広告にもアグレッシブかつ柔軟に対応し、ラグジュアリー界を牽引する媒体です。『Precious』守屋美穂編集長インタビュー

2022/06/29

豊かさをコンセプトにしながら、新たなチャネルを作り、多方面の提案をしていきたい

ファッション誌志望で入社した守屋美穂編集長。編集者のキャリアは『女性セブン』からスタートし、『プチセブン』『Oggi』『AneCan』『Domani』を経て、編集長として『Oggi』に戻る。その後、55歳以上の富裕層向けのフリーマガジン『AdvancedTime』を立ち上げ、2020年から『Precious』編集長に。

編集ページ・タイアップ両方が消費に直結するラグジュアリー誌

キャリア世代向けの『Precious』の魅力のひとつは、媒体と読者の関係性が非常に密接にあることです。

「主な読者は、ご自身で起業されたり、会社員でも役員だったり、また医師など、仕事をもち経済的に自立している40代です。富裕層ですので、掲載商品の問い合わせだけでなく、実際にご購入される方も多く、非常に反響があると聞いています。誌面のコーディネートそのままで来店され、合わせた小物やジュエリーを購入される方や、デパートの外商担当の方に掲載商品一式をリクエストされる「強者」の方もいらっしゃるとか。タイアップの反響も編集企画同様に非常に良いと聞いております。誌面を読み込んで商品知識をもって店頭に足を運ぶ読者の方が非常に多く、商品をおすすめしがいがある、とう声もいただきます。読者の7割が有職富裕層というのもPreciousのユニークなところであり強みと考えています。ある会合でお会いした高級旅館の若女将さんが、「愛読者であり、お客様と接する時の参考にもしています」とおっしゃっていたことも印象に残っています」

編集部の審美眼に絶大なる信頼をおいているのは、読者だけでなく、アパレルやジュエリーなどのブランドからも同様です。

「ブランドの決め手になる話をしてほしいということで、店長会に呼ばれることもあります。『Precious』が販売員の教科書の役割を果たしているとお褒めいただくこともあり、光栄ですね」

その理由は、独自の世界観を築いた誌面にあります。

「ラグジュアリーなモードの世界をそのまま日常に落とし込むのは難しい側面があります。ですが、その世界観を『Precious』流の“リアルラグジュアリー”として、誌面で表現できているからこそですね。知的好奇心と購入欲の両方を備えた読者とズレがなく、メッセージ性を伴うように編集部内で対話を重ねながら工夫しています。高額な商品の高い品質や精緻な技術を余すところなく見せるように撮るのはもちろんのこと、それがカタログ的な物撮りではなく、審美眼を備えた読者が興味をそそられるような写真を追求しています。ジュエリーや時計は撮り方に一定の「作法」がありますが、企画によってはアート性を取り入れるなど、コンセプチュアルな見せ方にもトライしています。思考や世界観、豊かな時間を想像できるようにいろいろな表現をとっています」

写真をながめるだけならネットで十分な昨今も、紙媒体だからこその強みを存分に活かし、成功しているということです。

「たとえばリングのダイヤを一粒ずつ数えられるようなサイズで写真を掲載するなど、大判で横にめくっていく紙媒体の強みを生かしきることが、読者の方の満足度が高くなるひとつの要因と考えています。ブランドが誇りをもって製作するラグジュアリーアイテムはどれも本当に見応えのあるものばかり。その魅力を紙媒体でつぶさに見て感じたいですよね」

広告局のキャリアがあるからこそ気づく、多面性ある企画力

コロナ禍に就任した守屋編集長。順調に進まないことが多く苦労もありましたが、誌面に対する反響は落ちなかったといいます。

「美しく煌めく物を手に入れて少しでも明るい気分になろうと思った方が多かったのか、特にジュエリーと時計の特集は反響が大きかったですね。海外旅行に行けない代わりに、いつもならひとつのジュエリーをふたつ買う顧客の方、口紅を10本まとめ買いしていくなど落ちない購買意欲についてのエピソードも多く耳にしました。このことから、“リアルラグジュアリー”は、外出時に着飾るためだけでなく、家にいながらも楽しむものへとその切り口が増えているということが見えてきたんです。モノに宿る/モノを通して見える思考や世界観、モノと過ごす豊かな時間をPrecious流に見せるようにした構成が功を奏したんだと思います」

そこには、広告局時代に『AdvancedTime』を立ち上げ、編集長として携わったキャリアも少なからず影響しているかもしれません。

「当時は、編集長と広告営業を並行していました。編集とは違うスタンスでクライアントさん・広告代理店さんと関わる広告業務は、あらゆる意味で勉強になりました。短い期間でしたが、広告案件に対するセンスを磨けた気がしています。その上、営業として多くの方と面識をもつことができたことが本当に財産になりました。この経験を生かして、今後もぜひ、いろいろなご相談をお互いにし合っていければと思います」

タイアップの受け入れ体制も盤石の様子。そして、今後のリアルラグジュアリーは、読者の日常にもフォーカスをあてています。

「2022年2月号は創刊以来、初めてインテリアとライフスタイルをメインの特集としましたが、読者の反応が非常によかった。掲載商品への反響もクリアできました。創刊から18年間積み上げてきた“Preciousらしさ”を大事にしていれば、取り上げるジャンルを広げてもいいことがわかりました。持っている、見ているだけでも贅沢な気持ちになれるモノは日常生活のあらゆるところにある。『ラグジュアリー』というワードには様々な方向性があり、可能性は尽きません。SDGsやサスティナブルというと昨今何かトレンドのようになってしまっていますが、良いモノを長く愛して使うということは究極のサスティナブルでもあります。そこに今は買うことで社会貢献にもつながるという新しい素敵さが加わった。今後は豊かさをコンセプトにしながら、新たなチャネルを作り、多方面の提案をしていきたく考えています」

雑誌と読者、そしてクライアントとのエンゲージメントが強いのは、掲載アイテムの買い物の仕方でわかる通り。そこに加わった守屋編集長という布陣で、広告にもアグレッシブかつ柔軟に対応し、ラグジュアリー界を牽引する媒体として独自の強さを発揮していきそうです。

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