編集長インタビュー 『DIME』安田典人編集長

2022/06/29

〝共創〟の関係をこれからもたくさんのパートナー企業と構築していきたい

安田典人編集長は、在京FMラジオ局を経て、2000年に小学館に入社。広告局で雑誌広告の業務に5年携わった後、ビジネスパーソン向けのトレンドマガジン『DIME』の編集部に異動。現在まで17年にわたり『DIME』の編集業務に携わる。2012年にはWEBマガジン『@DIME』を立ち上げる。2015年に『@DIME』編集長、2017年から雑誌『DIME』の編集長を兼務し、現在はDIME編集室を統括する。

モノ消費からコト消費に変化した時代にも柔軟に対応

流行にフォーカスをあて、いち早くピックアップし続ける『DIME』。毎年、年末に主催している「DIMEトレンド大賞」は大きな話題になるほか、常に時代の先を読む企画で読者を惹きつけていますね。

「モノ消費からコト消費に移り、パーソナルな時代になり、情報がどんどん細分化してきた一方で、みんなが〝よくわかっていない〟ことが増えていることに気づきました。編集方針は創刊から一貫してモノ・ヒト・コトに関するトレンドの深掘りですが、インターネットやSNSの普及により、ビジネスシーンで求められる情報が増えたことで、扱う内容が幅広くなりました。特集で扱うテーマは、ビジネスパーソンが知りたいと思っているすべてのこと。例えば、2021年~2022年にかけては、投資、ワーケーション、メタバース、ソロ活、音声メディアなどの特集を組みました。トレンド誌ではありますが、実用誌の側面も色濃くし、コロナ禍でビジネスパーソンが困っていること、読者が知りたいと思っている新しいことをテーマにすることが増えました。他誌に先駆けて企画を組んだ2022年4月号の『メタバース』特集は、発売後に多くの企業のマーケッターの方々から『面白かった』『気になっていたテーマだっので買いました』という声をたくさんいただきました。どんなジャンルの企画でも、新しい情報に敏感な読者にニーズに応えられる記事を製作できる、優秀なスタッフが揃っているからこそ実現できたことだと思いますね。それぐらい、現在のDIME編集部はタレントが豊富です」

毎号“トレンド”を切り口に、フットワークも軽く、特集を組まれるため、創刊36年目にもかかわらず、新しい読者を獲得していますね。

「じつはここ数年で雑誌読者の平均年齢が5歳ほど下がっていまして、しかも、女性読者の比率が上がっています。従来、男性8:女性2ぐらいの割合だったのが、一昨年あたりから男性7:女性3から男性6:女性4ぐらいまでになり、変化が現われています。これも働いている人すべてを読者対象している編集方針と、幅広い特集テーマが、女性読者を獲得できている要因だと思っています」

ここ数年は、年に何号も完売号が出ていますね。この春も2号連続で完売したそうですが、やはり付録の力は大きいのでしょうか。

「スマホやタブレットで簡単に雑誌を購読して読めるようになった今、読者にわざわざ雑誌というパッケージメディアを購入してもらうためには、何かしらの付加価値が必要になります。では、DIMEが読者に提供できる付加価値とは何か? いろいろ考えましたが、雑誌自体が紙で作られたパッケージである以上、付録を最大の付加価値として読者に届けるのが最もわかりやすいのではないかと思いました。それから毎号、ユニークな、これまで見たことのない、画期的なアイテムを付録として添付しています。実際に、雑誌付録〝史上初〟のアイテムを多数用意してまいりました。

『普段はサブスクで読んでいるのでわざわざお金を出して買うことはほとんどないけれど、面白い付録が付いていたら買ってしまうかも』『雑誌の付録とは思えないクオリティーのアイテムが付いていてコスパが凄い!』『DIMEっていつも面白い付録が付いているよね』そう思って手に取ってくれる読者が増えていけば、まだ雑誌の売り上げも伸ばせるのではないかと考えて、唯一無二の付録が付いている新しい雑誌メディアを目指そうと考えるようになりました。 おかげさまでは、2022年5月号、6月号は2号連続で完売、7月号も好調です。付録商材を探して、制作し、話題を作る仕事も、編集業務のひとつとして楽しんでいます。商材探しで苦労することも多いのですが、何が読者の心に刺さるのか、どんなものなら欲しいと思ってくれるのか、セレクトショップの店員のような感覚で、『売る』ことに集中して企画を考えています。たくさんの読者に、子どもの頃、幼児誌や学年誌で付録文化に親しんだ思い出を想起してもらい、あの頃のワクワクした気持ちを『DIME』でもう一度楽しんでもらえたらいいですね。もちろん、付録が話題になることで、昔、コアな読者だった方が久しぶりに購入されたり、改めて『DIME』に興味をもってもらえたりするキッカケになればいいなと。実際にそういった、いい循環にもつながっています」

創刊から築き上げた“信頼”が企業と相互方向のモノづくりに進化

『DIME』というメディアでコンテンツを制作する上で重要なのが、トレンドの芽をキャッチするセンスと情報収集力だとお聞きしましたが。

「新しいモノやコトが流行るかどうか、読者が本当にそれを知りたいかどうか。この見極めは、私も含めてスタッフ各々の肌感覚によるところが大きいと思います。編集部のメンバーは、若手が24歳、ベテランは50代前半と年齢も幅広く、ある意味、バランスがとれています。各世代が得意なこと、知見が必要なことなど、あらゆる情報に対してうまく対応できていると思います。そして何より、創刊して36年間、先輩方が築き上げてきた読者、そして企業からの信頼が厚いことが示す〝ブランド力〟が大きいですね。編集部にも毎日、処理しきれないぐらいの量のプレスリリースが届きます。今でも、企業の新商品や新サービスの開発段階で意見を求められることもたくさんありますし、実際にそれが反映された商品が最近でもたくさん店頭に並んでいます。我々の持っている知見やノウハウを必要としていただくということは大変光栄な話ですし、それが結果的にヒット商品になっていくとしたら、もっとうれしいですね。そんな〝共創〟の関係をこれからもたくさんのパートナー企業と構築していきたいと思います」

オリジナル記事と本誌連動で構成される『@DIME』は各種ニュースサイトへの転載も多く、媒体名のブランド力の底上げにも。そして、紙の歴史とWEBの速報性で築かれたブランド力は、企業とのコラボ商品開発に生かされていますね。

「昔からヒット商品というテーマを取り扱っているため、消費者が求めていることや嗜好、気分を分析して先読みする力は我々の強みだと思っています。これまでも、ユニクロさんと長きにわたってビジネスバッグの開発でコラボしてきた実績もありますし、プリン、菓子、ビジネスリュックなどを開発したこともあります。現在は、ビジネスパーソン向けにメガネを開発していて、来春には発売される予定です」

コラボは小学館の社内でも活発に行っているそうですね。

「児童学習局のWEBメディア『HugKum』とコラボして、知育プロジェクトを立ち上げました。『HugKum』のメインターゲットである子育て世代と、『DIME』と『@DIME』のメイン読者層の30~40代は、年代的にはほぼ同じなんですよね。お互いの編集部の担当者もまさに子育て世代。すでに、多くの企業とのタイアップ企画が進行していて、両編集部とも力が入っています。こういった形で、社内間で連携しているプロジェクトは意外と少ないのですが、『DIME』がHUBとなっていければ、今後もっと事例が増えて面白くなると思います」

トレンド情報の発信だけでなく、商品開発まで、ビジネスに関わるすべてに対応できるメディアが『DIME』。企業、社内を問わず、フレキシブルに動く姿勢は、多種多様な知的財産を保有する小学館らしい展開も期待させてくれる媒体のひとつです。

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