指します。狙いは、愛され女子の読者により快活になってもらうこと。『ぷっちぐみ』世代は愛されることが不可欠で、愛された経験は将来人を愛することにつながりますから、雑誌を通じて、社会に優しく愛嬌があって努力家な読者を育みたいですね」

旅行が趣味で、日本全国すべてを周り、海外も79か国は訪れているという其田編集長。海外旅行では必ず、おもちゃ屋やキッチュなものを売っている雑貨屋を巡り、付録のサンプルになりそうなものを探しています。外国には日本にはないもの、日本の発想では出てこないようなものが多く、それをもとに企画を考えるのが楽しいとのことで、チェコスロバキアのマーブル色鉛筆やスペインで購入したかわいい造形のミニ色鉛筆、ドイツの美しい発色の色鉛筆をミックスして、ぷっちぐみ読者が好きなピンク色だけの色鉛筆セットを付録化。常にアンテナを張って、読者の女の子たちにしっかり届く企画作りに努める其田編集長の、今後さらなる手腕にご期待ください。

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